これさえ読めばOK!TrueView(YouTube)動画広告出稿の基本手順と設定方法

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日本市場において動画広告の代表的な存在ともいえるTrueView動画広告。圧倒的なユーザー数の動画プラットフォーム「YouTube」に加え、Googleディスプレイネットワークを通じて、YouTube以外のサイトにも出稿できることも特徴の1つです。

TrueView動画広告の出稿はGoogle AdWordsの管理画面から行いますが、さまざまな設定項目があり、独自の言葉を使う場面もあります。本記事では初めて出稿する人でも分かりやすいよう、広告キャンペーンの構造から具体的な設定方法までを解説します。
※本記事でご紹介する出稿手順は2015年12月11日現在の情報です。

目次

1. 広告出稿の準備を整える
- Googleディスプレイネットワークを理解する
- フォーマットの把握
- キャンペーン構造の把握
- 広告用の動画をYouTubeへアップロードする

2. 広告キャンペーンを作成する
- キャンペーンタイプの選択
- サブタイプの選択
- 予算/配信方法を設定
- 掲載ネットワークを選択
- ターゲット地域の設定
- 広告を表示するデバイスを選択
- キャンペーンの詳細設定

3. 広告グループと広告の作成
- 広告となる動画を指定
- 動画広告のフォーマットを選択
- 単価を設定
- ターゲットを設定

1. 広告出稿の準備を整える

TrueView動画広告をスムーズに出稿するため、まずは準備を整えましょう。

Googleディスプレイネットワークを理解する

TrueView動画広告を出稿する上でまず理解しておきたいのが、Googleディスプレイネットワーク(以下、GDN)です。GDNは一言で言えば、広告を掲載できるウェブサイトの集まりで、例えば以下のようなサイトが含まれます。

  • YouTube、Gmail、Googleマップなどの Google関連サイト(Google検索は含まれない)
  • Google AdSenseを導入しているサイト
  • DoubleClick Ad Exchange利用者のサイト

後述する「掲載ネットワークの設定」の際にGDNを含めることで、動画広告をYouTube以外のサイトにも表示させることができます。

▽こちらの動画でもGDNについて学ぶことができます

フォーマットを把握する

2015年12月現在、TrueView動画広告には2つの広告フォーマットがあります。
動画コンテンツの中に差し込む形で表示される「TrueViewインストリーム広告」と、動画コンテンツ以外の場所に表示される「TrueViewインディスプレイ動画広告」です。

TrueViewインストリーム広告

TrueViewインストリーム広告は、動画が再生される前に広告を表示し、5秒経過すると広告をスキップするオプションが表示されます。

インストリーム動画広告は、YouTubeの動画再生ページとGDNの動画配信サイトに表示されます。課金は「ユーザーが動画を30秒間(30秒未満の広告の場合は最後まで)視聴した時」と、「(視聴が30秒未満でも)動画広告のクリッカブルエリアをクリックした時」のいずれか早いタイミングで発生します。

クリッカブルエリアはデスクトップとモバイルで異なりますが、例えば「CTAボタン」「動画共有アイコン」「動画タイトル」などが含まれます。

TrueViewインディスプレイ動画広告

動画へのリンクや動画そのものを広告として表示します。

インディスプレイ動画広告は、YouTube内での「検索結果画面・関連動画・動画内オーバーレイ」と、GDNでのパートナーウェブサイトに表示されます。ユーザーが広告をクリックして動画を再生した場合にのみ、料金が発生します。

キャンペーン構造を把握する

AdWordsは、アカウント、キャンペーン、広告グループの3層で構成されています。

アカウント:ログインメールアドレス、パスワード、支払い情報を登録します。
キャンペーン:キャンペーンタイプを選択し、広告予算や広告の掲載先を設定します。
広告グループ:同じターゲティング条件と入札単価が設定された複数の動画広告クリエイティブで構成されます。

注意したいのが、1つの広告グループに追加できるのは、同じフォーマットの動画広告のみという点です。インストリーム動画広告とインディスプレイ動画広告を掲載するには、別々の広告グループを作成する必要があります。

広告用の動画をYouTubeへアップロードする

TrueView動画広告を出稿するには、YouTubeに広告用の動画をホストしてあることが条件となります。そのため、出稿設定をする前に予めYouTubeに動画をアップロードしておきましょう。

具体的なアップロード方法はこちら:動画のアップロード - YouTube ヘルプ

 動画公開設定について

広告以外で動画の再生や検索が行われないようにするには、動画を限定公開に設定します。

次ページ:広告キャンペーンを作成する

2. 広告キャンペーンを作成する

準備が整ったら、いよいよ広告の出稿を始めます。AdWordsのアカウントを作成してから取り組みましょう。(参考:AdWords アカウントを作成する - AdWords ヘルプ)

キャンペーンタイプの選択

AdWords アカウントにログイン後、「キャンペーン」 タブをクリックします。

続いて、「+ キャンペーン」をクリックし、キャンペーンタイプの「動画」を選択します。

サブタイプの選択

キャンペーン名を入力し、キャンペーンのサブタイプを選択します。

 キャンペーンのサブタイプとは?

キャンペーンのサブタイプを選択することで、より目的に適した広告出稿が可能になります。

モバイルアプリのインストール:広告からアプリを直接ダウンロードできる設定で、アプリのダウンロードを促進します。「モバイルアプリのインストール」を設定するには、こちらの手順をご覧ください。

ショッピング:ショッピング向け動画キャンペーンでは、動画広告の視聴者にGoogle Merchant Centerアカウントの商品を直接アピールできます。動画広告をインタラクティブにし、既に閲覧したことのある商品や視聴中の動画に関連する商品に視聴者を直接導くことができます。「ショッピング」を設定するには、こちらの手順をご覧ください。

予算/配信方法を設定

該当キャンペーンで1日あたりに支払える平均金額を予算として設定します。配信方法はデフォルトでは標準になっています。

 予算の配信方法とは?

予算制限がある場合に、1日の中でどのように予算を配分するかを決めます。
「標準」では、1日を通してユーザーに平均的にリーチできるように広告を表示し、早い時間に1日の予算を使い切ることがないようにします。
「集中化」では、できるだけ早い時間帯に広告を表示します。この場合、1日の後半には広告がまったく表示されなくなる可能性があります。なお、翌日になれば広告掲載が再開されます。

掲載ネットワークを選択

掲載ネットワークの設定では、広告の掲載場所を選択します。次のステップで選択するフォーマットにも関係しています。

 ネットワークの種類

YouTube検索:YouTube検索結果ページに動画広告が表示されます。インディスプレイ広告のみを使用できます。
YouTube動画:YouTubeのホームページ、動画再生ページ、チャンネルページに動画広告が表示されます。インストリーム広告とインディスプレイ広告を使用できます。
Googleディスプレイネットワークを含める: 動画広告のリーチをGDNの多くのサイトやアプリに拡大します。インストリーム広告とインディスプレイ広告を使用できます。

ターゲット地域の設定

キャンペーンのターゲットに設定する地域(または除外する地域)とユーザーの言語を選択します。デフォルトでは下記画像の状態ですので、絞り込む場合はテキストボックスに国や地域名を検索して指定します。

広告を表示するデバイスを選択

特定のオペレーティングシステム、端末のモデル、携帯電話会社などをターゲットに設定できます。アプリ広告を出稿している場合は、アプリを提供しているOSのみに絞りましょう。※広告はデフォルトですべての対象端末に表示されます。

キャンペーンの詳細設定

詳細設定はオプションとなっているため、設定しなくても広告配信は可能ですが、どのような設定が可能なのかを理解しておきましょう。特にフリークエンシーキャップは一定の期間に1人のユーザーが広告を見る回数を設定できる重要な項目です。

広告の掲載スケジュールを設定

開始日と終了日を設定した上で、「持続的に配信するパターン」と「特定の曜日や時間帯のみに配信するパターン」でスケジュール設定が行えます。

広告配信を設定

「広告のローテーション」では、視聴回数重視、コンバージョン重視、広告を均等に表示を選択できます。動画広告をローテーションし、適切なクリエティブを判断するのに使用できます。

 コンバージョン重視とは?

広告のローテーションを行う際に、視聴回数が高い広告を残すのではなくコンバージョンがより獲得できる広告を残したい場合に利用します。この機能を利用するには広告に対するコンバージョン(目標)が何であるかを判別する必要があるため、「AdWordsコンバージョントラッキング」か「クロスアカウントコンバージョントラッキング」を使用している、もしくは「Googleアナリティクスからデータをインポート」している必要があります。
また、原則としてキャンペーン内で過去30日間に15件以上のコンバージョンを獲得していない場合はデータが十分でないため、通常の視聴回数重視で広告がローテーションされます。
(参考:コンバージョン オプティマイザーについて-AdWords ヘルプ)

「フリークエンシーキャップ」では、一定の期間に1人のユーザーが広告を見る回数を設定できます。同じユーザーに対して1つの動画広告が過剰に表示されるのを防ぎます。

「コンテンツの除外」では、ブランド毀損を防ぐために、広告を表示させたくない動画コンテンツやサイトコンテンツを指定できます。元々、暴力的なコンテンツや倫理的に問題のあるコンテンツは除外されていますが、さらにデリケートなトピック(差別やアイデンティティ関連など)のカテゴリを除外するように追加で設定できます。また、埋め込み動画には広告を表示させないといった設定も可能です。

次ページ:広告グループと広告を作成する

3. 広告グループと広告を作成する

広告キャンペーンの設定が終わったら、次は広告グループと広告の作成を行います。

広告となる動画を指定

広告グループ名を決め、「動画の選択」 セクションに予めアップロードしておいたYouTube動画を入力します。

動画広告のフォーマットを選択

動画を指定すると、動画が読み込まれ「動画広告のフォーマット」 セクションが現れます。ここでは 「インストリーム広告」 または 「インディスプレイ広告」 を選択し、必要な情報を入力します。

単価を設定

「上限広告視聴単価」では、動画の視聴1回に対して支払い可能な上限額を指定します。この入札単価は上限広告視聴単価(上限CPV)と呼ばれ、広告グループ単位で適用されます。上限CPVの設定によって、広告が表示されるか(他の広告主の入札に勝てるか)どうかが決まります。TrueViewインディスプレイ動画広告をYouTube検索ネットワークに掲載する場合は、検索結果ページでの掲載順位にも影響します。

入力欄には標準入札単価が表示されますので(画像では¥4〜¥15)この金額を参考にしましょう。前述したように、あまりに低い額で入札を行うと、広告が表示されない可能性があるため、注意が必要です。(参考:広告視聴単価(CPV) - AdWords ヘルプ)

 人気動画の入札単価調整とは?

「人気動画の入札単価調整」では、YouTubeでの人気動画に対してインストリーム広告を出稿する場合の入札単価調整を設定できます。人気動画の定義については明らかにされていませんが、Googleによると「ページの滞在率」や「LPへのクリック率」など複数の要素を組み合わせているとのことです。「人気動画の入札単価調整」の設定項目はオプションのため、必須ではありません。

▽入札単価調整についてはこちらの動画をご覧ください

ターゲットを設定

AdWordsでは、人(ユーザー)でのターゲティングと、コンテンツ(掲載場所)でのターゲティングが可能です。
それぞれ、人(ユーザー)のターゲティングは「ユーザー属性」「興味/関心」「リマーケティング」の設定画面で行い、コンテンツ(掲載場所)のターゲティングは「キーワード」「プレースメント」「トピック」の設定画面で行います。それぞれ見ていきましょう。

人のターゲティング

ユーザーターゲティングの仕組みはCookieベースになっており、その他、SNSなどでユーザーが入力した属性情報を収集できる場合もあります。また、Googleプロフィール由来の属性情報も利用されます。
(参考:ユーザー属性に基づくターゲティング - AdWords ヘルプ)

ユーザー属性

性別・年齢・子供の有無からターゲティングできます。

興味/関心

表示されたカテゴリからトピックを選択することで、そのトピックに関心があるユーザーをターゲットに設定できます。

動画リマーケティング

動画、TrueView動画広告、YouTubeチャンネルの操作履歴に基づいて特定のユーザーに広告を表示できます。

コンテンツのターゲティング

GDNに含まれる膨大なサイトデータ(公式では200万件のサイトと発表)から広告を掲載したい場所を絞り込むことができます。

キーワード

キーワードに関係のあるウェブサイトやYouTube動画、YouTubeチャンネル、検索結果画面に広告を掲載できます。あくまで「関係性の高い」ということであり、検索ワードを指定できるわけではないので注意しましょう。

プレースメント

特定のYouTubeチャンネル、YouTube動画、GDN(YouTubeを含む)などを選択することができます。

トピック

YouTube とGDN上の特定のトピックを動画広告のターゲットに指定できます。トピックターゲティングを使用すると、選択したトピックに関連するGDN上のさまざまな動画、チャネル、ウェブサイトに広告を表示することができます。

注文を確定!

広告グループを保存すると注文確定となり、広告の審査が始まります。ほとんどの広告は1営業日以内に審査されるようです。(参考:広告ポリシーのリスト)

オプション:CTAの設定

注文を確定すると、Call-to-Action(CTA)オーバーレイ広告を利用できるようになります。CTAオーバーレイ広告とは下記図のように動画の左下に表示されるオーバーレイ広告を指し、指定したリンク先への流入を促すことができます。広告出稿画面とは別途設定する必要があるため忘れがちですが、無料で使用できるので利用をオススメします。

CTAオーバーレイは、YouTubeの管理ページかAdWordsの管理画面で設定することができます。YouTubeから設定した場合は、動画広告キャンペーン終了後も動画の所有者が削除しない限り表示され続けますが、AdWords管理画面から設定されたオーバーレイ広告は広告キャンペーンを実行している期間のみ表示され、キャンペーンを終了すると表示されなくなります。

Call-to-Action(CTA)オーバーレイの設定手順

YouTubeでの設定方法

1. 注文を確定後、YouTubeにアクセスし、「マイチャンネル」→「動画の管理ページ」の順にクリック。

2. TrueView動画広告に出稿する動画クリエイティブの「編集」を選択。

3.「情報と設定」項目の中に「Call-to-Actionオーバーレイ」という設定タブが現れるので、必要項目を設定する。

Adwords管理画面での設定方法

1. 注文を確定後にキャンペーンにアクセスし、「動画タブ」を選択。

2. CTAを設定したい動画のプルダウンボタンメニューから「カスタム外部リンクを編集」を選択。

3. 設定画面が表示されるので、必要項目を設定する。

以上のように、TrueView動画広告には、GDNに含まれる膨大な数のウェブサイトのコンテンツ内容に応じたターゲティング配信ができるというメリットがあり、Facebook動画広告との大きな違いでもあります。またフリークエンシーキャップの設定も現在Facebook広告にはない機能であり、TrueView動画広告ならではの特徴です。

マーケティングや広告の目的に応じて、適切な動画広告の選択を心がけましょう。