学生の窓口編集部

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みなさんの大学の友達の中には、「この大学には編入してきました」「転入してきました」なんて人もいらっしゃるでしょう。この「編入」と「転入」、どちらも途中からその大学に入った点では同じなのですが、実際はどのように違うのかご存じでしょうか? そこで今回は、編入とはどんな制度か、また転入との違いを解説します。



■「編入」と「転入」はなにが違う!?

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「編入」「転入」と略されますが、正確には「編入学」「転入学」ですね。この二つはなにが違っているのでしょうか? 「編入学」については文部科学省による説明があります。文部科学省の「大学への編入学について」によりますと(以下引用)、


「編入学」とは、学校を卒業した者が、教育課程の一部を省いて途中から履修すべく他の種類の学校に入学すること(途中年次への入学)と解されています


となっています。また同文部科学省の説明によれば(以下引用)、

大学への編入学は、法令上以下のいずれかに該当する方にのみ認められます。


短期大学(外国の短期大学及び、我が国における、外国の短期大学相当として指定された学校(文部科学大臣指定外国大学(短期大学相当)日本校)を含む。)を卒業した者(法第108条第7項)

高等専門学校を卒業した者(法第122条)

専修学校の専門課程(修業年限が2年以上、総授業時数が1,700時間以上又は62単位以上であるものに限る)を修了した者(法第132条)

修業年限が2年以上その他の文部科学大臣が定める基準を満たす高等学校専攻科修了者(学校教育法施行規則第100条の2)

⇒データ引用元:『文部科学省』「大学への編入学について」
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111315.htm

です。つまり、


●編入学とは、ある学校を卒業した人(短期大学・高等専門学校・専修学校の専門課程修了者・高等学校専攻科修了者)が、ある大学の1年次の途中、また2年次以降に入学すること


なのです。


一方の「転入学」ですが、これは文部科学省のサイトでは定義に当たる部分を見つけることができませんでした。ただし、一般的には、


●転入学とは、ある大学で学んでいる学生が別の大学に移籍すること


と説明されます。こちらも移籍先の大学では途中から学ぶことになります。もともと学籍のあった大学からは転出で、移籍先の大学から見ると転入というわけです。まるで住民票の異動みたいですね。

ちなみに『独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)』の「大学等の転入学に関する実態調査」では、次のように定義しています。


【転入学の定義】

〇「転入学」……学校種を同じくする他の学校からの入学
(例)4年制A大学2年次修了→4年制B大学2年次または3年次
(例)C短期大学1年次修了→D短期大学2年次
〇「編入学」……学校種の異なる他の学校からの入学
(例)短期大学・高等専門学校卒業→4年制大学3年次


⇒データ引用元:『独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)』「大学等の転入学に関する実態調査結果」
http://www.jasso.go.jp/sp/about/statistics/tengaku/


上記の文部科学省の説明にあるとおり、「編入学」の場合には「『卒業』した者が……」の「卒業」がポイントなのでしょうね。ある学校を卒業した人が、大学の途中年次に入学すると「編入学」。ある大学のある年次に履修している人が、別の大学の途中年次に移籍すると「転入学」になる、と考えていいようです。

■編入学・転入学の手続きは?


では、大学の編入学・転入学の手続きとはどのようなものでしょうか? 実はこれは大学によって、さらに学部・学科によってばらばらです。そもそも編入学できる制度を持っていない大学もあれば、編入学のための試験(編入学試験)がある大学もあり、転入学制度はあるが試験実施予定はない、など実にさまざま。


ちょっと古い(2008年(平成20年)6月公表)のですが、JASSOが各大学がどのような転入学制度を持っているかを調べたデータがあります。そのばらばらぶりの詳細については下記URLをご覧ください。


⇒データ参照元:『独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)』「転入学制度学校別一覧【大学等の転入学に関する実態調査】資料」
http://www.jasso.go.jp/sp/about/statistics/tengaku/__icsFiles/afieldfile/2015/12/08/tengaku_all_list_1.pdf


編入学、転入学を希望しても、対象となる大学、行きたい学部・学科に制度がなければ受け入れてもらえません。受け入れ制度がある大学、その学部・学科では、3年次に編入学することが可能で、そのための試験を実施するというケースが多いようです。


例えば、筑波大学では「平成30年度 学群編入学学生募集要項」を公開し、編入学試験を2017年(平成29年)7月15日・16日に行いました。合格者は2018年(平成30年)4月に3年次の学生として受け入れてもらえます。


この募集要項の「編入学の年次」によれば、「編入学の年次は、第3年次を原則としますが、志願者が既に履修した授業科目、修得した単位数及び大学における在学年数によっては、第2年次として入学を許可することがあります」としています。ですので、自分が今まで勉強してきた内容によっては、必ずしも3年次というわけではないのです。


⇒データ出典:『筑波大学』「平成30年度 学群編入学学生募集要項」
http://www.tsukuba.ac.jp/admission/undergrad/pdf/h30ughennyu_youkou.pdf


さて、ややこしくて長い「編入」とは、そして「転入」との違いとはに関する説明でしたが、いかがだったでしょうか。同じ「大学の途中入学」であっても、「編入学」の場合は「別の学校を卒業した人が行う」、「転入学」の場合は「別の大学に在籍している人が移籍する」という違いがあるわけです。


(高橋モータース@dcp)