14年にツアー初優勝を挙げた思い出の舞台、復調のきっかけをつかめるか(撮影:赤澤亮丈)

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<フジサンケイクラシック 事前情報◇31日◇富士桜カントリー倶楽部(7,471ヤード・パー71)>
 岩田寛のPGAツアー本格参戦初年度はリオ五輪の閉会式が行われた8月21日(日)で幕を閉じた。
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 これはプレーオフシリーズの進出がならず、シード権の確保に失敗したことを意味する。シーズン序盤の「AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ」で4位タイに入るも、そこが早々に訪れたハイライトだった。その後は、慢性的な不調に悩まされて下位でのフィニッシュや予選落ちを繰り返す日々。「最後のほうは引きこもってました」海の向こうから聞かれる岩田のコメントも苦悩に満ちていた。
 レギュラーシーズン最終戦を終えてFedExカップポイントランク146位。入れ替え戦に回ることが決まって出た前週の日本ツアー「RIZAP KBCオーガスタ」でも予選落ちを喫した。今大会も2014年のチャンピオンは芸能人らも出場する華やかなプロアマ戦に入ることもなく、14時30分過ぎにひっそりと練習ラウンドをスタート。ツアー初優勝を果たした舞台を回っても今は何の感慨もない。「調子は良くないですね…」岩田はこの日もやっぱり、苦悩の中にいた。
 そんな時、岩田の表情がふと和らいだ。報道陣の囲みの中にひょっこり顔を出したのがベテランの久保谷健一だった。
久保谷「なになに?なんか面白いこと話してるの?」
岩田「何も面白い事ないですよ。久保谷さんは“調子悪い悪い”言ってシレっとアンダーで回ってくるから良いですけど」
久保谷「最近はそんなの出来ないんだよ(笑)。でもお前はさ、パターが上手いんだから調子悪いなら入れまくるしかないんだよ。パターが入ってくればショットも気楽に打てる。平塚哲二みたいな感じで(笑)。でも本当にツアーで一番パターが上手いんだから。ちょっとショットがハマればすぐアンダーが出る」
岩田「…ごちそうさまです。それでいきます(笑)」
 何気ない会話だったが、確かに今の岩田には響くものがあったようだ。「最近は練習もあまりしたくなくて、レンジで打ってもすぐやめてパターまでいってなかった」。ショットに悩むあまり、強みであったパッティングがおろそかになっていた。もちろん、急に調子が上向くことはないが、「散々何が悪いか考えたけどわからなかった。案外簡単なことのような気がする。今の話じゃないけどふとしたことで気づければ」。
 周りを見れば岩田には支えてくれるスタッフもプロ仲間も多い。前週には谷原秀人にスイングを見てもらったという。復調に導く“ふとしたこと”はすぐそばにあるのかもしれない。

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