入学式に入社式。新生活が始まるこの時期、ひとり暮らしを始めた方も多いのではないでしょうか。新生活に必要な家具や生活用品を揃えたいけど費用が気になる……、そんな方にもおすすめなのが、自分で作る「DIY」(Do it yourself)。今回は「DIY」のいろいろな楽しみ方やコツを、TOKYO FMの番組の中で詳しい方々に教えてもらいました。

(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」4月1日放送より)



◆「簡単なDIYでぴったりサイズの家具を!」

〜タレント ヒロミさん


── ヒロミさんは昔からDIYをしていたんですか?

俺は大工のせがれなので、子どもの頃から親父の手伝いをしながらちょこちょことDIYをしていました。DIYはぴったりのサイズに作れるのが良いですね。既製品だと「ちょっとこの机は高いな」「この椅子がもうちょっと低ければなぁ」なんてことがよくあります。でもDIYなら測って作れば必要なサイズになるんです。

ですから、DIYは作る前に手書きで良いのでサイズ感を紙に書いてみてください。サイズがわかればホームセンターで材料を必要な長さに切って貰えるので、それを組み上げていくのが最初はやりやすいでしょう。正確に木を切るのは意外と難しいのですが、寸法さえちゃんとしていれば何となく形にはなります。多少ズレても味として楽しんでください。そう考えればDIYに失敗はありません。

── DIYって難しそうなイメージがありますが……。

DIYは面倒といえば面倒。でも使っているうちに「壊れたら嫌だな」と思っていろいろやりたくなるんです。釘の数を減らしたら強度が心配になったり、そんなことを子どもの頃から繰り返しているうちに「やっぱりちゃんとやったほうがいいか」と思うようになりました。そういうことは、やりながら学んでいけば良いと思います。

DIYは作るだけじゃありません。色を塗るだけでも立派なDIY。飽きてきた家具も色を塗れば驚くほど雰囲気が変わります。「これはもういいかな」と思っていた家具もそれで意外と使えたりするので、これもDIY初心者の最初としてはすごく始めやすいでしょう。

── でもDIYができると男らしいって感じですよね!

DIYはアウトドアにちょっと近い感覚かもしれませんね。家や台所、寝場所を作るのはキャンプと同じです。ただ、だから男らしいというのは少々疑問で、実は女性のほうが向いている気がします。DIYは作るだけじゃなくて、あらかじめ準備をして、終わったら片付ける部分もあるので、料理によく似ているんです。その段取りに慣れている女性のほうが上手だろうと。それにセンスも女性にはかないません。

プロの職人さんの仕事ぶりがやけにのんびりしているのは、ちゃんと確認しながら作業を進めているから。それがキレイに仕上げるコツです。とはいえ「寸法を間違えたらもう1回切ればいい」くらいの大胆さもDIYを楽しむうえでは大切。「あそこの色、ちょっと失敗したなぁ」なんて思っても、それに気付く人は作った本人以外に誰もいません。一生、一人もいないと断言しておきます。ですからあまり神経質にならずに、気軽にDIYに挑戦してみてください。

◆「DIYのほうがプロの仕事よりも頑丈になる理由」

〜DIY雑誌『ドゥーパ!』編集長 豊田大作さん


── 『ドゥーパ!』ではどんなDIYを取り上げているのですか?

私どもの『ドゥーパ!』で紹介しているDIYでしたら「小屋を作る」「ガレージを作る」「ピザ窯を作る」などですね。最近なら「ストーブを自作する」なんて特集も人気があります。

ピザ窯は構造が意外と単純で、耐火物でドーム型やアーチ型や箱型を作るだけ。その中で薪を燃やして温めればピザが焼けます。ホームセンターで耐火レンガを買ってきて、それを耐火キャスタブルという火に強いモルタルのようなもので積み上げていくのですが、レンガが一式セットになったキットも販売されていて、ドーム型やアーチ型を作りやすいようにレンガが斜めにカットされています。

ストーブに関しては、家の中に置く薪ストーブだと溶接が必要になるのでちょっとハードルが高くなります。そこで人気なのがロケットストーブ。これはL字型の煙突が付いたストーブで、身近な材料で簡単に作れて、燃焼効率が良いので調理にも使えます。薪もそのへんに落ちている小枝が使えるということで、もともと被災地の炊き出しでも注目されたほどです。

── マンションやアパートではDIYの音を気にしてしまうのですが。

DIYをするときの音が気になるのでしたら、スプーンやお箸などのカトラリーを刃物で作ってみてはいかがでしょうか。木材を削るだけですからほとんど音は出ません。木材は買ってきてもいいのですが、拾った枝で作るのもおもしろいと思います。削って形ができたら、最後にオリーブオイルや食用油を塗るのが一般的です。その油分が落ち着けば使えます。必要な道具はナイフ1本だけですし、音もしないし、家でコツコツやれるのでDIYの入り口にはぴったりです。

猫を飼っているのでしたらキャットタワーもDIYで作ることができます。材料を買ってきて、必要な寸法に切って、ビスで留めるだけ。重みに耐えられるステップの強度を確保したいので、そこは十分すぎるくらい頑丈に作っておけば安心だと思います。実はDIYで作ったモノはプロが作ったモノよりも頑丈というのが普通ですね。プロはどれくらいが適切かをちゃんと計算して作りますが、DIYだとその計算ができなくて必要以上に頑丈に作ってしまうんです。それが安心して使うためのコツであり、DIYの良いところでもあります。

◆「東急ハンズは不動産屋が始めたお店でした」

〜浜野総合研究所 所長 浜野安宏さん


── 東急ハンズを立ち上げたのが浜野さんと伺いましたが。

はい、僕は東急ハンズの企画開発を手掛けました。そもそも東急ハンズは東急百貨店の系列ではなく、東急不動産が始めたお店。今から40年以上前、不動産が絶不況だったときに東急グループのオーナーだった五島昇さんから「浜野クン、不動産屋がどうしようもないんだけど、どうしたらいいかな?」と相談を受けて、「土地と家だけを売るのではなく、楽しい生活のあり方を提案しては」と答えました。そこから生まれたのが「クリエイティブ・ライフ・ストア」というコンセプトです。

ですから厳密に言えば東急ハンズはDIYの専門店ではありません。DIYの専門店はモノを売るお店ですが、東急ハンズはライフスタイル、言い方を変えれば生活を売っているお店です。当時、すでに郊外には大型のホームセンターはたくさんありました。でも東急ハンズはモノを並べて売るだけではなく、アウトドアライフを提案したり、毎日の生活をきめ細かく見つめ直すシリーズを考えたりするお店で、これは東急ハンズが初めてだったと思います。

── 東急ハンズといえば渋谷店が有名ですよね。

渋谷店が東急ハンズの1号店だと思われていますが、実は1号店は藤沢です。渋谷で始めようとしたら五島さんに「最初は地方で実験してくれ」と言われてそうなったのですが、すでに大型ホームセンターがある地方で始めるのは辛かった記憶があります。ただ、現地を視察して「ここにアメリカみたいな巨大な看板を出したらおもしろいのでは」と思って藤沢の1号店をオープンさせました。そこが成功して、次が二子玉川。そして渋谷へと駆け上がったという経緯です。

もっとも最初の頃は何をどこで仕入れたらいいか従業員がわからなくて、いろいろ苦労もありました。たとえば最初の頃に試したのが「お医者さんごっこ」です。本物の聴診器が余っていたメーカーから大量に仕入れ、ゴムの部分を黄色や赤などカラフルにして「お医者さんごっこにどうぞ」と販売したんです。それこそが遊びでありスタイルであるということを従業員も学びながら東急ハンズは発展していきました。

── 「何かのときに頼りになる」というイメージの東急ハンズですが。

売り場で大切にしたのは「こんな包丁ありませんか?」と言われたときに「ない」とは絶対に言わないこと。必ず何かを探してくるだけの専門知識を持ち、さらにより良いモノがあるなら押しつけるのではなくちゃんと説明する。それだけは徹底しました。そのルーツになったイメージは、パリの「ブリコラージュ」、もしくは日本の「伊東屋」ですね。そこから生まれたのが東急ハンズです。

TOKYO FMの「ピートのふしぎなガレージ」は、《サーフィン》《俳句》《ラジコン》《釣り》《バーベキュー》などなど、さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介している番組。案内役は、街のはずれの洋館に住む宇宙人(!)のエヌ博士。彼のガレージをたまたま訪れた今どきの若者・新一クンと、その飼い猫のピートを時空を超える「便利カー」に乗せて、専門家による最新情報や、歴史に残るシーンを紹介します。

あなたの知的好奇心をくすぐる「ピートのふしぎなガレージ」。4月8日(土)の放送のテーマは《旅行ガイドブック》。お聴き逃しなく!

<番組概要>

番組名:「ピートのふしぎなガレージ」

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット

放送日時:TOKYO FMは毎週土曜17:00〜17:50(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)

番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/garage



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■番組聴取は【コチラから http://radiko.jp/share/?sid=FMT&t=20170401170000】(無料)

聴取期限 2017年4月9日 AM 4:59 まで

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