演技力の高さに定評があり、幅広い役柄を演じ分ける夏帆。そんな彼女が出演したおすすめ映画をまとめてご紹介。

夏帆 プロフィール

1991年6月30日生まれ、東京都出身。ティーンファッション誌やCM出演を経て、TVドラマ「ケータイ刑事 銭形零」シリーズ(04〜05)でTVドラマ初主演を果たす。同作の劇場版(06)では、TVシリーズの歴代主演女優らとともに映画初主演も務める。

単独初主演を務めた『天然コケッコー』(07)では、第31回日本アカデミー賞 新人俳優賞をはじめとする多数の新人賞を受賞。2008年には『東京少女』『砂時計』『うた魂(たま)♪』の3作品で主演を務め、第21回日刊スポーツ映画大賞 最優秀新人賞を受賞し、女優としての知名度を高めていく。

以降も話題作への出演を重ね、『海街diary』(15)では第39回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞を受賞。2020年には『Red』『架空OL日記』『喜劇 愛妻物語』と話題作の公開が控える。

『天然コケッコー』(2007)

くらもちふさこの同名大人気コミックを、『リンダ リンダ リンダ』『オーバー・フェンス』などの山下敦弘監督×『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』などの渡辺あや脚本のタッグで実写映画化。島根の自然豊かな田舎町を舞台に、少女の初恋と成長を描く。

小中学生合わせて6人しかいない田舎町の分校に、東京からの転校生・大沢広海(岡田将生)がやって来る。クールで近寄りがたい雰囲気の広海に、中学2年生の右田そよ(夏帆)は心惹かれていくが……。

本作で映画単独初主演を務めた夏帆は、田舎町の少女・右田そよを演じた。純朴な少女を自然体で表現した演技力は高く評価され、第31回日本アカデミー賞 新人俳優賞、第29回ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞など多数の賞に輝いた。

『箱入り息子の恋』(2013)

内気な性格ゆえ彼女いない歴35年の男性が、初めての恋に奮闘し、成長していく姿を描いたラブストーリー。ミュージシャン・文筆家などマルチに活躍する星野源が主演を務め、『僕らのごはんは明日で待ってる』『台風家族』などの市井昌秀が監督を手掛けた。

恋人も友人もおらず、35歳で実家暮らし、家と職場を往復するだけの日々を送る天雫健太郎(星野源)。そんな息子を見かねた両親は、親同士が婚活する“代理見合い”に参加し、今井夫妻の娘・奈穂子(夏帆)との正式な見合いにこぎつける。健太郎は初めての恋に落ちるが、奈穂子は病気のため目が不自由だった。

夏帆が演じたのは、ヒロインの今井奈穂子。病気で完全に視力を失った女性という難役を見事に演じ切り、透明感あふれる佇まいと演技力の高さが話題となった。

『海街diary』(2015)

マンガ大賞2013など多数の受賞歴を誇る吉田秋生の同名人気コミックを、『そして父になる』『万引き家族』など多数の作品で世界的に名を馳せる是枝裕和が監督・脚本を手掛け、実写映画化。鎌倉を舞台に、三姉妹と異母妹が共同生活を通して家族としての絆を深め、“四姉妹”になっていく様子を綴る。

鎌倉で暮らす香田家3姉妹、長女・幸(綾瀬はるか)、次女・佳乃(長澤まさみ)、三女・千佳(夏帆)のもとに、15年前に家を出て行った父の訃報が届く。父の葬儀の場で異母妹の少女・すず(広瀬すず)に出会った3姉妹は、鎌倉で共に暮らすことを提案するのだが……。

夏帆が演じたのは、マイペースで独特な感性を持つ三女・千佳。一見破天荒のようだが、冷静に状況を見る役どころをナチュラルに演じた。

『ピンクとグレー』(2016)

人気グループ・NEWSの加藤シゲアキによる同名小説を、『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』など数々の話題作を手掛ける行定勲監督が実写映画化。芸能界の表と裏をテーマに、急逝したスター俳優と彼の親友の物語を描く。

人気俳優・白木蓮吾(中島裕翔)が急逝。蓮吾の親友で、売れない俳優の河田大貴(菅田将暉)は、白木の遺書を手にしたことでスターの座を手に入れる。河田はその死によって与えられた偽りの名声に次第に苦しみ、自分を見失って行く。なぜ白木はこの世を去ったのか? 何が、誰が彼を追い詰めたのか?

夏帆が演じたのは、蓮吾と大貴の幼なじみのサリー。これまで多かった清楚な役柄とは打って変わって派手なメイクとファッションも披露し、ファンからは「新境地を開拓した」「強烈なインパクト」などの声が多く上がっている。

『予兆 散歩する侵略者 劇場版』(2017)

映画『散歩する侵略者』(17)のアナザーストーリーとして制作されたTVドラマ『予兆 散歩する侵略者』全5話を、劇場版として再編集。監督は『散歩する侵略者』に続いて黒沢清が務めた。人間の“概念”を奪って地球を侵略する宇宙人と、人間との対峙を描いたSFサスペンス。

山際悦子(夏帆)は、家に幽霊が出ると言う同僚・浅川みゆき(岸井ゆきの)を心配し、夫の辰雄(染谷将太)が勤務する病院の心療内科へ連れて行く。診断の結果、みゆきから“家族”の概念が欠落していることが判明。新任外科医だという真壁司郎(東出昌大)に言いようのない違和感を覚える悦子だったが……。

主演を務めた夏帆が演じたのは、主人公の山際悦子。同僚や夫が異変に襲われ、恐怖におののく姿を見事に表現している。

『伊藤くん A to E』(2017)

TVドラマ化もされた柚木麻子による同名小説を、『ストロボ・エッジ』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』などの廣木隆一監督が映画化。落ち目の女性脚本家と、作品執筆の取材対象である4人の女性、そして“伊藤”という男性が複雑に絡み合う恋愛ミステリー。

かつては売れっ子だったが今は落ちぶれた脚本家の矢崎莉桜(木村文乃)は、自分の講演会に参加した女性の恋愛相談をネタに脚本を書くことを思いつく。【A】〜【D】4人の女性を取材すると、皆“伊藤”という男性に振り回されており、さらに伊藤は莉桜が講師を務めるシナリオスクールの生徒であることが判明。いつも口先だけの彼がなぜか莉桜と同じ4人の女性たちについての脚本を書いており、そこには莉桜のネタにはない5人目の女性【E】がいた……。

夏帆が演じたのは、女性Dの神保実希。伊藤に長年片思いをしていたが「処女は重い」と振られ、処女を捨てようとやけになる、純粋だが少し“イタイ”役どころを演じている。

『きばいやんせ!私』(2019)

『百円の恋』『嘘八百』などでタッグを組んだ武正晴監督と足立紳の脚本でおくるヒューマンドラマ。東京の女子アナウンサーが、鹿児島の取材を通して自分の仕事と人生を見つめ直していく姿をコメディタッチで描く。

不倫騒動で番組を下ろされ、左遷されたアナウンサーの児島貴子(夏帆)は、幼少期に住んでいたことがある鹿児島県南大隅町の取材を命じられる。嫌々ながら取材を進める貴子だったが、町を盛り上げるために奮闘する町役場の人々や、かつての同級生・橋脇太郎(太賀)と接する中で、仕事への姿勢が次第に変化していく。

主演を務めた夏帆は、東京の生活に疲弊したアナウンサーの児島貴子を演じた。南大隅町の人の温かさと懸命さに触れ、仕事の意味を見出して変わっていく姿が印象的。

『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(2019)

「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2016」で審査員特別賞を受賞した箱田優子の企画を映画化。箱田自身が監督・脚本を務めた。公私ともに充実しているように見える女性が、帰省を通して心の痛みと向き合い、本当の自分と対峙する姿を描く。

30代のCMディレクター・砂田夕佳(夏帆)は、溢れる仕事をこなし、優しい夫もおり、順風満帆な生活を送っているかに見えたが、実は心は荒んでいた。ある日砂田は、祖母の見舞いのために大嫌いな故郷・茨城に帰ることになるが、友人の清浦あさ美(シム・ウンギョン)がついて来る。

主演の夏帆が演じたのは、自称売れっ子のCMディレクター・砂田夕佳。自分の境遇に不満を抱き、愚痴ばかりこぼす女性を体当たりで演じ、シム・ウンギョンとともに第43回高崎映画祭 最優秀主演女優賞を受賞した。

『Red』(2020)

直木賞作家・島本理生の同名小説を、『しあわせのパン』『少女』などの三島有紀子が実写映画化。かつての恋人との愛を再燃させる主婦の運命を描いた、大人のラブストーリー。

専業主婦の村主塔子(夏帆)は、一流企業勤務の夫・真(間宮祥太朗)と可愛い娘に恵まれ何不自由ない生活を送っていたが、狭い世界で行き場のない思いを抱えていた。そんな時、かつて愛した鞍田秋彦(妻夫木聡)と10年ぶりに再会し、関係を深めていく。しかし、鞍田にはある秘密があった……。

主演を務めた夏帆は、かつての恋人との禁断の愛に堕ちる主婦・村主塔子を体当たりで演じている。大人の恋愛に苦悩し溺れていく、夏帆の新境地とも言える役柄に注目が集まる。2020年2月21日公開予定。

『架空OL日記』(2020)

お笑い芸人バカリズムの同名著書を原作とし、自身が脚本・主演を務めたTVドラマの劇場版。監督はドラマ版に続いて住田崇が務める。OLのリアルな日常を、ユーモアを交えた絶妙な空気感で描く。

憂鬱な月曜日の朝、銀行勤めのOLの“私”(バカリズム)は、いつものように眠気に耐えながらメイクをし、満員電車で通勤する。同期の藤川真紀(夏帆)と駅で合流して職場に向かい、更衣室で同僚たちと就業前のおしゃべりに勤しむ。

ドラマ版からの続投となる夏帆が演じるのは、主人公の同期で親友の藤川真紀。銀行の同僚たちとのたわいもない会話に興じる姿を自然体で表現している。2020年2月28日公開予定。

【文・ココネコ】

(C) 2007「天然コケッコー」製作委員会(C)2013「箱入り息子の恋」製作委員会(C)2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会(C)2017「散歩する侵略者」スピンオフ プロジェクト パートナーズ(C)「伊藤くん A to E」製作委員会(C)2018「きばいやんせ!私」製作委員会(C)2019「ブルーアワーにぶっ飛ばす」製作委員会(C)2020「Red」製作委員会(C)2020「架空OL日記」製作委員