A-net「ツモリチサト」終了でアラフォーに激震。個性的なお洋服が苦戦するワケは?

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 3日、アパレルブランドの「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」を展開する株式会社エイ・ネットが、国内での同ブランド取扱いを2019年春夏シーズンで終了すると発表しました(海外は2019年秋冬まで)。それに伴い、国内ショップは7月中旬〜8月末、オンラインショップでの販売も順次終了する予定だそうです。

 決して手に入れやすいお値段ではないけれど、独特の世界観で女性たちを魅了してきたツモリチサトの洋服。女子SPA!世代なら、たとえ着たことや買ったことがなくとも、「一度は憧れた」という人も多いのではないでしょうか。SNS上でも「まさかなくなるなんて信じられない」「大好きでした、ありがとう。大事に着ます」「欲しかったけどお財布の事情であまり買えなかった……悲しい」など、今回の報せを悲しむ声が多数上がっています。

 そんな人気ブランドが、このような発表に至ったのは一体なぜなのでしょう。スタイリスト&ファッションライターの角侑子(すみゆうこ)さんに、お話を伺いました。

◆原宿ファッションの原点ともいえるツモリチサト

――振り返りとして、ツモリチサトというブランドについて教えてください。

角侑子(以下、角)「ツモリチサトはファッションデザイナー・津森千里さんが1990年に立ち上げたファッションブランド。まさに平成とともに始まったレディースブランドです。もともと世界的に有名なファッションデザイナーのイッセイミヤケさんの元でデザイナーをしていた後にツモリチサトとして独立をしています」

――ファッション業界の中ではどのような立ち位置なのでしょうか?

角「コンセプトは大人ガーリー。カラフルでポップなデザインが特徴的でいわゆる現在の『原宿ファッション』と言われるジャンルの原点にもなっているのではないでしょうか。有名人でいえばタレントの千秋さんが好んで着ていらっしゃいます。彼女の着る衣装の世界観は、まさにツモリチサトとリンクしていますよね。

 個人的には童話のような可愛さとフレンチシックが合わさった印象を受けています。価格帯としてはトップスが2万円台、ワンピースが4万円台と、現在の市場で考えると少し高めの価格設定ですね」

――現代の原宿ファッションにも影響を与え、根強いファンも多いツモリチサト。なぜ失速してしまったのでしょうか?

角「あくまで個人的な推測ですが『需要と供給のミスマッチ』と『固定ファンの大人化』が大きな要因ではないかと考えています。

 立ち上げ当初から、ツモリチサトのメインターゲットは20代です。当時の20代にとってもトップスに数万円は、決して安い値段ではなかったでしょう。でも、90年代はまだ若者のファッション意識としても『高いお金を払ってでも好きなブランドの服を着たい!』という服に対する強い憧れを持っていたはずです。

 それが2008年のリーマンショック以降に、いくつものファストファッションブランドが普及したことによって、アパレルの低価格競争が始まりました。これによりお金のない20代はブランド服を1着買うよりも、手軽にたくさん服が買えることに価値を感じ、だんだんターゲットのニーズとブランドの価格設定にミスマッチが起きていったのではないでしょうか」

◆古参は去っていき、新しい20代はプチプラ服を買う

――たしかに平成の時代、ファッションに関する価値観は大きく変動しました。

角「それでも生き残るブランドはあるのですが、ツモリチサトの場合、ブランドコンセプトは『大人ガーリー』という20代ウケするテイスト。もちろん30代、40代になってもツモリの服を着たい! というコアなファンはたくさんいますが、多くの方は『そろそろ年齢に似合う服を身につけなくては』と少女であることを卒業するのではないでしょうか。