意外と多い「生理前の不眠症」、どうして起こる?

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生理が近づくと日中も眠くて仕方ない女性がいる一方で、生理前の不眠に悩む女性も意外と多いのです。しかしいずれもPMS(月経前症候群)の症状とされています。そしてPMSは30代からの発症が多く、“30代中期症候群”という別名があるほど。アラサー女性には他人ごとではありませんね。

そこで今回は予防医療推進協会の理事長を務める筆者が、生理前の不眠の原因と対処法をご紹介します。

■生理前は体温が下がりにくい

育児経験のある人なら、赤ちゃんが眠くなると手足が熱くなるのをご存知かと思います。実は人は体温が下がって眠気を催します。生理前の黄体期は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で“高温期”と呼ばれるように体温が上がり、就寝時間になってもあまり体温が下がりにくいのです。これが寝つきが悪くなってしまうひとつの原因だと考えられます。

そして眠っているつもりでも睡眠の質が悪くなるので、日中の眠気も起こりやすくなってしまいます。体温の調節をしている自律神経は、生理前でイライラしていると交感神経が刺激され、さらに不眠を招いてしまいます。

ゆっくりと鼻から息を吸い、ゆっくり完全に息を吐ききる深呼吸は副交感神経を刺激し、苛立ちも抑え、眠気を誘発してくれるのでお勧めです。眠れないからとベッドでイライラするよりも、起き上がって静かに深呼吸をしてみるのもいいでしょう。また寝る前にリラックス効果のあるアロマやハーブティもお勧めです。

■便秘も不眠の原因に!?

日常的に便秘気味の人が、生理前になるとさらにひどくなることってありますよね? 実はこれもプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響だと言われています。プロゲステロンは腸の蠕動運動を抑制する働きがあるため、便秘もPMSの症状のひとつ。

日常的に便秘気味の人が生理前になるとさらに腸内環境が悪くなってしまいうことがあります。実は花王株式会社ケアビューティ研究所の小野茂之氏らの研究によると、ビフィドバクテリウムという腸内細菌が多い人ほど腸内環境が望ましい状態であり、睡眠も良好であるのに対し、便秘の人はビフィドバクテリウムが少なく、睡眠障害に悩む傾向にあるとのこと。

単に便秘でお腹が張って眠れないというだけでなく、腸内細菌が直接睡眠に関係しているとなると、より一層腸内環境の改善を心掛けるようにしたいですね。

自律神経、腸内環境がPMSの大きなキーワードです。その点から考えると、普段から規則正しい生活や発酵食品、食物繊維の摂取をしっかり心がけて頂きたいと思います。

【参考】

※ A pilot study of the relationship bitween bowel habits and sleep health by actigraphy measurement and fecal flora analysis.

【筆者略歴】

SAYURI・・・長年の医療業界での経験を生かし、健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーとして執筆活動や講演活動をする傍らNPO法人予防医療推進協会の理事長も務める。著書は『本当は怖いデスクワーク(日本実業出版社)』。

【画像】

※ megaflopp / shutterstock