先日、「音楽を知らなくてもロックTシャツを着ていいのか?」という論争がネット上で巻き起こりましたが、個人的にはあんまり着てほしくないなぁ。そんな事が許されるのは、後輩が選んだMEGADETHのTシャツを何も知らずに着こなしていた現役時代のブル中野くらいで。

兎にも角にも、自身の嗜好をアピールする手段に“ファッション”は有効。中でも、ロックテイスト溢れるアイテムは世に意外と多いものです。

どうして、便所サンダルにスタッズを付ける?


「おしゃれは足元から」と、ファッション通はよく口にします。カート・コバーンばりにジャック・パーセルを履きこなす人もいるだろうし、ブライアン・セッツァーを意識してジョージコックスを愛用する人も多いはず。

しかし、私はこれを選びたい。日本初・便所サンダル専門通販店として好事家の間で名を馳せる「ベンサン.JP」が、ロックテイスト溢れる「スタッズベンサン」を発売していました。


見てください、このルックス! どうしちゃったのでしょうか。「ベンサン.JP」店主の飯田正勝さんに話を伺います。
「私の友人が『面白いことを思いついた』と言うのでベンサンを貸したら、返ってきたのがスタッズでカスタマイズされたベンサンでした。でもこのデザイン、かねてより自分もいつかやろうと思っていたアイデアだったんです。あと、マキシマムザ亮君(マキシマムザホルモン)の友達も、スタッズを付けたベンサンを自作してTwitterにアップしていました」(飯田さん)


「これらを見て『もう、やるタイミングが来ている』と決意しました」(飯田さん)

というわけで、2014年4月から「スタッズベンサン」の販売をスタートさせた同店。しかし、その手間は予想以上でした。
「30個のスタッズを合計1時間かけて接着し、乾くまで24時間放置します。そして24時間後に試着テストすると、だいたい半分くらいは外れてしまう。そうなったら、接着剤の跡が綺麗になるまでやすりでこすらなければいけませんし、スタッズをもう1回付けたらまた24時間放置して……の繰り返しです。また、お客様に商品を送付して間もなくスタッズが外れてしまったら修理にも応じていました。もう、面倒臭くて……」(飯田さん)

とは言え、「これは趣味の範疇だ」と割りきって発注に応じていた飯田さん。しかし、そうもいかない状況に突入します。
「『タモリ倶楽部』の“ベンサン特集”に出演させていただいたんですが、その時、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんがスタッズベンサンを見て『ミュージックステーションに履いて出ます!』とまで言ってくれたんです。その時は冗談かと思ったんですが、鬼龍院さん、本当に履いて出てくれて。それが話題になったみたいで、オーダーが激増しました」(飯田さん)

こうなると飯田さんのキャパを超えてしまい、新たな展開を考えなければいけない状況となりました……。

便所サンダル専用の“一体成型”スタッズチャームが完成!


同店、8月末より『スタッズベンサンカスタマイズチャームZ』(税込3,780円)の予約販売をスタートさせています。


ソリッドで重厚、頑丈にして剛健、“一体成型”のスタッズチャーム左右合計30発が“カスタマイズキット”としてリリースされたのです!

ここで「一体成型のスタッズチャーム」とは何なのか、もうちょっと詳しく説明していただきましょう。まずは、以前の「スタッズベンサン」をどのように製作していたかの解説から。


「プラスチック製の(クロックスにつける飾りの)ジビッツの土台と、合金製でネジ式のスタッズを使っていました。ネジを外したスタッズとジビッツを1つ1つ接着剤で付けていたんですが、これが面倒臭いんですよ。しかも、それぞれ違う素材ですしね……」(飯田さん)

そこで同店は、遂に「壊れない、外れない」ための一体成型のオリジナルスタッズを某社に依頼。結果、ヘビーで頑丈なスタマイズ専用スタッズが完成しました!


「基本は、ダンヒルのサンダルに合わせることを想定したキットです。30個という個数もダンヒルに合わせて設定しています」(飯田さん)

ちなみに、ダンヒルのサンダルは別売り。要するに、購入者の好みに合わせたカラーで「スタッズベンサン」を自作することができるのです。
「やっぱり、黒がオススメですね。もちろん他の色でも皆さんご自由にカスタマイズしていただきたいんですが、外で履く際に最も合わせやすいのが黒なので。例えば茶色だと、いかにもベンサンに見えてしまいます。そういう意味で、黒カラーを”初心者向け”と呼んでいます」(飯田さん)

ちなみに、ダンヒルの通常サイズ(Lサイズ)2足の重量はおよそ425gだそう。これにスタッズチャーム30発を付ければ約570gになります。これ、もしも不意にモッシュするとしたら重過ぎやしないだろうか……?
「いえ、スタッズを付けず元から600gある既成品のサンダルも他メーカーにはありますし、気にならない程度の重さだと思います」(飯田さん)

密かに履いている有名人がいる


ちなみに、こういうサンダルはどういう人が履いているんでしょうか?
「バンドマンがファッションとして履いていることが多いようです。ハズシにはなるけど、ロックっぽさもあるという」(飯田さん)
ユーザーとしてはマキシマムザホルモンやゴールデンボンバーのファンはもちろん、NMB48の木下百花さんも履いていたそうです。

いや、たしかにこういうベンサンを履いているとテンション上がるでしょうねえ! 購入者からは、以下のような反響が寄せられているそうです。
●「よそ行きのおしゃれサンダルとして履いてます!」
●「“ベンサン感”を表に出しつつ、“カスタムした感”も前面に出てて最高です!」
●「子どもの幼稚園送迎時に緑のスタッズベンサンを履いているのですが、子どもたちに『うわぁ〜、クッパだ!』と騒がれておばちゃんモテモテです(笑)」

最後に、確認させてください。もう、スタッズベンサンはキット販売しかしてないんですか? 飯田さんが製作した完成品を発売……ということは行われないんでしょうか?
「もう、そうですね。面倒なので」(飯田さん)

現在、『スタッズベンサンカスタマイズチャームZ』は予約販売を受付中。お届けまでは1〜2カ月かかるという状況だそうです。
(寺西ジャジューカ)