シーズン中断中にスパイクを脱いだアドゥリス。このバルサ戦のゴラッソが最後のゴールとなった。 (C)Getty Images

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 昨年8月に今シーズン限りでの引退を発表していたアスレティック・ビルバオの元スペイン代表FWアリツ・アドゥリスが5月20日、自身のツイッターを更新。シーズン終了を待たずにユニホームを脱ぐことを発表した。スペイン紙『Marca』などが一斉に報じている。

 シャビ・アロンソやミケル・アルテタなど数々の名手を生み出したバスクの“育成の名門”アンティグオコで育ったアドゥリスは、ビルバオのBチームから、トップチームに昇格してリーガデビュー。空中戦の強さと巧みなシュートセンスを武器にマジョルカ、バレンシアでも活躍した。2012年夏にビルバオに復帰して以降は、30代に入りながらも5年連続で二桁得点をマークするなど、大黒柱としてチームを牽引した。

 10年に29歳で初キャップを刻んだスペイン代表では13試合に出場して2ゴール。大舞台に立ったのはEURO2016のみだが、16年11月12日の北マケドニア戦では、35歳275日の同国最年長ゴールを決めている。

 コロナ禍でシーズン再開の目途が立っていないこのタイミングで引退を決断したことについて、39歳のベテランストライカーは、「時が来た。これまで何度も、私がサッカーから去ろうとする前に、サッカーが私から離れるだろうと言ってきた」と書き出し、次のように綴っている。

「昨日ドクターに、外科医の診察に行くように言われた。できるだけ早く人工股関節を入れて、日常生活が送れるようにしたほうがいいと。残念ながら、私の身体は“もう十分だ”と言っている。(この状態では)自分が望む方法、また仲間が期待している形でチームメイトを助けることができない。それがプロアスリートのキャリアというものだ。シンプルなことさ」

 そして、スペインでも深刻なコロナ禍についても言及している。

「残念なことに、私たちはいま、(引退よりも)はるかに深刻で痛みを伴う状況を経験している。まだ苦しんでいるパンデミックは、取り返しのつかないダメージを残した。みんなで戦い続けなければならない。それは悲しみで終わってしまう」

「私のことは心配しないでほしい。さようならを言う時間があるし、夢のようなエンディングのことは忘れよう。さようならを言う時が来たんだ。これはこの旅の終わりであり、最初から最後まで忘れられない素晴らしいものだった。グラシアス」
 
 惜しまれるのは、最後の花道を飾るはずだったコパ・デル・レイ決勝のピッチに立てなかったことだろう。最大のライバルであるレアル・ソシエダとの大一番は、4月18日に行なわれる予定だったが、コロナ禍の影響で延期となってしまった。

 ラストシーズンは14試合に出場して1ゴール。開幕戦で王者バルセロナを打ち砕いた劇的な「決勝バイシクル弾」が現役最後の得点となった。ワンタッチシュートが上手かったアドゥリスの中でもベストとも言えるこの一撃を、サン・マメスのファンは一生忘れないことだろう。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【動画】アドゥリスのラストゴール!今シーズン開幕戦でバルサを葬った超絶バイシクル弾