EURO予選で奇跡の連勝!フェロー諸島代表って何モノ??

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EURO2016予選でギリシャ相手に2連勝しグループ4位にまでのしあがったフェロー諸島代表。EURO予選に参加しているチームの中で唯一「島」と名がつくことからいかにも小さそうだが、彼らはいったい何者なのだろうか?

かつて、アイスランド代表を紹介した編集部一のマイナーヨーロッパマニアがフェロー諸島代表を紹介する。


火山が多い「プチ・アイスランド」

フェロー諸島は、スコットランドのシェトランド諸島、ノルウェー西海岸、アイスランドの間にある北大西洋の諸島。デンマークの自治領であるが、独立運動が盛んである。

諸島というだけあり18の島々から形成される。ストレイモイ島にあるトースハウンが最大の都市である。海岸線は崖が多く、火山が多いことでも知られる。語弊を恐れずに言えばアイスランドを小さくしたイメージだろうか。



google mapより。

千代田区と同じ人口

人口4.8万人と非常に少ない。これは、UEFA加盟国でも4番目であり、ジブラルタル(2.8万人)、サンマリノ(3万人)、リヒテンシュタイン(3.4万人)に次ぐ数字である。日本で言えば、東京都千代田区、千葉県富津市、新潟県糸魚川市などと同等の規模だ。

サッカーチームもほとんどは北部のストレイモイ島、エストゥロイ島に存在する。トップディヴィジョンであるeffoデイルディンは10チームで構成されており、南部のスヴロイ島からも2チームが参加している。

リーグ構成は4部まである。こんな島国でも4部まであることが驚きであるが、一方で2部リーグ以下はトップディヴィジョンの下部チームがほとんど。4部になると1つのチームが幾つかのチーム(3から5軍とか)に分かれて違うグループに参加していることも珍しくない。

公用語は、デンマーク語とフェロー語となっている。フェロー諸島の言葉は古代北欧にルーツを持つらしく他の北欧の言葉ほとんどを理解するという。

フェロー諸島サッカー関係者とはかつてユニフォームの販売希望を通してコンタクトをもったことがあるが、貨幣はデンマークと同じクローネで支払を済ませた。日本からの問い合わせは珍しいということで、お礼にとボールペンとフラッグを頂いたことがある。


いただいたボールペンとフェロー諸島代表ユニフォーム

1992年より参加

フェロー諸島代表、デンマーク領ということもありFIFA加盟は最近になってからのこと。

元より独自に代表チームは存在したが、1988年にFIFA、1990年にUEFAに加盟したことで国際大会の門戸を叩いた。初参加となったEURO92予選ではグループリーグ敗退(1勝1分6敗)となっている。

FIFAランクは今月4日時点で102位、オマーンが101位、ヨルダンが103位、バーレーンが106位と考えると実力がわかりやすいかもしれない。

2014年ワールドカップ予選では勝ちがなかったが、EURO2012予選ではエストニア、2010年ワールドカップ予選ではリトアニアに勝利している。決して、侮ってはいけない相手である。


EURO92予選ではオーストリア相手に勝利した。

弱小国は必然的に守備機会が多いゴールキーパーに焦点が当たることが多い。フェロー諸島のレジェンドも代表の守護神として73capを誇るヤークプ・ミケルセンだ。スコットランド、ノルウェーでもプレーをした後、40歳を越えてもプレーを続け2014シーズンまで現役を続けた偉大な選手である。

フットサルのチームが倍増

『UEFA direct』によると、フェロー諸島強化の取り組みとしては子供たちにフットサルを推奨していることにあるという。少年少女はU-12、U-14、U-16の3つの年代に分かれてプレーしている。

2012年にサッカー協会がフットサルのトーナメントを開始し、3年でチームは48から96に倍増したという。うち女子チームが25もあるというから驚きだ。

とはいっても、3年で代表チームが急に強くなるとは考えずらい。

編集部では、現地のサッカーファンと関係者何人かにコンタクトをとったが、代表が強くなった理由についてはよくわからないという感じで明確な回答は得られなかった。

拙い分析をするのであれば、ギリシャとの2試合では多くが右サイドからのチャンスメイクであり得点のパターンが確率されていた。現在の監督であるラーズ・オルセン監督の手腕によるものと言えるだろう。

ラーズ・オルセンがもたらしたもの

オルセン監督はかつてEURO92を制したデンマーク代表で主将を務めていた。引退後はオーデンセなどで指導者を務め、2011年より現在のチームを指揮している。

ライバルをリスペクトし、謙遜しながらも勝機を見逃すまいとする姿勢は以下の発言にも表れている。

ラーズ・オルセン
(フェロー諸島代表監督)

「北アイルランドはリスペクトしている。彼らは、EURO2016でロシアを倒している。今の地位にいることは非常に難しいことだ。前回、我々は4-0で敗戦している。」
「私はいつでも勝てると思っている。フィンランドやハンガリーに対してもだ。」

オルセン監督は数年前にこの様なことをコメントしていた。

「我々は信じがたい何かを成し遂げようと挑戦しなくてはならない。ヨーロッパにセンセーションを巻き起こしたい。」

今、その言葉が実現しようとしている。