決勝の韓国戦の予想フォーメーション。2トップは久保とオナイウのコンビになりそうだ。

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 初戦の北朝鮮戦から17日目、激闘を繰り広げてきたリオ五輪最終予選も1月30日(土)17時45分(日本時間23時45分)の決勝戦でフィナーレを迎えようとしている。対戦カードは日本対韓国。“アジアで勝てない”と囁かれてきた若き日本代表がいよいよチャンピオンの座を懸け、最後の決戦へと挑む。
 
 ただ準決勝でのイラク戦を制し、五輪出場を決めた日本には小さくない不安が付きまとう。試合前々日のトレーニングでは、左太腿に違和感を覚えた鈴木が姿を見せず、豊川と亀川も別メニュー。南野はすでにクラブからの要請でチームを離れた。さらにイラク戦に強行出場した遠藤は「(痛みのあった足の付け根は)試合後にしては良い状態です」と練習後に語ったが、まだ万全ではない。
 
 現状を鑑みれば、最大のミッションであった五輪の出場権は勝ち取ったわけで、出場機会の少ない選手に経験を積ませるような起用法もアリだろう。
 
 しかし、指揮官が口にするのは「とにかくアジアの1位になりたい」という力強い言葉。一昨年のアジア大会で敗れた韓国にリベンジを果たす意味でも、予想できるのはこれまでの良い流れを汲めるメンバー構成だ。
 
 現時点ではGKには好セーブを連発する櫛引、CBにはイラク戦でスタメンを外れエネルギーが漲っている岩波と植田、左SBは山中、右は消耗度が激しいが安定感は抜群の室屋。ボランチはやはり大黒柱の遠藤を先発させ、一昨年のアジア大会ではPKを献上し韓国戦へのリベンジに燃える大島。2列目は南野が離脱し、豊川のコンディションが微妙であることを考えれば、中島と矢島が濃厚だ。そして2トップは久保とオナイウという組み合わせが考えられるだろう。
 一方で、決勝の相手・韓国で気を付けたいのはここまで4ゴールを奪っている7番のムン・チャンジンだ。予想される4-3-3のなかで、インサイドハーフを務めるであろうこのMFは、サイドに流れて突破を試みたかと思えば、最前線に駆け上がってフィニッシュに絡むなど、まさに神出鬼没なプレーヤーと言える。
 
 加えて両ウイングにも注意が必要だ。レバークーゼンに所属する10番のリュ・スンウとすでにA代表入りを果たしている22番のクォン・チャンフンは、ともに高いテクニックと得点力を備えており、重要な場面でのゴールも目立つ。
 
 この3人に加え、インサイドハーフの8番イ・チャンミンも頻繁にポジションを入れ替え、的を絞らせない攻撃を見せる。
 
 さらに今大会の韓国は、個のタレントだけでなく戦術面でも目を引く戦いぶりを見せている。手倉森監督も、「すごいタクティカルだと思います。3バックで試合に入っても、メンバーを替えずに4-4-2へ変更できる」と認める、その「柔軟さ」が特長となっている。
 
 手倉森監督は「戦略的に楽しみな一戦」と語るが、試合途中でもシステムを変えてくる相手にどう立ち向かうのかは注目だ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)