カラスは身近な鳥だが、実はじっくり見たことがない人もいるのでは? なかには不気味だからと敬遠する人も。しかし、そんなカラスたちが主役の「カラス写真アワード」が行われる。

カラスのかわいさ、カッコよさに身もだえよう!


今回が第2回目となる「みんなのカラス写真アワード」。1回目は2014年夏に行われ、あまりの盛り上がりに応募期間を延長するほどだったという。

同企画ではさまざまなカラスの写真を募集。後日インターネットで人気投票を行い、受賞作を決定する。日本、いや、世界でただひとつかもしれないカラス専門誌『CROW’S』が主催している。

HPには『さぁ、みんなでカラスを撮って、ヤツらの可愛さ&カッコよさに悶えよう!!』という熱いコメントが……。受賞作は9月6日発行予定の『CROW’S』第4号に掲載されるという。さらに今回は受賞作のグッズ化&販売も予定されているとのこと。



「カラス写真アワード」前回はどんな作品が?


「カラスの写真? どうせ真っ黒で地味でしょ?」と侮るなかれ。前回も相当な力作が集まった。ここではその一部をご紹介しよう。

・最優秀賞
タイトル「中秋の名月」(撮影:竹野光春さん)



木の枝に止まったカラスのシルエットが、大きな満月の光で浮かび上がる。静かさとドラマティックさが共存する作品だ。投票者からは「アングルが美しすぎる!」、「まるで日本画」、「グッズにしてほしい」と絶賛する声が上がった。

写真としてのクオリティも高いが、ただきれいというだけでなく、撮影場所にも注目だ。この写真が撮影されたのは東大和市の多摩湖(貯水池)。都会から少し足を運べば、こんな雰囲気あるたたずまいのカラスに出会えるかもしれない。

・第2位
タイトル「シーズンオフの海水浴場にて」(撮影:中里千鶴さん)



人がいなくなった海水浴場にカラスが集結! 個人プレーが得意なカラスだが、まるでみんなで集合して各々ポーズを取っているかのよう。ローアングルでカラスと同じ目線になっているので、臨場感もある。

・第3位
タイトル「カラスのカラヤン」(撮影:かりんさん)



カラスが水の入った容器に花を浮かべて“生け花”をしている……? 真っ赤な花、真っ黒なカラスという色彩のコントラストが美しく、特に女性に人気が高かったとのこと。カメラを意識しているのか、少し小首をかしげてこちらを見つめて、モデルのような風格を漂わせている。

カッコイイ姿からかわいらしい姿まで、さまざまなカラスたち。撮影者のカラスを見つめるまなざしは愛にあふれている。これだけでもカラスの底知れぬ魅力が伝わってくるはず。

“カラス総選挙”? 注目ポイントはここだ


素人目には、一見同じように見えてしまうカラスたち。いったい、どんなところが人気のポイントになるのだろうか?『CROW’S』を発行している「カラス友の会」を主宰する吉野かぁこさんに話を聞いた。



―― 前回の「カラス写真アワード」で人気があった写真はどんなものでしたか?

想像力を掻き立てるものが人気でしたね。カラスは賢いというイメージがあり、そこから「この写真はこうなんじゃないか?」と想像を膨らませる方が多いです。みなさんの感想をまとめていると、こんな見方があるんだ、と気づかされるのでアンケート集計も楽しいです。

―― 吉野さんがお気に入りだった写真はありますか?

どれも力作だったのですが、特に印象的な3枚をご紹介しますね。


1枚目は、カラスが水浴びをした後の写真です。『カラスの行水』という言葉がありますが、実際の様子ってなかなか見たことがないですよね。そんな貴重な瞬間でもあるんです。

 

「水浴びした後で」の写真は、濡れた頭の羽がツンツン立っていてかわいいですし、よく見ると内股になっていてそこもかわいい! なんだかお風呂から上がってパタパタ歩いている子供に、お母さんが「ちゃんとふきなさい!」って声をかけているような……。想像力が刺激されますね。

カラスがあまり好きではないという人も、目を細めていらっしゃいましたよ。どちらかというと『ずる賢い』イメージを持たれがちなカラスですが、人間味あふれるちょっと抜けた感じがいいですね。


2枚目のタイトルは「二兎を追う者は…」。電柱に引っかかってしまったハンガーを見つめるカラス。手前には別のハンガーが落ちています。カラスは巣材にハンガーなどを用いるのですが、欲張って2本運ぼうとして落としてしまったようです。

気づかないだけで、実は町中にこういうシーンが日常的にあるのでは? と思いました。途方に暮れたような人間味あふれる表情もいいですね。


3枚目のタイトルは「家政婦は見た?」。窓枠の隙間に顔を突っ込んで外を眺める好奇心旺盛さが印象的です。半分こわごわなんですが、外の様子も気になっているジレンマが伝わってくるようです。くりんとしたつぶらな目もかわいさのひとつですね。

―― この写真は、枠にカラスが頭を押し付けているので、羽のふわふわした感じも良く見えますね。

あっ、それ今言おうと思ったんですよ!なかなか篠崎さんも分かってますね〜(笑) ここに気づくのは中級レベル以上です。

―― カラスの写真を撮る場合、どんなところに気を付けるべきですか?

大きいカメラで近づくとカラスが驚いて逃げてしまうこともあるので、慣れないうちはコンパクトデジカメやスマートフォンなどがいいかもしれないですね。スマートフォンなどは普段持ち歩くので、日常の中で意外な瞬間が撮影できるかもしれません。

また、ちょうど募集期間がカラスの子育て期間中になるので、親鳥を刺激しないことも大切です。一本の木に何度も往復していたり、「グアグア」や「アワワ」と変わった声が聞こえてきたりするときは、ヒナがいる可能性があるので、あまり近づかない方がいいですね。

一度人間を怖いと認識してしまうと、今後そこを通る人たちを攻撃するようになってしまうこともあります。そうすると人とカラスの関係が悪くなってしまうことにも繋がりかねないので、気を付けましょう。



―― カラスはどんなところに行けば出会えますか?

公園や神社などの人が集まるところ、特にピクニックやランチをしている人が多い場所は、エサを狙って集まってくる可能性が高いです。野外イベントが多い時期なので、その終わり間際もねらい目です。

あとは、あまり人通りがない住宅街ですね。静かにしているカラスが面白いことをしているかもしれません。時間帯はエサを集めに出かける朝早い時間や、夕焼けとのコラボが狙える夕方もよいかもしれません。

ちなみに吉野さん曰く「カラスは被写体としてのポテンシャルが高い」のだとか。身近にいることに加えて、身体も大きく撮影しやすい。さらに光の輝きによって色が変わる羽、飛んでいる姿のフォルムなど、写真好きな人が腕試しをするのによいそう。しかし、真っ黒だからこそきれいに撮るにはスキルがいるそうで、写真教室の教材にしても良いのではないかと思う、と語ってくれた。

開催の理由は「かわいいカラス写真をとにかく見たかったから」




ユニークな「カラス写真アワード」は、どのようにして開催に至ったのだろうか?

―― もともと、どのような経緯でこの企画をやろうと思ったのですか?

まずは、自分がかわいいカラス写真をとにかく見たかったんです(笑) 「カラスを見る」というのは、とても個人的な行為です。動物園で見るわけでもなく、観察会をするわけでもなく、みんな一人で見ているので。

そこで、お互いに「こんなカラスがいたよ」、という報告などができたら、というのがきっかけですね。「カラス友の会」は、北海道から沖縄まで全国に約140名の会員がいるのですが、各地から写真が集まってきます。場所を超えられるのがインターネットのよいところですね。カラスを見ることの喜び、面白さを共有したいです。

―― 今回の「カラス写真アワード」の注目ポイントなどがあれば教えてください。

今回、受賞作品をグッズにする予定があります。入賞作品を見て、どんなグッズにするか考えるのも楽しみですね。みなさんの意見も聞けたらな、と思っているので多くの方に参加していただき、カラス好きにコミュニティが盛り上がって欲しいです。

また、「カラス写真アワード」は応募するだけでなく、投票する楽しみもあります。投票するときにサイトで写真を見る、そして雑誌『CROW’S』に掲載された受賞作品を他の人のコメント付きで見る、というように二度楽しめるんです。普通の写真コンテストとは違うので、気軽に楽しんでいただければと思います。なにより『カラス愛』が大切ですね。

カラスへの愛情ほとばしる「カラス写真アワード」。『カラス総選挙』の一位に輝くのは、いったいどんなカラスだろうか? カラスの魅力あふれるコンテスト、ぜひ注目していただきたい。



(篠崎夏美/イベニア)

<「みんなのカラス写真アワード」第2弾 概要>

■応募方法
掲載可能なお名前、写真のタイトル、簡単なコメント(カラスの様子、撮影のシチュエーション等)を明記の上、写真をお送りください。

■宛先
・「カラス友の会」Facebook メッセージ(DM)
https://www.facebook.com/karasulove/
・Twitter #カラス写真アワード のハッシュタグをつけツイート
・メール karasutomonokai@gmail.com まで

■募集締め切り
2017年5月31日(水)まで

■その他 注意事項
・容量は1MB以上
・『カラス友の会』でグッズ化&販売してもよい、という作品のみお送りください
・受賞者には、簡単なインタビューをさせていただく場合があります。連絡が取れるようにしておいてください(グッズを進呈する際にも住所をお伺いいたします)

■URL
http://karasu.petit.cc/banana/