先日、中国メディアが日本の「ちょうちん文化」について紹介したが、「ちょうちん」と並んで、日本の大衆文化を語るうえで欠かせないアイテムがある。それは「のれん」だ。中国メディア・騰訊網は10日、「日本ではのれんが文化的記号になっている」とする記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF) 

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 先日、中国メディアが日本の「ちょうちん文化」について伝えたことを紹介したが、「ちょうちん」と並んで、日本の大衆文化を語るうえで欠かせないアイテムがある。それは「のれん」だ。中国メディア・騰訊網は10日、「日本ではのれんが文化的記号になっている」とする記事を掲載した。

 記事は、のれんが禅宗と一緒に日本に伝わり、平安時代末期の12世紀ごろには寺社や店、民家などで日よけ、ホコリよけ、風よけ、寒さよけの用途に用いられ、その多くは極めて簡単な作りのものであったと説明。その後、店が特定の時間にのれんを掲げることで営業中であることを知らせる目的で用いられるようになり、それぞれの店が家紋を染め込むようになったとした。

 さらに、江戸時代に入るとのれんに文字が用いられるようになり、より宣伝的な要素が強くなったことを紹介。一方で、のれんは通常2枚で、長さは幅の3倍であることなど、その設計や外観に明確な規定も設けられていたと説明した。

 また、のれんが日本の大衆文化を代表する物の1つであることの例として、作家・山崎豊子が1957年に発表したデビュー作のタイトルが『暖簾』であり、その後『花のれん』で直木賞を受賞したことを紹介した。

 記事は、防寒や風よけといった実用的な機能に加え、各店舗のイメージを表す視覚的機能が備わった日本ののれんは「日本文化の審美の方向性、そして日本のデザインにおける質素な風格を映し出している」と評した。そして、居酒屋をはじめ、さまざまな店の軒先に今も多種多様なのれんが掲げられている写真を併せて掲載した。

 居酒屋に寿司屋、ソバ屋、ラーメン屋、和菓子屋など、今もなおわれわれの日常生活に溶け込んでいるのれん。昼間はもちろんのこと、夜もちょうちんの明かりと相まってノスタルジー漂う雰囲気を醸し出してくれる。のれんはそれぞれのお店の「顔」であると同時に、日本文化の「顔」でもあるのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)