初の東京公演を控え熱のこもったけいこを繰り広げる「大航海レキオス」の出演メンバー(撮影:宗宮隆浩)

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沖縄でチケット売り切れが続出したというほどの人気を誇る現代版組踊「大航海レキオス」(平田大一演出)が、25日から東京都世田谷区の世田谷パブリックシアターで開幕する。「レキオス」は地元の若者が熱演する話題の舞台で、東京公演は初めて。24日夜には同シアターで本番前の最後の通しげいこを行った。主演・航太役の平敷(へしき)勇也君(16)らは「幕が下りる時に拍手をもらう瞬間が最高。この舞台で沖縄の伝統文化を伝えていきたい」と大舞台に向け意欲を語った。

 「レキオス」とはポルトガル語で「琉球人」のこと。平田さんが演出する舞台は沖縄伝統の総合舞台芸術である「組踊」に、バンドサウンドやダンスなど現代的な要素を取り入れたもので、現代版組踊や沖縄版ミュージカルと呼ばれる。平田さんは「古いものこそ新しい」との考えから、組踊りを現代的にアレンジすることを思いつき、7年前から沖縄各地で上演している。沖縄出身の平田さんの舞台は政財界の著名人に熱烈なファンが多いことでも知られている。

 ストーリーは、行方不明の父を探して旅に出る少年・航太の成長を通して、「レキオス=琉球人」の生き様を描く冒険物語。航太は「幻のサンシン」をめぐって、数百年前の大航海時代の沖縄にタイムスリップしてしまうが、薄幸の美女「マムヤ」、豪傑の「オヤケアカハチ」、みなしごの「陸」という3人の若者とともに、東南アジアや唐を旅して、さまざまな人々や文化と出会い「沖縄のチムグクル(志高い心)」を取り戻していく。

 舞台は二部構成になっている。メンバーは総勢31人で、役者が11人、ダンス担当が16人、バンドメンバーが4人。沖縄の中高生が中心で平均年齢は21歳と若いが、下は小学4年の9歳女児から上は42歳男性までと年齢層も幅広い。劇中は、アレンジに三線を使った音楽のほか、ダンスでも「エイサー」「空手」「琉球舞踊」など、沖縄やアジアの文化のテイストがふんだんに散りばめられていて、ブロードウェイなど欧米のミュージカルとは一味違った魅力にあれている。

 「レキオス」は今年1月の初演以来、7月までに沖縄県の6会場で計13回上演された。週2、3回のけいこが基本だが、8月に入ってからは東京公演に向けてほぼ毎日、熱のこもったけいこを続けてきた。24日夜の通しげいこでも、役者やダンサーの立ち位置や音楽に合わせた登場のタイミングなどを最終チェック。平田さんから「もう少し動きを大きく」などの演技指導があった。特に、見どころの一つであるフィナーレ部分のオールキャストによるダンス部分では、入念に動きを確認していた。

 公演を直前に控え、航太役の平敷君と、旅の道中で航太を導くカジ役の吉田亜子さん(13)、ダンス担当の知念亜弥花さん(16)は「東京公演に向けて一生懸命けいこを重ねてきた。役者もダンスもバンドもそれぞれ頑張っている。絶対感動できる舞台です」と、力を込めた。

 「大航海レキオス」東京公演は、25日から28日まで計5回上演される。25日は午後7時開演。チケット問い合わせは「トリガーラボ」まで、電話03(3560)1700。【了】

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