9月10日と11日の2日間、フランス西部ウドン市で、うどんを食べるという日仏交流イベントが開かれた。開催のきっかけはJALパック・パリ支店。今年6月にパリで行われた日本酒試飲会の際、同支店が香川県に提案し、今回のコラボ企画は進んだ。うどんの販売は、パリ市内シャンゼリゼ通り近くにあるうどん屋「喜心」が担当。香川県は観光誘致ブースを設け、県のアピールを行った。実際、現地はどのような様子だったのか。



うどんの前には長蛇の列が


ウドン市(Oudon:フランス語発音でウドン)はフランス西部、ロワール川河畔にある、ゆっくりと時間が流れる町だ。今回のイベントは、同市内にあるウドン城敷地内で開かれた。



雰囲気はまさに町内会のお祭りだ。うどんの他にウドン市周辺の地域産品も並び、地元の人が散歩がてら顔を出す和やかさ。住民以外には、ウドン市から電車で約20分の距離にある都市ナントなどから、フランス人と結婚し現地で暮らす日仏ファミリーなどが訪れていた。一方でJALパックで企画された、パリからウドン市への日帰りツアーは、定員に満たず催行されなかった。



うどんの価格は1杯8ユーロ(約920円)、またはカルピス1杯とうどんのセットで10ユーロ(約1200円)。うどんは、その場で生地をこね、麺を切ってゆでる本格派だ。



フランスでウドンの知名度はまだまだ低い。中には生地をこねる姿を見て「ピザ?」という人もいた。初めて口にする味にフランス人の反応は様々だった。もちっと粘り気ある麺の食感に賛否が分かれていたものの、つゆはおおむね好評だった。

初めての試みということもあり、予想外の事態が起こった。10日は十分な調理設備を整えられない屋外での開催ということもあり、電気コンロが火力不足で思うようにうどんをゆでられず、昼時の客を上手く裁くことができなかった。結果、うどんを手にするまで、並んでから1時間半ほど待たねばならなかった。



ウドン市とうどん県、今後の広がりは


今回香川県にとって、うどんの認知以外にも収穫がいくつかあった。うどん以外の県産品のプロモーションを行えたことに加え、フランスには潜在的に四国遍路に興味を持つ人が多くいるということが分かった。フランス人は、スペイン北部の町サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼に馴染みが深く、遍路の仕組みや始め方について質問を受けることがあったそうだ。



今後はどのような展開を考えているのか?

JALパック・パリ支店は2年目以降も続けていきたいそうだ。毎年開催することで認知度を上げ、将来的には規模も大きく、香川県からうどん屋を呼ぶこともできればと願っているとのこと。現地香川県庁関係者は、来年以降の確定はできないものの、こういう試みは可能であれば続けていきたいという。

始まったばかりのウドン市とうどん県の交流。芽吹いたばかりの慣れない部分がある中で、その小さな双葉は少しずつ大きくなろうとしている。
(加藤亨延)