26日、都内の本社で改革着手後で初の営業減益となった中間決算を発表する日産のゴーン社長(撮影:吉川忠行)

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日産自動車<7201>が26日発表した2006年9月中間期の連結決算は、売上高が前年同期比1%増の4兆5344億円と過去最高を更新したが、営業利益が同15.3%減の3486億円と、中間期としては00年にカルロス・ゴーン社長が就任して以来初めて、8期ぶりの減益となった。

 世界販売台数は170万9000台と前年同期より6.9%減り、地域別では中間期末まで9カ月連続で販売減の国内売り上げが前年同期比7.5%減の2兆1938億円、最大市場の北米でも同4.3%増の1兆8321億円と昨年より伸び率が半減。円安による為替影響で2012億円上乗せして辛うじて増収を確保したものの、「こんな商品投入の少ない時期はない」(ゴーン社長)と上半期の新車投入が商用車1台のみで不振にあえぐ販売現場が浮き彫りとなった。

 利益面でも円安効果が548億円分あったものの、原材料費や燃料費の高騰で658億円、国内・米国での小型車人気にともなう車種構成の変動などで1043億円と多額の減益要因が重なり、利益を圧迫。国内・米国で営業減益となり、利益率も前年同期比1.5ポイント減の7.7%となった。

 経常利益は前年同期比8.8%減の3608億円だったが、日産ディーゼル工業の全株売却や国内販社の再編による税金軽減などが奏功し、純利益は同18.8%増の2741億円となった。

 同日、東京都中央区の同本社で記者会見したゴーン社長は、07年3月通期について「原材料費は上昇し続け、07年度も高騰する」としたほか、車種構成の変動や販売奨励金の上昇など減益要因を挙げながらも、強い円安効果や米国での新型「アルティマ」、国内での新型「スカイライン」などの新型9車種の投入(うち国内は4車種)が奏功するとして、増収増益で過去最高益を更新する従来予想を変えず、あくまでも強気を貫いた。

 一方、不調の国内販売について、ゴーン社長は「(スズキとの)2社間の契約で軽自動車の供給増大を要望しても無理だった」と“軽シフト”が進む需要に対応し切れなかった理由を述べ、「すべての台数目標を必ず達成するということは言えない。大事なのは利益志向」と約80万台とする台数目標への“コミットメント(確約)”は避けた。

 国内事業統括を兼ねる志賀俊之・最高執行責任者は「正直言って日本の市場の低迷は予想以上だった」とし、「(利益の小さい)軽自動車に流れているが、来月のスカイライン発売を契機に、われわれの持つ商品力で登録車の落ち込みに歯止めを掛けたい」と下期での販売回復に意欲を示した。【了】

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