「ひよっこ」37話、いつのまにか東京の人になる

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連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第6週「椰子の実たちの夢」第36回 5月13日(土)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:福岡利武


37話はこんな話


正義(竜星涼)とともに、お父さん(沢村一樹)を見かけたという場所に行くみね子(有村架純)。

5月13日(土)の36話は、20.9% と久々に20%台、かつ、36話中の最高視聴率だった。
美味しそうな洋食と、人情がたっぷりの、すずふり亭、強し。

「いつのまにか東京の人になる」(正義)


みね子と正義がお父さん探しに来た「こんな東京の知らない場所」(みね子)はロケだろうか。看板や電柱の文字は昭和だが、空も映って、地面の感じも、妙にリアルであった。
「人が多くて疲れたでしょ」(正義)という台詞があるので、またもエキストラ大量投入。
そしてまた、カフェでクリームソーダ。今度は正義も注文している。
「ほとんどのひとは東京にいた人じゃなく東京に来た人」
「いつのまにか東京の人になる」と、正義は、先輩に聞いた話をみね子にして聞かせる。
そしてまた、窓辺の花越しに、みね子と正義。

椰子の実


コーラス活動、今度の課題は、島崎藤村が作詞した「椰子の実」。
「わたしたちは故郷を離れて漂っている椰子の実みたいなもんなんでしょうか」
「お父さんも椰子の実ですか」
日本の名歌と、地方から東京にやって来た少女たちの思いを重ね合わせることで、いっそう深い郷愁が漂う。
なんだかしんみり。
みね子(有村架純)には実家から荷物が来るが、澄子(松本穂香)には手紙ひとつ来ない。
お母さんが違うから、実家に居場所がなくなっていた澄子。そんな家のために働いて仕送りしているのに、
なんにもリアクションがないのはひどい話である。
その境遇にまたしんみり。
でも、澄子はふいに、大好きだったおばあちゃんの思い出を語りだし、元気になったかと思ったが、夜、ひとり、布団のなかで泣いている。
月曜日から“泣き”(しかも悲しい泣き)で終わるとは、攻めている。
「ひよっこ」はへんに媚びず、マイペースでドラマを紡いでいるところがいい。長編であることを生かして、登場人物の心情を積み重ねていくことに力を注ぐことが後々、必ず効いてくるはず。急がない、急がない。
ちなみに、岡田惠和の朝ドラの脚本術について、「みんなの朝ドラ」でも触れています。


みね子が椰子の実に乗って海を不安そうにただよっている画、「みんなのうた」みたいでかわいかった〜。
椰子の実たちはいつの間にか“東京の人たち”になるのだろうか。みね子も東京の人たちに。
(木俣冬)