今季、パ・リーグに入団した新外国人野手はわずか4人と少ないが、くっきりと明暗が分かれた。オリックスのロメロは開幕から主軸として活躍し、チーム好調の立役者となった。一方、ロッテはふたりの外国人野手が来日したが、ここまでまったく機能せず、新たに選手獲得を検討している状況だ。なぜ、これだけ明暗が分かれたのか。解説者たちに分析してもらった。

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2017プロ野球新外国人総チェック〜パ・リーグ野手編


ソフトバンクの厚い選手層に阻まれ、いまだ一軍昇格を果たしていないジェンセンカイル・ジェンセン(ソフトバンク)

「長打力があるし、逆方向にも打てますので、試合で使い続ければそれなりに結果を残す選手だと思います。ただ、今のホークスは守る場所がない。内外野どちらも守れるということですが、内野には内川聖一、松田宣浩がいるし、外野も柳田悠岐、中村晃、それに売り出し中の上林誠知。さらにDHにもデスパイネがいて、ポジションが埋まっている。おそらく首脳陣は、一軍では出場機会が限られるので二軍で実戦経験を積ませたいということなのでしょう。確実性に欠けるところはありますが、ツボにくれば一発もありますし、楽しみな選手です」(藪恵壹氏)


5月9日の楽天戦で来日初本塁打を放ったダフィーマット・ダフィー(ロッテ)

「ホームランも打てますが、もともとは中距離ヒッターだと思います。ただ、ここまでのバッティングを見ていると、日本の配球に苦しんでいる印象があります。変化球でカウントを稼がれて、最後はボール球を振らされて三振というシーンを何度か見ました。それに変化球を意識するあまり、ストレートをうまく捉えられていません。日本ハムのレアードも、来日当初はまったく打てずに夏前まで打率は1割台だったと思います。それが日本の攻めに慣れてきて、それ以降は本来のバッティングを取り戻しました。ダフィーも持っているものはいいと思うのですが、首脳陣がどこまで我慢できるか……だと思います。チームの調子がよければ我慢してでも使うことができるのですが、ロッテは最下位ですからね」(緒方耕一氏)


開幕から不振を極め、二軍降格となったパラデスジミー・パラデス(ロッテ)

「年俸(1億4000万円)を見てもわかるように、ロッテ打線の主軸として期待されていた選手です。オープン戦では3割をマークするなど、しっかり結果を残したのですが、シーズンに入るとまったく打てなくなりました。日本で結果を出せない外国人打者は、高めの速いストレートを打てず、落ちる系のボール球に手を出しまうという典型的なパターンがあるのですが、パラデスがまさにそれです。ストレートか変化球か、どちらかひとつに絞ればある程度の結果は出ると思うのですが、パラデスはどっちも打ちにいっていました。おそらく頭の中がパニックになっていたのでしょう。メジャーでシーズン2ケタ本塁打を記録した実績のある選手ですから、持っているものはすごいと思います。今は二軍でプレーしていますが、必ずチャンスは来ると思います。そこでどんなバッティングをするのか注目したいですね」(建山義紀氏)


現在はケガで離脱しているが、開幕からオリックスの快進撃を支えたロメロステフェン・ロメロ(オリックス)

「パラデスとは反対に、開幕当初のロメロは変化球に的を絞っていました。日本のピッチャーは変化球を多く使ってくるということをしっかり把握していたのでしょう。ただ来たボールを打つのではなく、配球をしっかり読んで打つ。そうした頭のよさは、これまで日本で活躍した外国人選手に共通する点だと思います。メジャーではなかなか結果を残せないけど、3Aではガンガン打つ選手を”4A選手”と呼ぶのですが、ロメロはまさにその選手です。『まだまだやってやるぞ』というハングリー精神がありますし、とにかく日本で成功してやろうというモチベーションが高い。バッティングだけでなく守備でも手を抜かないですし、日本プロ野球史に名を残す外国人選手になる可能性を秘めたプレーヤーだと思います」(建山義紀氏)

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