イラクに派兵された韓国軍部隊(韓国国防省提供)

写真拡大

韓国政府は、韓国軍の兵力と、兵役期間を減らす方針を固めた。韓国メディアが報じている。

国政企画諮問委員会が発表した、文在寅政権国政運営5カ年計画によると、李明博政権時代に国防省が52万人として策定していた韓国軍の兵力を、2022年までに50万人に減らすと同時に、合同参謀本部を合同軍司令部に、陸海空軍本部をそれぞれ作戦司令部に改編することにした。

性的暴力への対応強化

また、現在21ヶ月となっている兵役期間(陸軍)を18ヶ月に短縮する。兵役は1968年から1976年までの36ヶ月が最長だったが、その後徐々に短縮され、2011年からは現行の21ヶ月となっていた。

一方、兵役短縮は軍事力の低下を招きかねないとの指摘を考慮して、将校や下士官、女性軍人など、より熟練度の高い職業軍人を増やす方針だ。

さらに、兵士の人権を保護する軍人権保護官のポストを新設し、原因の不明確な死亡事故(疑問死)の真相究明に当たらせると同時に、軍内の性的暴力に対しても細密な規則施行と厳正処罰を鉄則とする「ゼロ・トレランス」の方針で臨む方針だ。

新制度に支障も

しかし、兵役短縮に対しては依然として抵抗する声が少なくない。

韓国軍関係者は聯合ニュースの取材に、兵力を50万人まで減らすことになれば、女性軍人や下士官を増やすのに必要な予算を確保した上でも、代替服務制度への人的リソース支援を中断せざるを得ないと述べた。

韓国では、宗教的な理由などで兵役を拒否する人々(良心的兵役拒否者)が3年以下の懲役刑に処せられている。このような現状に対して、今年6月にスイス・ジュネーブで開かれた国連自由権規約委員会は、韓国政府に対して代替服務制度の導入を勧告している。

また、国の独立した人権擁護機関である国家人権委員会が発表した基本権保障強化憲法改正案でも、同制度の導入を提唱していることを受けて、韓国政府は導入の検討を開始。国内の人権状況の改善なくしては、北朝鮮を含む他国の人権侵害への追及を行っても、説得力に欠けるという考え方がこの背景にある。

しかし、今回の兵役短縮方針に伴い、この制度の導入に支障が生じる可能性が出てきた。