台風で卵出荷減 鶏熱死など二次被害 相場にも影響 千葉

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 台風15号の被害に見舞われた全国有数の採卵鶏産地である千葉県で、卵の生産出荷に大きな支障が生じている。鶏舎の倒壊に加え、停電後の暑さで鶏の熱死が相次ぐなど二次被害が拡大。出荷量が被災前の1割に落ち込んだ生産者もおり、産地は「再建して元の出荷量に戻すには時間がかかる」と窮状を訴える。主力産地である同県の供給減を受け、建値となるJA全農たまごの平均価格(東京地区・M級)は25日、1年半ぶりに200円台となり、相場にも影響が出ている。

 同県は、鶏卵の生産量が16万7795トン(2018年)と、全国3位の産地。「県内全体の約1000万羽のうち、50、60万羽で熱死や鶏舎の倒壊被害が出ている」(県内の大手問屋)との声があり、出回り量の回復には時間を要しそうだ。

 「残った鶏舎で何とかやっているが、再建のめどは立てられない」。館山市の宮本養鶏は、強風で鶏舎4棟のうち3棟が全半壊する被害を受け、出荷量は被災前の1割に激減。台風通過から2週間以上たつが、復旧の兆しが見えない状況だ。

 代表の宮本大史さん(45)は「これまでは仲間同士で協力して卵を確保していたが、今回は県全体で被害が出ているので難しい」と明かす。鶏舎が再建できても鶏を導入して卵を出荷するまでには時間がかかる。「早期再建に向けた国の支援が必要だ」と訴える。

 同県の供給減や、外食チェーンで卵を使ったメニュー増による旺盛な需要で、相場は上伸している。同日のM級価格の200円は前日比5円高で、今月2日(150円)より3割高の水準だ。東日本の流通業者は「需給が逼迫(ひっぱく)している状況は今後2週間は続きそうだ」とみる。