3月26日、北海道新幹線の新青森〜新函館北斗駅間が開業した。



東京駅から新函館北斗駅間まで最速列車4時間2分、普通車指定席では22,690円(スーパーモバイルSuica特急券購入時には15,460円)で行けると聞く。

一方、飛行機を利用すると、羽田空港から函館空港までは約1時間20分程度で、航空会社によっては13,000円台もある(シーズンにより異なる)。

飛行機でのお得なプランも


前評判としては「特に首都圏からは飛行機で行くほうが断然早いし、安い」という声が多かったが、はたして開業によってどの程度賑わっているのか。
報道によると、北陸新幹線開業3日間の乗車率は平均48%だったのに対し、北海道新幹線は平均43%だったそう。
そこで、開業直後のある週末、あえて飛行機で函館に行ってみた。
ちなみに、北陸新幹線のときもそうだったが、新幹線開業前後は新幹線に対抗すべく、航空券+宿泊のお得なプランが多数用意されているので、狙い目の時期でもある。

まず驚いたのは、函館空港から函館駅までの移動がバスで20分強(410円)と、非常に近く、料金も安いこと。
移動手段として飛行機か新幹線か選ぶ際、「飛行機は乗っている時間が短いし、早割使えば安いけど、空港から市街地までが遠いからなぁ」と悩む地域は多いが、函館に関しては非常にアクセスが良いのでデメリットを感じない。

函館駅前に着くや、地元放送局の人に声をかけられた。「どちらからお越しですか。飛行機ですか」と。「飛行機派」の声を拾う意図らしい。似たようなことを考える人は案外いるのだろう。

開業ムードにわく函館市内


函館駅構内には、北海道日本ハムファイターズの大谷翔平投手の写真に「海の向こうへ、ストレート。ようこそ、北海道へ」というコピーが添えられた大きな垂れ幕があった。



五稜郭タワーや函館山ロープウェイ、函館駅などの観光スポットの大きな売店には、新幹線開通アイテムも多数。



さらに、函館限定の有名なハンバーガーチェーン「ラッキーピエロ」にも、新幹線開通記念グッズやセットメニューがあり、北海道新幹線の開業を盛り上げている。





朝市でいか釣り体験


テレビなどで最も紹介されていたのは「函館朝市」だが、まず驚いたのは、客引きの言葉が優しいこと。
「何かお探しですか」「何か探してますか」と聞かれ、全然しつこくないので、安心してアレコレ見たくなる。

目玉となる駅二市場の「いか釣り体験」には、午前11時半頃には約40分待ちの行列が。



「活いか釣り堀 今日のお値段」とあり、日や時期によって価格が変動するらしい。ちなみに、その日は680円。いか釣り体験ができて、その場でさばいてもらえ、食べられるので、ずいぶんお得である。



ただし、いかが大量にいる時間帯には泳ぎにくいこともあり、大きないかが先に釣り上げられていくが、後になると、小さく俊敏ないかばかりが残り、釣りにくくなる。



いか釣りは、いかの数が終わると終了。新幹線で来たファミリーの男の子は、すでにいか釣りが終了になってしまっていることを知り、何度も「こんちくしょう、こんちくしょう」と悔しげに呟いていた。
ちなみに、いか刺名人は、毎日200パイくらいさばいているそうで、見事な仕事ぶりだ。

にぎわいはこれからに期待


ところで、函館のいちばんの観光「函館山ロープウェイからの夜景」には、日の入り時刻間近になると、大量の人が押しかけていたが、驚いたのは、新幹線開業にあまり関係なく、中国人観光客が多かったこと。

新幹線による賑わいの印象を市場や、町の人たちに聞いてみた。
「ここ(朝市)はすごく混んでますけど、春休みは毎年そうですし、函館全体としてはまだまだという感じですね。札幌まで開業して初めて本格的ににぎわうんじゃないでしょうか」
「新幹線で来る人は、まだまだそんなに多くないよね。費用がもう少し安ければね」
「空港が近いから、なんだかんだで、飛行機で来るのがラクなんじゃないかな」

正直、新幹線開業の影響は現時点ではあまり感じられないようだが、まちの歓迎ムードはあたたかいし、食べ物が美味しいし、市電でぐるっと回りやすいし、異国情緒溢れた街並みも美しい函館。



まちが大きくないからこそ、週末1泊2日でも主な観光地は一通りまわれそうなのも魅力だ。
(田幸和歌子)