20日に開会した通常国会の施政方針演説で「改革の手を緩めてはならない」と改革総仕上げへ向けた決意を語る小泉純一郎首相

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第164通常国会が20日、開会した。自民党総裁の任期が切れる9月を前に、小泉純一郎首相は施政方針演説を行い、「改革の芽が大きな茎に育ちつつある。改革の手を緩めてはならない」と述べ、「簡素で効率的な政府」の実現や少子化対策など、改革の総仕上げに向けて、総理大臣としての残り任期に全力を尽くす決意を示した。会期は6月18日までの150日間。

 小泉首相は、政府規模の縮減には、「公務員の総人件費削減や、独立行政法人、特別会計の整理、合理化は避けられない」として、これらの改革の方針を定めた行政改革推進法案を今国会に提出し、成立を目指す考えを示した。地方分権では、「『国から地方へ』の方針の下、税源移譲や補助金改革を実施した」とこれまでの取り組みと成果を紹介し、「北海道が道州制の先行的取り組みになるよう支援する」と述べた。

 また、6月をめどに、歳出歳入一体改革による財政構造改革の工程など改革の方向性を示す。消費税、所得税など税制の見直し、厚生年金、共済年金を一元化する年金改革に取り組む。

 予想より早く到来した人口減社会への対策としては、「少子化の流れは変えなくてはならない」と訴え、保育所の待機児童ゼロ作戦を実施し、児童手当、育児制度を充実させることで、「子育ての喜びを味わいながら働ける環境を整備する」と述べた。 

 外交問題では、「国際社会の名誉ある地位を占めたい」という憲法の精神の下、武力に頼らずに問題解決する立場を貫き、世界平和に貢献することを強調した。関係悪化が指摘されるアジア外交では、「一部の問題で対立があっても中国、韓国は大事な隣国。大局的な視点で協力を強化し、未来志向の関係を築く」との姿勢を示した。拉致問題については、ピョンヤン宣言を踏まえ、核、ミサイル問題も含めた包括的な解決へ、関係国と連携しながら、「北朝鮮と粘り強く交渉していく」とした。

 憲法改正については、「新しい時代の憲法のあり方を、国民とともに大いに議論を深める時期」との見解を示し、改正に必要な国民投票法案の整備を進めるとした。また、安定した皇位継承へ皇室典範改正案の提出や、教育基本法の改正にも意欲を見せた。

 耐震強度偽装問題についても言及したが、住宅の安定確保に努め、偽装を見抜けなかった検査制度を点検し、再発防止と耐震化の促進に全力を挙げる、と述べるにとどまった。【了】

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