日本株が急落する中で買うべき株とは? 日本経済の回復と後退の両方向で狙う 三菱電機や関電工などおすすめの銘柄を公開!

写真拡大

2015年末の1万9000円台から大きく下げた日本株だが、今後の動きを握る要素の一つが日本経済の動向だ。2016年度の政府予測である1.7%成長は実現可能なのか。その場合に上がる株は何?もし、実現できなかった場合に買われる株とは? 日本経済を取り巻く事象の分析とともに、景気回復、景気後退それぞれの場合の上がる株をプロに聞いた。

黒田総裁の追加の金融緩和はもはや効果薄、
景気対策と設備投資で成長率は1%半ば程度!


 15年末に政府は16年度の経済見通しを閣議で決定した。その実質GDP成長率は1.7%の予想で、15年度の見込みと比べ大幅なプラスとなる数字だ。ただ、これは約束の2%成長を意識した数字で、「その実現は不透明」との論調が多い。

 では、国内外の投資のプロたちは、日本の成長率をどう見ているのかと言えば、1.7%は無理だとしても、1%台半ばの成長は可能で、その達成には政府による内需拡大の政策が不可欠という声が多い。

 ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦さんは、政府の景気対策を条件に1.4%の成長を予測する。

「7月の参議院選挙に向けての3.3兆円規模の補正予算の編成と実行のほか3年連続での賃上げへの介入などに注目が集まります」(馬場さん)

 同様に1%台半ばの成長率を予想するのは、第一生命経済研究所の永濱利廣さんだ。

「16年度は企業の在庫調整の終了や政府の景気対策の効果も顕在化するでしょう。そして、17年4月の消費増税前の駆け込み需要にも期待ができます」(永濱さん)

 前述の2人よりは若干低めの1.3%の成長を予測するUBS証券の青木大樹さんは、企業が稼いだ利益をどれだけ貯め込んでいるかを示す企業貯蓄率の推移に注目する。

「過去20年以上、企業貯蓄率が高まると物価は低下しています。つまり、企業が利益を使ってこなかったことが内需の低迷やデフレの原因なのです。16年はここがガラッと変わり、企業貯蓄率が20年ぶりにゼロになると見ています」(青木さん)

 継続的なインフレ期待や消費の拡大を背景に、企業はお金を貯め込むより生産設備の拡充や新設にお金を回すようになり、その結果、企業貯蓄率がゼロになれば、物価の1%上昇と名目賃金の2%上昇の達成が見えてくるというわけだ。

景気回復と景気後退の両方を意識しつつ
買い銘柄を選んでおくのが現状の最善策に!

 では、こうした景気上昇局面で上がる株とは?

 今回、プロが挙げてくれたのは、設備投資や内需の拡大で上がる株だ。設備投資では、三菱電機(6503)と関電工(1942)、そして内需関連では優待も魅力のイオン(8267)だ。

 最後に、日銀による追加の金融緩和、いわゆる黒田バズーカ第3弾の効果はどうなのか。HSBC証券の城田修司さんは、もはやあったとしても、その効果は小さいと語る。

「近年は通貨供給量と物価の関係が不安定になっており、量的緩和をすればインフレ率が上昇するという波及の経路が崩れてきています。追加緩和を行なってもその効果は期待薄でしょう」(城田さん)

 ちなみに、景気回復がうまくいかなかった場合の注目株とは?

 プロが挙げてくれたのは、低価格の外食とネットショッピングの計3銘柄。低下価格の外食としてはゼンショーHD(7550)とサイゼリヤ(7581)、ネットショッピングとしては楽天(4755)だ。

 量的金融緩和が限界を迎え、日本の経済成長は、政府による内需拡大の施策と民間主導による設備投資の拡大にかかっていると言えそうで、景気回復と景気後退の両方を睨みながら、対応したいところだ。