16日、都内で05年12月期決算を発表する楽天の三木谷社長(撮影:吉川忠行)

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楽天<4755>の三木谷浩史社長は16日、東京都港区の六本木ヒルズで行った決算発表の席上、TBSとの業務提携協議について「今いろんな話し合いをしており、真摯(しんし)に継続する」と述べ、提携内容が固まっていないことを明らかにした。

 同席した国重惇史副社長によると、事務レベルの協議で、同社から具体的な提案を示すと、TBSからはいくつか問題点の指摘があった。3月末の期限の延長について、同副社長は「どういう形で進展していくかによって、はっきりしてくると思う」と語った。また、約1110億円を投じて19%超取得したTBS株について「株と借入金があって、金融負担でいえばほぼトントン。財務的には負担発生していないと思っている」との認識を示した。

 ライブドア<4753>をめぐる証券取引法違反事件について、三木谷社長はコメントを控えたが、自社でのコンプライアンス(法令遵守)について「基本的には十分にやってきたが、より一層強化する」と話した。また、楽天のサーバーの運用・管理を、ライブドア傘下で離脱を表明しているメディアエクスチェンジ<3746>に委託していることにからみ、インフラ事業の買収の可能性を問われると「是々非々で判断していく。これからも基本的には外注を考えている」と述べた。

 楽天が16日発表した2005年12月期の連結決算は、経常利益が前年比2.3倍の358億2600万円だった。売上高も同2.8倍の1297億7500万円となった。最終損益も194億円の黒字(前の期は142億円の赤字)に転換した。6月に買収したクレジットカード会社「国内信販(現楽天KC)」が連結対象になったことや、証券事業が経常利益で前期比2.6倍と貢献した。

 05年に参入したプロ野球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」 を手がけるプロスポーツ事業は、チケット売上げが好調で売上高が73億円、経常利益が2億円だった。三木谷社長は、「大きな赤字になると思ったが、黒字になって楽天の社会性も含めて十分にアピールできてうれしい」と述べた。【了】

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