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グッドウッドで最新ロンドンタクシーに

LEVC TXなんて奇妙な名前だが、新しいロンドンタクシーと言えばなじみ深いだろうか。

このタクシーは日に焼けたカウボーイがいるアリゾナ州から、ラップランド人が暮らす北極圏までテストを行ったクルマである。

今年のグッドウッド・フェスティバルでは稀有な経験をすることができた。

新たに導入されるロンドンタクシーの初めての客になったのだが、乗ったのは、いささかタクシーとは言えない装飾が施されたクルマだった。

ジーリーとボルボは、かつてロンドンタクシーを作っていたLTIカンパニーを所有しているが、このたび知恵を絞って、新しいデザインのハイブリッドタクシーを開発、広く快適で、慎ましくて新しい召し使いとしてグッドウッド・フェスティバルに持ち込むことを決めていた。

このタクシーの運転手はケイティ・ミルナー。ジネッタの有望なドライバーとしてイベントに招集されていた。

彼女はレースのプロフェッショナルとしての頭角を現していて、ル・マンに参戦することを目標としているそう。現にほかの男どもより速いタイムを叩き出しているそうなので、今後が楽しみである。

どんな感じなのか予想すらもできなかったが、貴重な経験になったと思う。

20分の急速充電に対応

このタクシーは、アルミニウム製のレンジ・エクステンダーを搭載していて、外観は懐かしいブラック・キャブを連想させるが20分の急速充電で112km〜128kmの距離を走ることができる電気自動車だ。

また、充電スポットが無いような環境下では、1.3ℓ3気筒エンジンが充電器の役割を担う。しかし4日間のグッドウッド・フェスティバルでエンジンを必要とする機会は無かった。

長いフェスティバルの催しでデモ走行をするにあたって、スタートラインに並ぶまでは約2時間、パドックで待ちぼうけを食らう必要があった。われわれの存在に気づいた連中が「タクシーだ!」と子どもみたいに叫んで通り過ぎるので、必要以上に疲れてしまった。

さて、肝心のクルマのほうはなかなかに良い仕上がり。力強くスタートしたタクシーは順調にスピードを上げていったが、こんな速度でサーキットを走るタクシーは、さぞかし滑稽だろうなと後部座席で思った。

「お客さん」になった印象は?

コーナリング中のサイドサポートは強くはないものの、クルマが備えているバランスの良さを感じることができた。

またスムーズさや静粛性も良好で、外からは危なっかしく見えていたかもしれないが、ことのほか快適であった。

デモ走行中、若い自惚れた男の乗ったミニ・クーパーが突如として視界に入り込んできたが、ケイティの回避能力と、それを受け止めることができたタクシーのお陰で何事もなく、パドックでは喝采を浴びた。

とてもグレートなデモンストレーションだったのではなかろうか。

ただしすべてに良い印象を受けたワケではない。

たしかにこのクルマはグッドウッドヒルのなかでは安いクルマであった。しかし運賃メーターはたった1.6kmほどしか走っていないのに£10(1,444円)を指している。同じ距離では1番高い運賃だったことは間違いない。