by nexusplexus

「ウェブをこのままにしておくと、非常に多くの問題が発生します。物事が好転しなければデジタル・ディストピアが実現する可能性があり、『ウェブの10年計画』ではなく『今すぐウェブを変えること』が必要です」必要です」と懸念を示す“ウェブの父”ティム・バーナーズ=リー氏が、フェイクニュースやプライバシー侵害にあふれたデジタル・ディストピアからウェブと人類の未来を守るための世界規模のアクションプランを発表しました。

Homepage - Contract for the Web

https://contractfortheweb.org/



Tim Berners-Lee unveils global plan to save the web | Technology | The Guardian

https://www.theguardian.com/technology/2019/nov/24/tim-berners-lee-unveils-global-plan-to-save-the-internet



新たに発表された「Contract for the Web」(ウェブのための協定)では、政府・企業・一般市民に向けての、「ウェブを悪用から守り人類に利益をもたらすための原則」が記されています。原則は政府・企業・一般市民に対してそれぞれ3つずつ、計9つあります。

◆政府

・原則1:

誰もがウェブに接続できるようにする

・原則2:

いつでもインターネットを利用可能にする

・原則3:

人々の基本的なオンラインプライバシーとデータ権利を尊重し守る

◆企業

・原則4:

インターネットの利用料金を手頃に抑え全ての人がアクセス可能にする

・原則5:

人々のプライバシーと個人情報を尊重しオンラインの信頼を築く

・原則6:

人類に良い影響を与えるテクノロジーを支援し悪影響を与えるものに挑戦する

◆一般市民

・原則7:

ウェブ上でクリエイターや共同制作者になる

・原則8:

人類の尊厳と市民たちの議論を尊重する強いコミュニティを作る

・原則9:

ウェブのために戦う

この協定は、バーナーズ=リー氏が立ち上げた非営利組織である「World Wide Web Foundation」によって発行され、150以上もの組織からの支援を受けています。協定を支援する組織の名前にはMicrosoft、Google、Facebook、電子フロンティア財団が含まれますが、2019年11月時点ではAmazonやTwitterは入っていません。

協定を支持する人々は、この原則を実装していることや、問題解決に取り組んでいることを示す必要があり、不十分である場合にはリストから削除されるとのこと。2019年11月にGoogleは同意なしにアメリカ国民5000万人分の医療記録を取得していたことが報じられており、アムネスティ・インターナショナルの最新の報告では、GoogleやFacebookによる人権侵害の可能性が懸念されています。これらに対し、両社がどう対応していくのかが注目されています。



by Marvin Meyer

イギリスの大手紙The Guardianの取材に対して、バーナーズ=リー氏は「ウェブを間違った方向につれていく力は非常に強いものです。あなたが企業や政府である場合、ウェブを制御することで大きな利益を生み出せます。またあなたに力を取り戻す方法にもなり得ます。そして、一般市民は、最も大きな役割を持ちます。というのも、企業や政府を動機付けられるのは人々だけだからだです」とコメントしました。

World Wide Web FoundationのポリシーディレクターであるEmily Sharpe氏は「善となるウェブのパワーは脅威にさらされており、人々は変化を求めて叫んでいます。我々は協定によって定めたフレームワークを使用して、議論を作り出すことを決意しました」「最終的には、ウェブのための世界的なムーブメントが必要です。現代の我々が環境のために行っているような形のものです。そのためには政府や企業がもっと一般市民に反応しなければなりません。この協定はムーブメントのための基礎を与えます」と語っています。