働く堅実女子のためのビジネスで役立つマナー、今週は真鍋怜奈さん(仮名・メーカー勤務・32歳)からの質問です。

「去年の夏の異動で今の部署になったのですが、ヒステリックな人がいて参っています。クライアントとのやりとりの電話をガチャンって切ったあとに、も〜!って大きな声を出したり、机の引き出しをバーンッと閉めたり。上司の指示に納得がいかなかったり、注意されると声を張り上げて言い返したり、私にも、ちょっとしたミスを引き合いにだして“なんで毎回同じことするかなぁ!!!!”などと強めに言ってきます。もう本当に疲れてしまって、胃がキリキリしてしまいます。こういう人とはどのように付き合っていけばいいのでしょうか」

自分の思い通りにならないと、突然怒りのスイッチが入って騒ぎだす人や、気分屋でその時々の感情をそのまままき散らす人というのは少なくありません。こういう人に対して、どのように対応するのがいいのでしょうか。鈴木真理子さんに伺ってみましょう。

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まずは受け流す力を鍛えよう

職場に性格的に困った人がいると、会社に行くのも気が重くなってしまいますよね。業務に差支えが出てしまうというレベルであれば、上司に相談するというのも手です。ただし、その方は上司の方にも声を張り上げて言い返してしまうタイプのようですから、上司からたしなめられたとしても、相談者さんが望むような環境にはならないかもしれませんね。すでに別の人が相談しているということも考えられます。

たとえば、クライアントと揉めてしまって損害を出す、ほかの社員がその人のせいでどんどん辞めてしまうなど、会社の存続に多大な影響があれば処分の対象にもなるかもしれません。でも、会社としてのダメージがなければ、主観的に「ちょっとイヤ」「すごくムリ」ということを訴えても、逆に宥められてしまったり、よろしく頼むよなどと、さらなる負荷をかけられてしまうというケースも少なくありません。

まずはあなた自身、他人のヒステリックな態度を受け流す力を鍛えていきましょう。いちいち胃を痛くしていたら身が持ちませんからね。仕事の現場では、「大人になった人が勝ち」なのです。キーキー言っていれば自分の思い通りになると勘違いしている人も稀にいますし、実際に思い通りになっているから直さないという人もいます。でも、そういう性格を利用されることはあっても、確実に出世からは外されますし、周囲からの信頼が得られないのは明白です。キーキー言っている音はシャットダウンし、事実だけ、たとえばあなたがしてしまったちょっとしたミスの指摘のみを受け止め、それを改善していきましょう。

ヒステリーな人もキーキーする場所と相手は選んでいる

ひとつ覚えていて欲しいのは、ヒステリーな人がいつでもどこでもキーキー言っているわけではないということです。無意識だとしても、場所や相手は選んでいるんです。つまり、それが正しいかどうかは別として、本人の中でキーキーしてもいい場所、相手だと思っているということ。あなたがヒステリックにされるとしたら、あなたは選ばれた人となります。その理由はなんでしょうか。

萎縮した態度は、相手のヒステリックな感情を引き出しやすい

ひとつめに考えられるのは、あなたがその人に対して萎縮していないか、ということです。もちろん、いきなり怒鳴る人、感情をまき散らす人は恐ろしいですよね。でも、だからといって、びくびくしていると、余計にターゲットにされやすいというのは実際問題としてあるのです。

萎縮してないとしても、自分から上下関係をつくってしまって「先輩だし……」と思ってしまったり、相手を立てすぎてしまったり。謙虚しすぎるのも、相手を増長させてしまいます。あなたが自分の仕事をきちんとしているのであれば、堂々としていることも大事ですよ。

基本的な社会人行動はできている?

もうひとつ考えられるのは、その人があなたに対して堪忍袋の緒が切れている状態なのかもしれないということです。ヒステリーな性格でなければ、もちろんキーキー怒鳴られることはないかもしれません。しかし、指摘のされかたがどうであれ、注意されたことをすぐ忘れて単純ミスを繰り返すなど、基本的な社会人の行動ができていないという場合は、そこは改めなければいけません。

おっとりのんびりとした性格は、人としては付き合いやすいですし安心感もあります。しかし仕事の現場では、キャラを変えるくらいの気持ちで、サクサク、ビシビシとやってみてください。あなた自身にヒステリックな人のヒステリー感情を引き出す要素がなければ、おのずとあなたへの攻撃は収まってくるはずです。また、堂々とした働きぶりをするあなたがいる職場でヒステリーに怒鳴っている自分を恥ずかしいと思ったら、負の感情のコントロールについて考えるようになるかもしれませんよ。

私ばっかり怒られる……なぜ?



■賢人のまとめ
相手は、あなたに対して堪忍袋の緒が切れている状態なのかもしれません。自分の仕事ぶりについて今一度振り返り、改善点はないか考えてみましょう。また、職場では謙虚しすぎるというのも考え物。堂々としていることも大事ですよ。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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