安倍晋三首相は5日、中国が主導する経済圏構想「一帯一路」への協力を初めて表明した。中国側も「日中双方に共同発展をもたらす新しいモデルケースとなるだろう」と、歓迎する意向を示している。(イメージ写真提供:123RF)

写真拡大

 安倍晋三首相は5日、中国が主導する経済圏構想「一帯一路」への協力を初めて表明した。中国側も「日中双方に共同発展をもたらす新しいモデルケースとなるだろう」と、歓迎する意向を示している。
 
 それにしても、なぜ安倍首相はこれまでの慎重姿勢から、条件付きとはいえ協力の立場に一転したのだろうか。中国メディアの海疆在線は7日、その理由について分析する記事を掲載した。
 
 記事は、安倍首相が「心変わり」した理由について、1つは「日米関係」があると指摘した。米国はこれまで一帯一路構想に対し慎重な姿勢を示してきたが、先日北京で開催された「一帯一路」の国際会議に、国家安全保障会議(NSC)のポッティンジャー・アジア上級部長を派遣した。記事によると、米国との関係を重視する日本は、保身のためこれに倣い、協力を表明したと分析した。
 
 記事が指摘した2つ目の理由は、「退路を用意しておく」ことだ。韓国のTHAAD配備問題で、韓国はリスクを冒しつつも配備を了承したにもかかわらず、米国から10億ドル(約1100億円)の配備費用を要求されていることを見た日本が、ビジネスマン出身であるトランプ氏に不安を感じているからだという。
 
 3つ目の理由は、日本人の心に沁み込んでいる「強者を崇める気持ち」ゆえだ。一帯一路構想によって世界経済の成長が後押しされる可能性があるとし、経済不振にあえぐ日本が協力を表明したのは自然な流れだと記事は主張。そのうえ、日本は南シナ海問題で中国が米国の空母をものともしない強気の対応をとったのを目の当たりにし、「強者を崇める気持ち」が芽生えたとも付け加えた。
 
 また記事は、歴史的に日本は常に強者にすり寄り、保身を図る傾向にあると主張し、「戦後は米国を崇めてきたものの、その米国に対抗する勇気のある強国・中国が台頭したことで、ここにきて日本は態度を変えたのだ」と論じた。
 
 記事は日本の行動にはすべて考えがあり、「口で言わなくても、心の中ではそろばんをはじいている」と主張、日本の本心はわかりにくいとしているが、本心が分からないのは中国も同じだ。日本と中国の探り合いはこれらからも続くことだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)