女の人の価値は、美しさだけではない。

どれほど純粋に自分を愛してくれるかだ…そんな風に思っていました。

でも、あの女のおかげで僕はやっと気がついたんです。

異常なほどの愛情が、女の人を、そして関わる人間の人生すらを壊してしまうってことを。

純粋な愛情は行き過ぎると執着に変わり、執着は憎しみへと変貌を遂げるってことを…

少し長いけれど、どうか僕の話を、聞いてください―

「あなたは、わたしのもの」一挙に全話おさらい!



第1話:悪夢の始まりは、黒髪の美女と過ごした一夜。突然狂った、順風満帆な男の人生

何故この時僕は、一番最初に来ていた女友達からのLINEメッセージに返信しなかったのだろうか?

後から考えたって、なにも分からないし、意味もない。

ただひとつ確かなのは、あの秋吉からのLINEに返信してしまったのが、すべての始まりだったということ。

おかしなことってのは、大体いつも音を立てずにやってくるものだ。

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第2話:未読LINEは62件…。優しい男が引き寄せてしまった、恐ろしい束縛女

ユウキくんからの、1通のメッセージ。

ー仕事終わったらまた連絡するね

それを眺めていると、少しだけ心臓の鼓動がゆっくりになる。そして、これは奇跡だと思った。自分の身にこんなことが起こるなんて、奇跡だと。

ユウキくんがいるだけで、自分の存在に自信が持てる気がする。絶対に彼を手放すものか、と思った。

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第3話:「この女、ヤバイかも…」束縛女の正体に勘付いた男。SNSで女友達に送られた、恐怖のメッセージとは

ーユウキくん、助けて…

初めてひとみに出会い、一晩過ごした直後に届いたメッセージ。

あんな風に女の子から助けて、と言われて助けない男なんていないだろう。それも、電車の中で悪質な痴漢に遭ってしまった女の子だ。

そして、こう思ってしまった。「ひとみのことは、僕が守らなければいけない」って。

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第4話:SNSで1,000人以上の友達がいる、私の彼氏。怪しい女は徹底的に排除する、束縛女の執念

杉田さんが、思い出したようにフロアの時計に目をやる。

「ね、そろそろランチ行ける?今日は『アロマクラシコ』に行こう。イタリアンの気分なの!」

黒い革張りのソファに腰掛け、店員にオーダーをする姿さえ、杉田さんは絵になっている。

「ここね、ディナーもすごくおすすめよ。今度デートできたら?」
「そうなんですね、でも…」

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第5話:それは、悲劇までのカウントダウン。束縛女を安易にLINEブロックした、愚かな男

「いやさ、私もそんな完璧な男とばっか付き合ってきたわけじゃないから偉そうなこと言えないけどね。でもユウキ…あの子、本当に大丈夫なの?」

雅子に「大丈夫か」と問われた瞬間、僕は悪い魔法が解けたようにハッとした。大丈夫ではない。ひとみはやはり、どこかがおかしい。

あの女とは、きっぱりと別れなくてはいけないのだー。

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第6話:迂闊なインスタ投稿に、ご用心。着信拒否をされた女が、逃げる男の居場所を突き止める手段とは

「西岡さん、ちょっと…」

昼休み明けに、久しぶりに杉田さんに声をかけられる。あの日以来、この人からはランチに誘われていない。

「あの…会社のパソコンでFacebookの画面とかそんな堂々と開いちゃマズイんじゃない?」

気がつけば、就業中だというのに会社のパソコンでユウキくんのfacebookにアクセスしてしまっていた。ユウキくんとコンタクトが取れないせいで、自分は少しおかしくなっているのだろうか。

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第7話:毎晩19:00になるとやってくる、あの女。大きすぎる代償を払っても、逃れられない狂気

今でも目を閉じると、彼女が悲痛な声で叫んだあの日の残像が、くっきりと浮かぶ。無理やりにでも眠ってしまえば、何か気楽な夢を見ることができる気がするのに、その期待は何度も裏切られる。脳内に浮かんでくるのはあの日のことばかりだ。

あの夜、お姫様を助ける騎士の如く僕を救おうとしてくれた秋吉は、まるで犯罪者のように警備員に取り押さえられた。

ひとみは、全身を震わせながら「あの人に腕を思い切り掴まれたんです」と呟き続けていた。ときおり大粒の涙を流し、僕に抱きつきながら。

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第8話:「愛する男を、一目見たい…」。母の監視下で1年間身を潜めた女が、衝動に駆られて起こした行動

会社を休職し栃木の実家に帰ってきて、2週間が経っていた。本当はずっと部屋にこもっていたいけど、お母さんがそれを許してはくれない。

のそのそと階段を降りて、だだっ広い玄関に突き当たる。学生時代、制服の乱れをチェックするため毎日覗き込んでいた姿見に、つい習慣的に全身を映してしまった。

そこに映り込んでいたのは、よく知っている女の子だ。醜く、自信がなさげで、真っ白い肌に異様なほど黒々とした髪。それなのに、覗き込まずにはいられない。

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第9話:「あなたが結婚していても、かまわないのよ…」。妊娠中の妻がいる男を脅かす、美女の囁き

視線の先にいる黒髪の女は微動だにせず、改札の方を見続けている。

確認すればいい。あの女の前に回り、ああ人違いだったと胸を撫で下ろしたい。

だが、僕の足はすくんでしまい、どうしても改札の方へは動かなかった。

そしてやっとの思いでタクシー乗り場へ向かい、僕は愛する雅子の元へと向かうのだった。

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第10話:「本当に愛されているのは、奥さんではなく私」。妄想と現実の境目を見失った女の、止められない計画

愛する人のためなら何だって出来る。そう。たとえユウキくんに奥さんがいたって、その相手がおかしな女だって、構わない。

わたしはわたしのやり方で、彼を愛し続けるだけだからー。

そもそも本当の愛っていうのは、世間の常識とは相容れないもの。

例えばフランスのシャンソン歌手エディット・ピアフが、妻のいるプロボクサー、マルセル・セルダンを愛し続けたように。

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第11話:「サバサバした女を演じてたの」。正攻法では男に愛されなかった女が、リッチなイケメンの妻になった手口

子供を持つとなると、どうしても母親が色々なことを背負わなければならないこの国で、気軽に仕事を辞められる環境は本当にありがたい。

私は、誰よりも幸せだ。だって、早稲田大学時代に知り合ったユウキに、ずっと恋をしていたから。

ユウキが全く私のことをそういう目で見ていないのはわかっていたけど、気の合う仲間という関係なら彼と一緒にどこにでも行けたから、無理してずっとサバサバした女を演じ続けていたのだ。本当の私は、全くそんな女ではないというのに。

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第12話:「私の一部を、あなたにあげる」既婚男にまとわりつく過去の女。彼女が送った、得体の知れぬ小包の中身

どうすればユウキくんはわたしにもう一度会ってくれるんだろう?

彼の立場になって。彼の気持ちになって…。そうすれば、必ずヒントが見えてくる筈だから。

そうよ。こんなにも四六時中ユウキくんのことを考えているわたしだもの、こんな業者よりも、よっぽど彼の心がわかるに決まってるじゃないの。そしてわたしは、とっても良いアイディアを思いついて、ハサミを手に取った。

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第13話:深夜2時、ホテルの一室で行われた秘密の儀式。男を手に入れるために境界線を超えた女の暴走

産まれたばかりなのに、くっきりとした大きな瞳。小さくて弱々しい体で、こちらにすがってくる愛おしい姿を見て、私はある覚悟を決めました。

何があっても、自分の命を捧げてでもこの子を守るんだって。

この子の為なら、例え罪を犯しても構わないって。それが間違っていたとは思えません。

だって母親って、そういうものでしょう。

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第14話:そのドアは、絶対開けてはいけない。朝8時、帰らぬ夫を待つ妻への訪問者

朝の8時前。眩しさのあまり、カーテンに手をかけたその時である。

ピンポーン。

宅急便も届かないような時間に、なぜか家のインターホンが鳴らされた。

「ユウキ…?」

彼が鍵を忘れて出かけたのだろうかと、モニターを確認した私の目に飛び込んできたものを見て、思わず息が止まるほどの衝撃を受けた。

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第15話:妻に忍び寄る恐怖。夫につきまとうストーカー女と交わした、秘密の会話

『君との結婚は終わりだ。これから僕は、このひとみの夫になるんだ』

そんな風に、ユウキくんの口から言ってもらえたなら、どんなに嬉しいだろう。あの女の人はきっと悔しがるけれど、仕方がない。

でも、ユウキくんは優しすぎてそんなことを面と向かって言えない人だというのはわかっている。

だから、わたしが代わりに言ってあげるんだ。

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第16話:もう二度と、愛する男に会わせてもらえない。ストーカーの烙印を押されてしまった女の、成れの果て

「お母さん、僕の妻によると、ひとみは僕の家にいるらしいんです。すぐに向かいましょう!」

焦るひとみの母親をタクシーへ誘導し、急いで自宅に向かう。今のひとみは、普通の状態ではない。身重の雅子にもしも何かあったら、という最悪の予感が頭の中をよぎり、雅子からの着信を無視していた自分に心から腹が立った。

そして見慣れたマンションにようやく辿りついた瞬間、僕とひとみの母はマンションの前に停まっているパトカーに気がつき、思わず顔を見合わせたのだったー。

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第17話:豹変してしまった、私の夫。二度と現れないはずのストーカー女が、夫婦の心に残した深すぎる爪痕

私の体には大きなトラブルがなく、順調に育つ我が子を確認できている。これ以上を望んでは、バチがあたるほどの幸せだ。

世の中には、金銭的に困窮している母親や、様々な不安を抱えてお産に挑まなければならない母親も沢山いるというのに。

私はいつの間にか、意識的に自分よりも恵まれない人の立場に想いを馳せることで、自分の精神のバランスを保つようになっていった。

ごく小さい頃にもそうした時期があったことを、思い出しながら。

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