今年から「18」を背負う巨人・菅野 (C) KYODO NEWS IMAGES

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◆ 特別な意味を持つ「18」

 多和田真三郎、武田翔太、吉田輝星、岸田護、涌井秀章、寺島成輝、菅野智之、松坂大輔、馬場皐輔……。

 突然ですが、みなさんはこの選手の名前を見て、パッと“共通点”は思いつきますか……?

 答えは、今季の各球団で背番号18をつける選手たち。パ・リーグでは楽天、セ・リーグは広島が在籍者なしとなっており、DeNAは今季からコーチに就任した三浦大輔氏が背負っている。

 野球という競技において「18」は投手の番号だという明確な決まりなどないが、いつからか背番号18は日本におけるもっとも有名な“エースナンバー”となった。

 このオフも日本ハムがドラフト1位ルーキー・吉田輝星に「18」を授けたことが大きな話題となり、また2年連続で沢村賞を受賞している球界のエース・菅野智之(巨人)や、かつて日本球界を背負うエースだった松坂大輔(中日)、そしてその松坂のバトンを受ける形で西武のエースとなった涌井秀章(ロッテ)といったところが今季から「18」を背負うことになったことで、「18」という数字により大きな注目が集まっている。

 背番号18がエースナンバーとして定着した理由は諸説ある。古くは歌舞伎の十八番(おはこ)から来ているという説もあるが、なかでも大きなポイントとなったのは、巨人の中尾碩志や阪神の若林忠志といった日本プロ野球黎明期に活躍したピッチャーたちがそろって「18」を着けていた、ということだろう。

 その中尾碩志から「18」を受け継いだ藤田元司が「18はエースナンバーだ」と中尾から言われたという述懐もあり、少なくとも巨人では1950年代の後半頃から18=エースという認識があったと推測できる。巨人の「18」はその後も堀内恒夫、桑田真澄という大投手へと受け継がれていき、それを見ていた少年たちの心の中にも「18」は特別な番号として刷り込まれていったのではないか。

 思い返してみると、“平成の怪物”として鳴り物入りでプロの世界に入ってきた松坂大輔も、西武に入団した時の背番号は「18」。入団会見では桑田への憧れを口にしていた。その松坂も日米を股にかけて活躍する球界のエースへと成長を遂げ、子どもたちの憧れの的となった。こうした長い年月をかけて、いつしか「18」は巨人だけでなく、日本球界における特別な番号になった、と考えられる。

 チームによってエースナンバーが異なることもあるが、やはり「18」は特別な背番号だ。

 特に今年は期待のルーキーだけでなく、チームを引っ張るエースが満を持して「18」を継承したり、かつての輝きを取り戻した名投手が再び「18」を背負ったりなど、注目すべき点が盛りだくさん。ぜひ背番号にも注目して野球を楽しんでいただきたい。

文=中田ボンベ@dcp

◆ 各球団の背番号18・通算成績

※前身チームを含む

※18番を背負った期間のみの成績

▼ 西武

武末悉昌(1950〜1953)=25勝23敗

島原幸雄(1954〜1958)=81勝50敗

河村英文(1959)=4勝5敗

若生忠男(1960〜1962)=36勝34敗

畑隆幸(1963〜1964)=16勝13敗

河原明(1968〜1974)=39勝74敗1セーブ

伊藤久敏(1975)=0勝0敗

関本四十四(1976)=1勝4敗

倉持明(1977〜1978)=6勝4敗

成重春生(1979)=0勝0敗

田鎖博美(1980〜1982)=0勝0敗

江夏豊(1984)=1勝2敗8セーブ

郭泰源(1987〜1997)=103勝56敗2セーブ

松坂大輔(1999〜2006)=108勝60敗1セーブ

涌井秀章(2009〜2013)=45勝38敗37セーブ

多和田真三郎(2016〜)=28勝15敗

―――

計:493勝378敗49セーブ(率.566)

▼ ソフトバンク

丸山二三雄(1946〜1948)=35勝35敗

中原宏(1950〜1955)=40勝31敗

東実(1957〜1959)=2勝6敗

橋本敬包(1960〜1961)=0勝1敗

西村省三(1961〜1970)=3勝6敗

西岡三四郎(1971〜1975)=38勝44敗

村上之宏(1978〜1980)=14勝25敗5セーブ

山内和宏(1981〜1990)=96勝107敗1セーブ

村田勝善(1990〜1993)=47勝54敗

渡辺智男(1994〜1997)=4勝15敗

吉田豊彦(1998)=0勝0敗

松修康(1999〜2000)=1勝5敗

新垣渚(2003〜2014)=60勝50敗

松坂大輔(2015〜2017)=0勝0敗

武田翔太(2018〜)=4勝9敗1セーブ

―――

計:344勝388敗7セーブ(率.470)

▼ 日本ハム

白木義一郎(1946〜1951)=97勝96敗

松本忠繁(1952〜1953)=8勝7敗

今西錬太郎(1954〜1956)=4勝20敗

ホセ中村(1957)=0勝0敗

高野一彦(1958〜1963)=14勝18敗

山崎武昭(1964〜1966)=4勝6敗

高橋善正(1967〜1972)=51勝69敗

渡辺秀武(1973)=11勝14敗

バール・スノー(1974)=0勝0敗

マイク・ケキッチ(1974)=5勝11敗

ジョージ・カルバー(1975)=1勝4敗

高橋一三(1976〜1983)=57勝54敗

河野博文(1985〜1995)=44勝68敗10セーブ

岩本勉(1996〜2005)=63勝73敗3セーブ

藤井秀悟(2008〜2009)=7勝3敗

斎藤佑樹(2011〜2016)=15勝24敗

吉田輝星(2019〜)=0勝0敗

―――

計:381勝467敗13セーブ(率.449)

▼ オリックス

笠松実(1946年)=8勝8敗

野口二郎(1946〜1953)=81勝68敗

国頭光仁(1954〜1955)=1勝4敗

米田哲也(1956〜1975)=328勝272敗

稲葉光雄(1977〜1983)=58勝40敗2セーブ

野中徹博(1985)=0勝0敗

酒井勉(1989〜1996)=33勝31敗14セーブ

杉本友(1997〜2000)=9勝20敗1セーブ

具臺晟(2001)=7勝9敗

山口和男(2003〜2009)=7勝6敗

岸田護(2010〜)=26勝21敗

―――

計:558勝479敗17セーブ(率.538)

▼ ロッテ

星野武男(1950〜1952)=3勝5敗

守田政人(1952)=2勝1敗

植村義信(1953〜1961)=74勝69敗

若生智男(1962〜1963)=46勝42敗

迫田七郎(1966〜1971)=10勝14敗

成田文男(1972〜1979)=69勝57敗

三井雅晴(1981〜1982)=0勝0敗1セーブ

石川賢(1983〜1987)=20勝23敗

伊良部秀輝(1988〜1996)=59勝59敗11セーブ

清水直行(2000〜2009)=93勝85敗

藤岡貴裕(2012〜2018)=21勝30敗

涌井秀章(2019〜)=0勝0敗

―――

計:397勝385敗12セーブ(率.508)

勝率:約50.8%

▼ 楽天

渡邉恒樹(2005〜2006)=4勝8敗

田中将大(2007〜2013)=99勝35敗3セーブ

―――

計:103勝43敗3セーブ(率.705)

▼ 広島

竹村元雄(1950)=0勝0敗

長谷川良平(1951〜1963)=197勝208敗

西川克弘(1964〜1972)=5勝13敗

長島吉邦(1973〜1974年)=0勝1敗

平岡一郎(1976)=0勝0敗

福士明夫(1977〜1982)=58勝49敗8セーブ

白武佳久(1983〜1989)=21勝24敗2セーブ

佐々岡真司(1990〜2007)=138勝153敗106セーブ・5ホールド

前田健太(2008〜2015)=97勝67敗

―――

計:516勝515敗116セーブ・5ホールド(率.500)

▼ ヤクルト

古谷法夫(1950〜1955)=18勝31敗

三林清二(1956〜1958)=3勝10敗

巽一(1959〜1970)=40勝66敗

会田照夫(1971〜1974)=29勝45敗3セーブ

酒井圭一(1977〜1983)=6勝12敗4セーブ

伊東昭光(1986〜1998)=87勝76敗21セーブ

藤井秀悟(2002〜2007)=39勝45敗2ホールド

リッキー・バレット(2009)=0勝1敗1ホールド

杉浦稔大(2014〜2016)=6勝8敗

寺島成輝(2017〜)=0勝1敗

―――

計:228勝295敗28セーブ・3ホールド(率.436)

▼ 巨人

前川八郎(1936〜1938)=18勝20敗

中尾碩志(1939〜1942、1946〜1947、1948〜1957)=209勝127敗

近藤貞雄(1946)=23勝14敗

藤田元司(1958〜1966)=102勝78敗

堀内恒夫(1967〜1984)=187勝137敗6セーブ

桑田真澄(1986〜2006)=173勝141敗14セーブ

杉内俊哉(2012〜2018)=39勝22敗

菅野智之(2019〜)=0勝0敗

―――

計:751勝539敗20セーブ(率.582)

▼ DeNA

今西錬太郎(1950〜1952)=14勝21敗

権藤正利(1954〜1963)=18勝20敗

佐々木吉郎(1954〜1963)=70勝115敗

鵜沢達雄(1972〜1978)=7勝9敗1セーブ

広瀬新太郎(1981〜1985)=2勝5敗

岡本透(1988〜1995)=30勝33敗2セーブ

松浦宏明(1995)=1勝1敗

マイク・バークベック(1996)=0勝2敗

三浦大輔(1998〜2016)=172勝184敗

―――

計:314勝390敗3セーブ(率.446)

▼ 中日

村松幸雄(1939〜1941)=38勝26敗

三富恒雄(1950〜1954)=19勝13敗

児玉秦(1955〜1961)=56勝53敗

福田信夫(1962)=0勝0敗

ポール・ホイタック(1965)=2勝3敗

豊永隆盛(1966〜1967)=0勝0敗

小野正一(1968〜1970)=26勝33敗

稲葉光雄(1971〜1976)=46勝40敗

戸田善紀(1977〜1981)=20勝25敗

鹿島忠(1983〜1996)=36勝28敗14セーブ

小野和義(1997)=0勝1敗

前田幸長(1998)=24勝33敗1セーブ

武田一浩(1999)=9勝10敗

曹竣揚(2000)=0勝1敗

エディ・ギャラード(2001〜2003)=4勝6敗112セーブ

朝倉健太(2004〜2005)=8勝10敗

中里篤史(2006〜2008)=1勝0敗

伊藤準規(2009〜2013)=4勝5敗

鈴木翔太(2014〜2018)=5勝5敗

松坂大輔(2019〜)=0勝0敗

―――

計:298勝292敗127セーブ(率.505)

▼ 阪神

若林忠志(1936〜1943、1946)=153勝86敗

梶岡忠義(1947〜1949)=61勝35敗

前岡勤也(1956〜1958)=0勝2敗

マーク・ブラウンスタイン(1962)=0勝0敗

中井悦男(1963〜1965)=9勝6敗

石床幹雄(1966〜1970)=1勝1敗

谷村智啓(1971〜1974)=24勝38敗

安仁屋宗八(1975〜1979)=29勝18敗20セーブ

大町定生(1980〜1983)=11勝7敗12セーブ

池田親興(1984〜1990)=38勝56敗

野田浩司(1991〜1992)=35勝52敗9セーブ

藪恵壹(1994〜2001)=84勝106敗

バルデス(2002)=4勝3敗22セーブ

杉山直久(2003〜2008)=21勝23敗

二神一人(2010〜2013)=0勝3敗1ホールド

藤川球児(2016)=5勝6敗3セーブ

馬場皐輔(2018〜)=0勝1敗

―――

計:475勝443敗66セーブ・1ホールド(率.517)

※参照:NPB公式サイト