エルサルバドル戦で初キャップを刻んだ久保を、森保監督は細心の注意を払って扱っている。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 久保建英は誰もが認める日本サッカー界の期待の星だろう。
 
 日本人で初めて超名門バルセロナの下部組織で技を磨き、15年3月で入団したFC東京でも飛び級を繰り返し、16年11月には15歳5か月と1日でJ3デビューを飾ってJリーグ最年少出場記録を塗り替えた。
 
 日本代表でも15歳でU−19代表、16歳でU−20代表に選出され、6月9日のエルサルバドル戦では史上2番目に若い18歳と5日でA代表デビューまでも飾ってしまった。
 
 しかし、日本代表を率いる森保一監督は、この久保の扱いに細心の注意を払っているように見えた。6月5日のトリニダード・トバゴ戦で「これ以上のプレッシャーをかけたくない」とあえてベンチ外に。メンバー入りさせたエルサルバドル戦でも、2−0で試合がほぼ決した67分からの投入だった。
 
「至宝」、「天才」、「逸材」ともてはやされながら、プレッシャーの大きさや成長の鈍化、怪我など様々な理由で潰れていった選手は、日本に限らずサッカー界には少なくない。だから誰しも、それなりの段階と成長のフェーズを踏むべきだ。あのリオネル・メッシでさえも、18歳で臨んだ2006年ドイツ・ワールドカップでは満足な出場機会が得られなかった。
 
 同じく久保は誰が見ても一目瞭然の才能だからこそ、森保監督は焦らず段階的にプレー機会を与えて刺激していく手法を取っているのだろう。エルサルバドル戦後の会見では、その成長フェーズについてこう語っている。
 
「久保には、これからさらに成長してもらいたいと思っています。今日のA代表デビューをきっかけ、新たな刺激として、その成長に繋がってほしいと願っています。メディアやサポーターのみなさんと同じく、私自身もどう成長していくか楽しみですし、見守っていきたいです」
 
 6月14日に開幕するコパ・アメリカ2019は、久保にとってA代表では初のメジャートーナメント。グループリーグではワールドカップ経験者を多数擁するチリ、ウルグアイ、エクアドルとシビアな真剣勝負に挑む。
 
「新たな刺激」という意味では、世界でも有数に激しく狡猾な南米のDFとのマッチアップは貴重な経験になるだろう。とはいえ、ここまでは親善試合でベンチ外、途中出場と段階的なステップを踏ませてきたが、公式戦ではもちろん事情が大きく異なるし、トリニダード・トバゴやエルサルバドルとは比較にならない強敵が相手でもある。ステップの幅が大きすぎる印象がなくもない。
 
 はたして森保監督は、コパ・アメリカで久保をどう使ってくるのか。要注目だろう。
 
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)