トランプ大統領来日と日米首脳会談を前に 頭に入れておきたいロシアゲート疑惑

写真拡大

11月5日、トランプ大統領が来日します。日米首脳会談では北朝鮮問題をはじめとする地域情勢などが話し合われますが、どのテーマをとっても中国とロシアの存在が絡んできます。一方、米国ではトランプ大統領の「ロシアゲート」疑惑捜査で動きが。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、トランプ外交政策の闇を紐解きます。

マナフォートを資金洗浄で起訴するも
大統領の関与解明はほぼ不可能

 トランプ大統領周辺とロシアとの不透明な関係「ロシアゲート」を捜査するモラー特別検察官は10月30日、昨年の大統領選で一時期トランプ陣営の選挙対策本長を務めたポール・マナフォートと、そのビジネスパートナーであるリック・ゲーツを起訴したと発表しました。2人はマネーロンダリングなど12の罪に問われています。

 これだけだと本来の「ロシアゲート疑惑」の真相解明には直接関係がなさそうにも思えるため、昨年の大統領選まで遡って解説しましょう。

 トランプが共和党の大統領候補となることが確定的となった2016年6月、ロバート・マーサー率いる超保守派がテッド・クルーズからトランプに支援候補を変更します。親中のクリントン大統領誕生だけはどうしても回避したかったからです。

 超保守派がトランプ陣営に選対本部長(つまり選挙資金担当)に送り込んだのがポール・マナフォートでした。ところがマナフォートはロシアやウクライナでの「怪しいビジネス」が露呈し、2か月後に辞任しています。

 マナフォートの後任がスティーブ・バノンであり、トランプが大統領に当選すると主席戦略官としてホワイトハウス入りします。トランプが打ち出した徹底的な「米国第一主義」はすべてバノンの(というよりロバート・マーサーの)意向です。

巨悪のキッシンジャーが安泰なら
トランプはロシアを敵に回せない!?

 モラー特別検察官の今後の捜査は、超保守派が大統領選中にマナフォートやバノンを通じてロシアに資金提供やその他協力(例えば問題となっているサイバー攻撃)を依頼していたか、それをトランプを含む関係者が知っていたか、あるいは共謀していたかなどがポイントとなります。

 今回の起訴はそこを解明するための突破口ですが、本筋の「ロシアゲート」でトランプ大統領およびその周辺を起訴することはかなり難易度が高いでしょう。マナフォートが「余計なこと」を喋らなければ、大統領恩赦で実質的には無罪となるからです。

 ここで重要なのは、トランプとロシアを繋いだ「もう1つのルート」があることです。トランプ政権を影で操るヘンリー・キッシンジャーです。ロシアはキッシンジャーにとって「中国に次ぐ重要な顧客」です。

 そのキッシンジャーが、トランプ大統領の下に送り込んだのがマイケル・フリン(元・国家安全保証問題担当大統領補佐官)でした。マナフォートの次に“黒い”のは、この男です。

 フリンは既にロシア高官との接触を巡り辞任していますが、キッシンジャーは今もジャレッド・クシュナー(トランプの娘婿)を手先にホワイトハウスの外交戦略に大きな影響を与えており、フリンが改めて捜査対象とはなることはないでしょう。フリンが起訴されればキッシンジャーにも影響が及ぶ恐れがあるからです。

 トランプ大統領来日に際して、ちょっとこの辺りのことを頭に入れておくとよいでしょう。

本連載は金融・経済のプロも愛読しネタ元にしていると評判の刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』で配信された記事から、一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガにご登録いただくと、政治経済や金融の話題を中心に、歴史文化や娯楽まで他のメディアでは決して読めない、濃くて深くてためになる記事が、毎週1回5本程度の本編と付録、番外編、速達便がお読みいただけます。