加齢臭のにおい成分を分析する研究者(資生堂提供)

写真拡大

資生堂は2017年4月5日、疲労回復や老化防止の効果があるとして、サプリメントや化粧品に含まれている成分「コエンザイムQ10」に、加齢臭を抑える効果があることを初めて発見したと発表した。

この研究成果は、日本補完代替医療学会誌の第14巻(2017年)に発表される。

コエンザイムQ10の抗酸化力がにおい成分発生を抑える

資生堂の発表資料によると、加齢臭は男女ともにあり、個人差があるが40代から目立つケースが多い。加齢臭の原因物質ノネナールは資生堂の研究者が1999年に発見した。年を重ねると増える皮脂成分のバルミトオレイン酸が酸化するとノネナールに変化するのだ。においを抑える対策としては従来、皮脂や汗を洗い流したり、制汗剤を使ったりするなど、外側からのケアが中心だった。

研究チームは65〜74歳の女性6人にコエンザイムQ10を毎日100ミリグラム摂取してもらい、肌から放出されるノネナールの濃度を4週間後に計測した。濃度は摂取前と比べ2〜3割減少した。この成果によって、コエンザイムQ10を摂取し、体の内側からのケアが可能になったという。

コエンザイムQ10は人間の細胞にあるミトコンドリアがエネルギーを作る際に使われる成分で、加齢とともに減少する。コエンザイムQ10の強い抗酸化力が、バルミトオレイン酸が酸化しノネナールに変化するのを防いでいるとみられる。コエンザイムQ10は、イワシや牛肉、ブロッコリーなどにも含まれているが、通常の食事では1日5〜10ミリグラムしか摂取できないため、サプリメントが多く発売されている。実験に使われたコエンザイムQ10の100ミリグラムはイワシだと20匹分に相当する。