iPhone XはOLEDの焼き付き低減にも「業界最高を目指した」。ただやっぱり「静止画の長時間表示は避けて」
アップルが、iPhone XのOLED(有機EL)ディスプレイの見え方の特徴や「焼き付き」問題に言及したサポート文書を公開しました。

見え方の特徴とは、iPhone Xを見る角度を変えたときに、色味や色合いが若干変化するという現象についいて。これについてアップルはOLEDが持つ「特性」であって問題ではないと説明しています。一方の焼き付き現象についても、OLEDの仕組み上完全に避けることはできないものの、その発生を低減させるでも業界最高を目指したと記しています。iPhone Xの画面に採用されたOLEDは素子そのものが発光することで、良好なコントラスト比や広域色への対応を実現します。また液晶のようなバックライトが不要のため、省エネやディスプレイを薄型化できるといったメリットもあります。
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その反面、長時間同じ画面を表示し続けた場合は、特に発光の明るい部分の素子が次第に劣化し、光量が落ちていってしまいます。それが画面全体で見たときに「焼き付き」となって現れてしまうわけです。

これは原理こそ異なるものの昔のディスプレイに使われたブラウン管でもよく発生していた現象。ブラウン管の場合は電磁波で発行する蛍光剤が劣化して起こり、後にPCなどでスクリーンセーバーが使われるようになった理由の一つとなりました。

アップルはiPhone Xのディスプレイに起こる焼き付き現象を認識しており、「 OLED の『焼き付き』現象の低減という点でも、業界最高を目指しました」と対策を講じたことを記しています。

OLEDの仕組み上、その使い方によって起こりうる焼き付きの完全な対策はありません。この10月に発売されたGoogleのPixel 2 XLも、ボタンなどUI要素がかすかに画面に残る兆候があるとのユーザー報告もありました。
ただどの会社もそれなりの工夫を凝らしており、アップルもiOS 11に画面の焼付き防止対策を含めているほか、サポート文書中で、「明るさの自動調節」機能を使って周辺光に合わせてディスプレイの明るさを自動調節すること(この機能はデフォルトで有効)を推奨。さらに静止画像を最大輝度で長時間表示し続けるのを避けるよう、注意を呼びかけています。

せっかく熾烈なログインゲーや行列の試練をくぐり抜けて、お手元に届いたであろうiPhone X。やさしく画面をいたわり、長く付き合って行きたいものです。