ゲイリー・ペイトン2世(右)【写真:AP】

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加入から3試合中2試合で6スティールを記録した”苦労人”ペイトン

 米プロバスケットボール(NBA)のウィザーズ・八村塁は28日(日本時間29日)の本拠地ニックス戦で、鼠径部の打撲により6戦連続欠場。チームは敵地の前回対戦で121-115の勝利を収めた相手に、26日(同27日)のピストンズ戦からスタメンを4人入れ替えて挑んだが、100-107で敗れた。敗戦に終わったものの、この日スタメンに名を連ねたゲイリー・ペイトン2世は6スティールを記録するなど、攻守両面で活躍。指揮官もそのパフォーマンスを手放しで称賛した。

 NBAとGリーグを行き来していた“苦労人”が一躍、ウィザーズを牽引する存在になった。チームの大黒柱であるブラッドリー・ビールが負傷により欠場した一戦。代わって、スタメンでSGに入ったペイトンが躍動した。30分間の出場で15得点、6リバウンド、2アシストを記録。さらに、23日のニックス戦に続き、6スティールをマークした。

 現在1試合平均失点数でリーグワーストのチームにあって、今季3試合の出場で1試合平均4.3スティール、7.3リバウンド、7.7ディフレクションとディフェンス面で異彩を放つペイトン。活躍に関して、ウィザーズのスコット・ブルックスHCは「何が彼をあれほどいい選手にしているか。その答えはシンプルだ」と話し、持論を展開した。

「彼が何度かカットされているからだ。カットされればハングリーになり、必死になる。養わなければいけない家族もいる。若い選手は長い間リーグでプレーできると思うかもしれないが、それは違う」

 ブルックスHCは自身が長い間、NBAでプレーした経験があることにも触れながら、リーグで継続してプレーすることは決して簡単なことではないと強調。時には「カットされるべきではない選手もカットされる」と続けた一方で、27歳のペイトンに関してはウィザーズで居場所を見つけられる可能性があることを示唆した。

「その努力、プレー強度、ハングリー精神、強い意志、そして全てのポゼッションで戦うその闘志によって、ここ(ウィザーズ)でチャンスを得られるだろう。それこそ私たちが築き上げたいものだからね」と精神面を評価した。

ペイトンもHCに同調「ここに来てからずっとハングリー精神をもってプレーしている」

 ペイトンの父親、ゲイリー・ペイトンはシアトル・スーパーソニックスで90年代に一時代を築いた名手。その卓越したディフェンス能力で1996年には最優秀守備選手賞を受賞。キャリアを通じて9度のNBAオールディフェンシブ・ファーストチームに選ばれるなど、輝かしいキャリアを過ごした。

 その一方で、ペイトンは大学時代にパック12カンファレンスの最優秀守備選手に2度選出されるなど、父親同様に“守備職人”として名を上げたが、2016年にバックスでNBAデビューするも、その後はレイカーズやウィザーズを渡り歩く。1チームに1シーズン以上留まらず、GリーグとNBAを行き来するキャリアを過ごしてきた苦労人だ。

 まだウィザーズに合流して1週間もたたない中で、結果を残すペイトン自身もブルックスHCのコメントには同調。「ここに来てからずっとハングリー精神をもってプレーしている」と話し、今回のチャンスを逃さないことを誓った。

「Gリーグを行き来しながらどこか留まる場所を探そうと努力しているよ。ここ(ウィザーズ)の選手たちは自分がやることに感謝してくれていると思うし、それを評価してくれてもいると思う。だから、毎日彼らのために戦うんだ。この機会を活かしたい」

 八村含め、怪我人が絶えないウィザーズでインパクトを残し続けるペイトン。このパフォーマンスを続ければ、ウィザーズもしくは他のチームとの複数年契約も夢ではないはずだ。ディフェンスが崩壊中のチームにとって願ってやまなかった“守備職人”の加入で、ウィザーズは上昇気流に乗れるだろうか。(THE ANSWER編集部・土屋 一平 / Ippei Tsuchiya)