花粉症にも効果アリ!! 強い鼻をつくる最強の味方、LPSの摂取量を増やせば“鼻弱”が改善!!

 大腸菌やサルモレラ菌などのグラム陰性菌の細胞壁を構成する「LPS(リポポリサッカライド)」。死んだ細胞の老廃物を食べたり、外部からの侵入物をやっつける免疫細胞「マクロファージ」の働きを活性化させることから、「免疫ビタミン」とも呼ばれている。

 花粉やホコリなども排除してくれるので、花粉症から生じる鼻水、鼻づまりといった鼻トラブルの改善にも多大な効果がある。そのため、LPSはアレルギー予防の救世主でもあるのだ。

 LPSは自然の中の土や木、植物などに存在し、特に土壌の中にいる微生物に多く含まれる。しかし、現代社会では人々が土に触れる機会が減っており、除菌や抗菌効果がある生活用品に囲まれて生活しているので、本来なら人体に必要な微生物まで排除してしまっている。そのため、キレイ好きな人ほど体内に含まれるLPSの量が少なく、花粉症やぜんそくなどのアレルギー疾患を発症するリスクが高まるという皮肉な状況を招いてしまっている。

 それでは、どうすればLPSを手軽に体内に増やすことができるのか? きたにし耳鼻咽喉科院長の北西剛先生は、食事から摂取することを勧めている。ちなみに、北西先生は日本ではまだ人数が少ない、鼻トラブルを解消するために栄養療法を取り入れている耳鼻咽喉科医の1人である。

「LPSは特別な食品だけでなく、穀物や根菜、海藻、きのこ類など、私たちが日常的に食べる食材にも多く含まれています。1日に摂取したいLPS量は体重1㎏につき10マイクログラム。成人なら1日につき約500マイクログラム摂取できればOKという計算です」(北西先生)

“強い鼻”をつくるのに欠かせないLPSを特に多く含む食材としては、ひらたけ、めかぶ、れんこん、そば、ひじき、岩のり、なめこなどがある。精白された穀類や農薬を用いた土壌で育った作物には、さほど多くは含まれていない。そのため、できるだけ自然に近い状態で栽培された、加工がされていないものを選ぶとよい。

 また、食べ方を工夫することで、より効率的にLPSを摂取できる。

「れんこんやじゃがいも、さつまいもなどは、皮の部分にLPSが多く含まれています。穀類も精製されていないものに多いので、なるべくよく洗い、丸ごと食べるのがお勧めです。また、乳酸菌そのものにはLPSは含まれていませんが、乳酸菌と一緒に摂ることでLPSの吸収効率がよくなります。LPS食材は生食が理想ですが、比較的熱に強い成分なので、加熱料理でもOKです。ただし、揚げ物のような高温調理のもの、長時間加熱したものは組織が壊れやすいので、お勧めできません」(北西先生)

 また、LPSは水溶性なので、野菜や根菜はなるべく水に浸さないようにするのがベスト。スープや煮物として食べる時は、水分中に溶け出した汁も一緒に摂取するようにしよう。

★アルギニンを積極的に摂る

 窒素酸化物の一種である一酸化窒素には、血管に柔軟性を持たせて血流を促し、血管内にたまる不要物が増えないようにする作用がある。この一酸化窒素を増やすために必要なのが「アルギニン」という必須アミノ酸で、鼻の血流をよくして鼻トラブルを防いでくれる。

「アルギニンは体内で生成できる量が少ないので、食事から積極的に摂る必要があります。肉や魚(しらすなど)、豆類(大豆製品や落花生など)、ごま、松の実などに多く含まれていますが、特にお勧めなのが、かつお節です。アルギニンなど、約30種のアミノ酸を含んでいるので、豆腐や油揚げといった大豆製品と組み合わせて摂るといいです」(北西先生)

★はちみつで鼻弱体質改善

 花粉症などのアレルギー性鼻炎は鼻水、鼻づまりといったツライ症状を引き起こすが、これを軽減するのにお勧めなのがスパイス(黒こしょう、干ししょうがなど)や、はちみつである。甘い物の過剰摂取はアレルギー反応を助長させやすいが、はちみつだけは例外で、むしろアレルギー体質の改善に貢献してくれる。また、粘膜の強化にはハーブ類の摂取も効果的だ。ただし、1歳未満の赤ちゃんは乳児ボツリヌス症の危険性があるので、はちみつの摂取は不可である。