昼食はきちんとカロリーを計算して食事したのに、仕事帰りのデパ地下やコンビニで気づいたらスイーツを買い込んでいた。お風呂上がりの一杯とつまみで、日中我慢したはずのカロリーがオーバーしちゃった。今月は出費が多いとわかっていたのに、深夜のネットショッピングで衝動買い……。あるあるですよね。「こんなはずじゃなかった」選択には、決断疲れが関係しているかもしれません。

私たちは常に選択している

人間は朝起きてから寝るまで、常に選択と決断を繰り返しています。決断というと悩んで考えるものというイメージがありますが、無意識に選択・決断しているものを含めると、なんと1日に9000回もの決断をしているのだそうです。私たちが選択・決断をするたび、脳には「決断疲れ」という精神的疲労が蓄積していきます。この「決断疲れ」が蓄積するだけ判断力が落ちたり、モチベーションが下がって決断が投げやりになったりするため「こんなはずじゃなかった」選択をしてしまう原因になるのです。

決断が重なっていくとどうなるのか

人間がひとつの決断をする時、脳内では情報の整理や検索・比較などたくさんの処理が行われます。選択や決断が多いほど脳はエネルギーを消耗し、疲れが溜まっていきます。その結果、決断をする際に十分な思考を行えず、合理的な決定をすることができなくなってしまうのです。たとえば、裁判官の判決が午後よりも午前中のほうが好意的な判決になりやすい、受刑者の仮出所は午後よりも午前中のほうが認められやすいことが明らかになっています。

これは、決断を重ねるうちに潜在的にリスクの高い行動(犯罪者の刑罰が見合っていない、再犯の可能性のある受刑者を仮出所させる)を避け、前例に倣った決断になりやすいからなのだとか。そして、取捨選択を続けた買い物の最後にレジ横のお菓子を買ってしまったり、新車にあまり必要のないオプションをつけてしまったりという衝動買いをするわけです。

疲労が見えないからこそ、大事な決断は午前中に

体の疲労は自分でも感じることができます。しかし脳の疲労はなかなか自分では気づかず、癒してあげたり疲労を取り去ることができません。そのため、大切な決断は決断疲れが起こる前に済ませておくことも必要です。また、欲求を我慢することも意思の力を使うので脳が疲労します。日中カロリー計算を頑張って好物を控えたのに、夜に食べてしまうのも脳の疲労で自制が効かなくなるからです。

決断疲れが起こると、どうでもよくなってしまい最善の決断をすることができなくなってしまうのです。決断疲れを回避するには、毎日決まっていることや簡単な選択はあらかじめルールを作っておくこと。たとえば、買い物は〇曜日だけに行く・〇曜日には〇〇を食べるなど。昼休みやどこか決まった時間に何も考えない休憩時間を作ることも効果的です。

いわれてみれば、衝動買いや衝動食い、適当な決定には心当たりがある気がします。大切なことは脳が元気なうちに決めておくことが重要だったのですね。


writer:しゃけごはん