2019年ドラフト1位の中日・石川昂也【写真:荒川祐史】

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充実ぶりが目立つ中日、7年連続Bクラスと低迷も底力あり

 林昌範です。新型コロナウイルスの感染が拡大している中、NPBが3月15日までのオープン戦全72試合、ファームの春季教育リーグ全試合を無観客試合とすることを決めました。野球ファンの皆さんにとっては残念かもしれませんが、それ以上にファンの応援に勇気づけられている選手は残念に思っています。ただこの状況ではやむを得ないと思うので、1日でも早く新型コロナウイルスの感染が収束することを祈るばかりです。

 今年は東京五輪が開催される影響で、例年より1週間早い3月20日にシーズンが開幕します。選手たちの仕上がりも早い中で、特に充実ぶりが目立つのが中日ではないでしょうか。守備力があり、昨年12本塁打を放った堂上直倫選手も控えにおけるなど選手層が厚いです。レギュラーがほぼ固まっている状況で左翼は長距離砲の福田永将選手と日本で実績のあるアルモンテ選手の争いになるとみられますが、両選手とも投手からすれば怖い打者です。新戦力も楽しみですね。

 ドラフト1位の石川昂也選手は「凄いのが入ってきた」と関係者が口々に驚いていました。1年目から1軍で起用する価値がある選手ということで非常に楽しみですね。2年目の根尾昂選手も本職の内野だけでなく外野も守れることから起用法の幅が広がり、今年は出場機会のチャンスも増えると思います。個人的にはドラフト4位の郡司裕也選手に注目しています。強肩に加えて落ち着き払った雰囲気で視野が広いように感じます。慶大の4年秋には3冠王を獲得するなど打撃も魅力的です。昨季は捕手が固定できなかったので、郡司選手がレギュラー争いに加われるか注目ですね。

 投手陣は大野雄大投手、柳裕也投手のダブルエースに加え、小笠原慎之介投手、梅津晃大投手、山本拓実投手ら伸び盛りの若手が多いです。吉見一起投手、山井大介投手とベテランを含めて熾烈な競争はチームの底上げにつながります。課題の救援陣も昨季頭角を現した藤嶋健人投手、福敬斗投手、守護神を務めた岡田俊哉投手のほか、昨季は不本意な成績に終わった又吉克樹投手、鈴木博志投手、田島慎二投手も巻き返しを狙っているでしょう。13年から7年連続Bクラスと低迷していますが、底力はあるチームだと思います。今年はペナントレースの主役になる可能性を十分に秘めているのではないでしょうか。文/構成 インプレッション・平尾類