以前、コネタでも紹介しましたが、国民的着せ替え人形「リカちゃん」がTwitterやInstagramを積極的に活用していることはご存知でしょうか? これまでのリカちゃん、大人の女性からは「なつかしい」「昔、遊んだ!」と思われがちでしたが、昨今は“今を生きる等身大の女の子”としてかつて以上に魂が吹き込まれているようです。

それだけではない。タカラトミーは、リカちゃんと共に時代を歩み成長した女性にも愛されることを目指し、2015年6月より大人向けブランド「LiccA(リカ)」を展開。同ブランドは、こだわりを追求した大人向けドール「LiccA Stylish Doll Collections(リカ スタイリッシュドールコレクション)」第4弾の予約受付を8月24日より開始しています。
今回発表されたのは、ドールセット『LiccA Stylish Doll Collections ボタニカルホリデー スタイル』(希望小売価格12,000円/税抜)とウェアセット『LiccA Stylish Wear Collections ラヴァブルミリタリー スタイル』、『LiccA Stylish Wear Collections ヴェルヴェッティーソワール スタイル」(希望小売価格:各6,500円/税抜)の3商品。



これ、素敵じゃないですか!? もう、完全なるリアルクローズ。今の流行をセンス良く取り入れ、「こんな洋服を着てみたい!」と女の子に思わせるファッションをリカちゃんが着こなしています。
そして、それは道理でした。なんと今回の第4弾、スタイリストの高橋リタさんをスタイリングアドバイザーに迎えて製作されたというのだから!

プロのスタイリストが、とことんリアルにリカちゃんのコーディネートを考案


昨日(9月2日)、都内某所にて高橋リタさんを囲んでの記者説明会が開催されました。高橋さんから今回のこだわりや、ご自身のリカちゃんとのエピソードなどをお話いただける貴重な機会です。ここへ、私もお邪魔してきました!

まずは高橋さんにスタイリングを依頼した経緯を、タカラトミーが説明します。
「我々はおもちゃのプロではあるのですが、ファッションという部分で本当のプロの方にご意見を伺いたいと思っていました。そしてファッション雑誌等を調べていると展開したい衣装の多くがリタさんによるものだったので、リタさんにご依頼することになりました。コンセプトは、『上品で上質なコレクション』。今回は、カジュアルでありつつ上質なものを作ることを目指しました」(タカラトミー担当者)

とは言え、「おもちゃ」という分野に取り組むのは高橋さんにとっても初めての経験です。
「まず『どのような衣装を考えているんですか?』と伺ったところ、『カジュアルで上質なコレクション』ということでした。私は今、Oggiという雑誌で『RITA'S BASIC』という連載を持っているんですがそちらでスタイリングを組む際、あと、私のブランド『R』で商品を展開する際は必ず『カジュアルであること』と『上品で上質なコレクションであること』をベースに作っています。すごくリカちゃんのスタイリングとリンクする部分が多かったので、これならできるかな? と思い、お受けすることにしました」(高橋さん)

今回、特に高橋さんは「20〜40代の女性が着られるリアルクローズ」という点にこだわったそう。さらに付け加えて、「リカちゃんが実際に女性の服を着るとしたら」ということも想定しているそうです。
「特にこだわったのは素材感です。例えば、実際の女性が着るようなツイードのアイテムだったり」(高橋さん)


「花柄のスカートはオリジナルのプリントを起こしているんですが、そういった素材感、柄、色、質感にこだわり、お人形さんのお洋服に終わらないようなリアルクローズにこだわったのが一番大きなポイントです」(高橋さん)


「それに合わせて、小物使いも重視しました。実際の女性って毎日バッグも変えるし、靴も変えます。小物一つで十分表情が変わるので、小物で着回しができるように新しい物をご提案しています」(高橋さん)


「パールのネックレスやサングラスを付けていたり、今のファッション誌に出てくる小物を普通にリカちゃんも使っています」(高橋さん)




相反する2つのキーワードの組み合わせが今っぽい


高橋さんには、より細部にフォーカスした解説もしていただきました。
●「LiccA Stylish Doll Collections ボタニカルホリデー スタイル」
コーディネートの主役は大人ガーリーな花柄スカート。旬なボーダートップスとコンパクトシルエットのパーカーが色鮮やかな花柄を引き立てます。もちろんカメラもコーディネートの立派なスパイス。真っ白なニットキャップとスニーカーでこなれ感をプラスしたら、スペシャルな写真が撮れそうな予感。


「オリジナルの花柄を起こし、上のボーダーと合う色に調整して何度も何度も試作を作りました。花柄とボーダーって結構荒技な組み合わせです」(高橋さん)


「実際、ファッションページでも『カジュアルだけど女らしい』という相反する2つのキーワードの組み合わせが最近のトレンドになっています。それを実践し、より今っぽいファッションに仕上げました。女らしい花柄のスカートに、スニーカーとニットキャップというカジュアルなアイテムの組み合わせ。小物でカジュアルを表現しています」(高橋さん)

●「LiccA Stylish Wear Collections ラヴァブルミリタリー スタイル」
リッチ感のあるツイードスカートはモードなミリタリージャケットでカジュアルダウン。小物はあえてクラシカルにビッグフレームのサングラスやパールアクセをチョイスしてエレガントさをキープ。シックななかにも程よいヌケ感のあるレディなハイセンスコーデです。


「女らしいツイードのスカートとスポーティなミリタリーのジャケットという、相反する2つのキーワードを組み合わせています」(高橋さん)

●「LiccA Stylish Wear Collections ヴェルヴェッティーソワール スタイル」
マニッシュなピンストライプスーツはタキシードを思わせる光沢のある襟がクール。インナーに合わせるのは高感度なヴェルヴェットのフリンジキャミソール。素材感の違いで様々な黒の表情をみせる上級スタイルに、シルバーの小物を効かせて。ドレスアップの仕上げはスパイシーなハットでキマリ。


「ドレスアップですので最初はワンピースを考えたのですが、すでに黒いドレスの子がいたので『もっとマニッシュな感じのドレスアップを』という方向性になり、こういうパンツスーツにしました。パンツはスタイル良く見えるように、細身シルエットのシガレットパンツにしています」(高橋さん)


「トレンド感も欲しいと思い、ハットを付けたりフレンジのキャミソール、クラッチバッグを持たせたりしています」(高橋さん)



リカちゃんの着せ替えを通して「服育」ができる


こだわりにこだわり抜いた今回のリカちゃんですが、高橋さんにとっては初めての分野への挑戦。当然、困難も少なくなかったようです。「おもちゃ」ならではの苦労についても語っていただきました。
「安全面の基準が厳しくあったので、おしゃれを追求しながらそこをクリアしなければいけませんでした。例えば、ウールやカシミヤのニットをそのまま使えません。本当はゴールドのピアスを使いたいんだけど、どうしても基準をクリアできなかったこともありました。ハットやかごも実際の麦わら素材が使えなかったんですが、そこは近い風合いもありつつ基準もクリアできる素材を選ぶことでクリアいたしました」(高橋さん)

一方、ファッションのプロを招いたタカラトミーも十二分な感銘を受けた模様。
「やっぱり、我々だと“安心する色”を入れたくなるんですね。例えば、黒にはピンクを足したりとか。でも、そこであえてシルバーをご提案いただいたり、今までにない刺激をいただいて勉強になりました」(タカラトミー担当者)

では最後に、高橋さんからリカちゃんファンへメッセージを。
「リカちゃんの対象年齢は15歳以上ですが、食育ではなく『服育』としてリカちゃんの着せ替えで遊ぶことによってファッションのセンスは磨かれると思います。また、ご自身のワードローブ気分で着回しを楽しむと『明日、何着て行こうかな?』と、ファッションのちょっとしたヒントにもなると思います。ファッションに興味を持ち始める思春期の娘さんとお母様で共有すれば、リカちゃんの着せ替えを通して女同士の会話ができ、楽しいんじゃないかなと思います」(高橋さん)

実は、8月27日に発売された「Oggi」(小学館)の10月号にて、リカちゃんがモデルになったファッションページが展開されています。もちろん、このページは高橋さんによるプロデュース。この企画では今回の3ポーズのリカちゃんが登場しているので、そちらも必見です。
(寺西ジャジューカ)

※「高橋さん」の高は、本来は高の異体字