立つ、寝る、しまう。「変形自在の自律走行車」のコンセプト

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カナダの重工業をリードするファミリー企業・ボンバルディア。数々の常識を超えた乗り物のコンセプトを発表してきた創業者の孫でエンジニアのチャールズ・ボンバルディアが今回紹介してくれたのは、用途に応じて形を変える自律走行車「Swing」だ。

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MITメディアラボは2007年、後輪を折り畳んで駐車スペースを節約できるコンセプトカー「CityCar」(日本語版記事)を発表した(文末に、2011年に撮影されたCityCar1/2モデルの動画を掲載)。

わたしはCityCarのアイデアをさらに発展させ、運転者がどこにいるか、何をしているか、何を感じているかに応じてシートのセッティングや形状を変えることができる自動運転車「Swing」を考案した。

Swingは、フレームにある回転軸を使って折り畳むため、ホイールベース(前輪から後輪までの距離)が約50パーセント短くなる。高速走行時には車輪を伸ばして安定性を最大にする。駐車時には折り畳むことにより、駐車スペースは通常の3分の1以下で済む。

Swingの動力源は、液冷式電気モーターにつながれた200馬力の水素燃料電池で、後輪と車室の間に設置されている。車内には大人2名と荷物を載せることができる。前部から乗り込むようになっているため、高齢者や乗り降りが不自由な人でも楽に乗ることができる。

Swingは好みに応じて、普通のクルマのように伸ばしたままにすることができ、シートもそれに応じて適切な形になる。シートは、各種の形状記憶フォームや通気チューブから成る調節可能な20のクッション部分で構成され、乗員の体を温めたり冷やしたりすることができる。これらのクッション部分を調整することにより、それぞれのシートを任意の形にすることが可能だ。例えば、わたしが考案した「NightCar」のコンセプトのように、眠りたいときはフルフラットにすることができる。

Swingは、乗員が立ち上がった状態でも走行できる。渋滞した都市部での低速走行中に、周囲を見るために便利かもしれない。クルマの安全性が劇的に向上したら(クルマの自動運転が開始されるときにはそうなっているべきだが)、走行中に立ったまま本を読んだり、景色(または携帯電話の画面)を見たりするのも楽しいだろう。いまは、スタンディングデスクが人気だ。「スタンディング自動車」があってもいいはずだ。

形状変化自動車Swingのレンダリングは、モントリオールを拠点にするフリーランスの工業デザイナー、アドルフォ・エスキヴェルによる。彼は、潜水もできる水陸両用車「Libelule(日本語版記事)」や、ウェイクサーフィン(専用のボートを使って人工的につくられた波に乗るサーフィン)用のタグボート「Sea-Bull」などのコンセプトのレンダリングも手がけている。

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