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●大胆に変わったポメラ
キングジムは10月4日、2008年から人気のデジタルメモ「ポメラ」シリーズにて、新製品の「DM200」を発表した。ポメラは一見するとコンパクトなノートPCだが、できることは「文章を入力する」だけ。画像表示やインターネット接続の機能をあえて省き、「快適に文章を入力」することを追求した人気の製品だ。ところが新製品では、なんとWi-Fiに対応、さらに電源も乾電池からバッテリ駆動へと変わった。

○テキスト入力だけなのに人気の理由とは?

前述したように、ポメラは「快適に文章を入力する」ことに特化した電子メモ帳。このため、画像やWebサイトの表示は文章入力の邪魔になるとして、あえて排除してきた。機能をシンプルにすることで、本体は軽量コンパクト。さらに、バッテリ駆動時間はDM200が約18時間とノートPCと比較しても非常に長い。そして、開くとすぐに入力できるストレスフリーな使い勝手などが人気となり、今では累計販売台数30万台以上のヒット商品だ。

本体サイズはコンパクトながら、文章入力に重要なキーピッチは17mmと、比較的余裕のあるサイズ。しかもキーボードには、キーの端を打鍵してもキートップが均一に沈む「V字ギアリンク構造」を採用している。

さらに、日本語入力システムとしてジャストシステムの「ATOK」を採用したり、文章入力をサポートする辞書機能を持っていたりと、「文章入力」に関する機能に手を抜いていないのも人気の理由だ。文章のプロであるライターにも、ポメラ愛用者は多い。

●ハードウェアと「ATOK」が大きく進化
○ハードウェアが大きく進化

DM200でまず気が付くのが、画面の大きさ。従来製品のDM100は5.7型(解像度800×600ピクセル)だったが、DM200は7.0型(解像度1,024×600ピクセル)のTFT液晶画面に。一画面で確認できる文字数も増え、かなり快適になっている。

また、なんといっても驚きの変更点が内蔵バッテリの採用。ポメラといえば乾電池で駆動し、電池が切れてもコンビニや売店などで手軽に補給できる点も人気だった。ところが、新製品DM200は電源をリチウムイオンバッテリに変更した。

キングジムによると、これは乾電池のランニングコストを考慮したのと、スマートフォンの普及でモバイルバッテリが一般化したことが大きな要因。DM200はこのモバイルバッテリからの充電(microUSBポート)に対応することで、仮にバッテリが切れても、モバイルバッテリがあれば続けて作業できる。今では、ほとんどの人がモバイルバッテリを持ち歩いているのではないだろうか。

○日本語入力システムも進化

文章入力に欠かせない日本語入力システムには、今回もジャストシステムの「ATOK for pomera [professional]」を搭載する。ポメラ用にチューニングされたATOKで、従来機の約3倍の語彙力を搭載しているという。

新ATOKで特徴的なのが、前後の文脈から入力を補正する機能。たとえば、従来は「ぶどう」と入力すると、どんな場合でも選択候補トップに「武道」という漢字が表示された。新ATOKでは、前後の文章に「みかん」という単語があると「『ぶどう』は果物のブドウではないか」と推察し、カタカナの「ブドウ」を選択候補トップに表示する。

また、「きって(kitte)」を「きtって(kittte)」と入力するような簡単な打鍵ミスや、「ありがとうござます」など子音の入力不足を「ありがとうございます」に補完するなど、文章に応じた自動修復機能も搭載した。さらに、「高速道路」を「こうそくどいろ」と間違え、入力しなおすと、次回からは「こうそくどいろ」と入力しても「高速道路」が候補にあげられるなど、さまざまな入力支援機能を搭載する。

●ポメラ史上初のWi-Fi機能を搭載
○ポメラ史上初のWi-Fi機能を搭載

DM200で特に注目されたのがWi-Fi機能の搭載だ。Wi-Fi機能でできるのは、DM200とiOS端末(およびMac)で相互に文章が編集できるようになる「ポメラSync」。そして、クラウドストレージやメールアカウントにテキスト送信ができる「アップロード」の2つだ。

iPhoneやMacなどが搭載するアプリ「メモ帳」は、Gmailとの同期が可能なのだが、「ポメラSync」機能は、DM200で書いたテキストを、この「メモ帳」に同期させることが可能だ。DM200で入力した文章をiPhoneやMacで追加入力・編集したり、iPhoneやMacでメモ帳に入力した文章の続きをDM200で入力したりといった作業ができる。

「アップロード」では、Evernoteなどのクラウドストレージにテキストデータをメールでアップロード可能。アカウント情報を設定することで、メール送信もできる(メール受信は不可)。さらに、メールを用いたデータ受信に対応したプリンタから、DM200で書いた文章を印刷することも可能だ。

ちなみに、DM200のWi-Fi機能は、「ポメラSync」と「アップロード」を使用する時のみ有効になる。常時接続にしないことで、バッテリの消費を抑えているそうだ。

○以前から備える便利機能もパワーアップ

従来モデルからの機能もパワーアップ。前機種DM100には、スマートフォン用アプリ「pomera QR code reader」と使って、編集中のテキストをDM100側でQRコード化して読み取る機能があった(スマートフォンに編集中のテキストを転送)。最大で全角4,800文字まで読み取れたのだが、DM200は、読み取り文字数が最大50,000字まで増えている(複数のQRコードに分割する必要があるが、これはQRコードの規格による制限)。

また、以前からの辞書機能も継続して採用。従来は「明鏡国語辞典MX」「ジーニアス英和辞典MX」「ジーニアス和英辞典MX」を搭載していたが、DM200はさらに「角川類語新辞典.S」が加わった。Bluetooth機能も引き続き備え、DM200をBluetoothキーボードとして利用し、スマートフォンやタブレットで文字入力が行える。

(倉本春)