By NASA's Marshall Space Flight Center

小惑星が地球の大気圏に突入することで明るく燃える現象は「流星(流れ星)」と呼ばれ、燃え尽きることなく地上に到着するものは「隕石」と呼ばれており、宇宙を研究するためにもってこいの資料として重宝されています。そんな宇宙からのプレゼントとでも言うべき隕石について、スウェーデンでこれまで観察されたことのない新しいタイプのものが発見されたとして注目されています。

A fossil winonaite-like meteorite in Ordovician limestone: A piece of the impactor that broke up the L-chondrite parent body?

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012821X14003367

Ancient Asteroid Destroyer Finally Found, And It's a New Kind of Meteorite

http://www.livescience.com/46563-new-meteorite-type-fossil-ordovician.html

小惑星は惑星よりもはるかに小さく自身の重力に縛られることがないため非球形のいびつな形を持っているものがあり、内部熱によって変質することがないため、太陽系が誕生したときとほとんど同じ状態を保っているのではないかと見られており、小惑星を分析することは太陽系や地球の起源を究明することにもつながると考えられています。そんな宇宙研究に欠かせない小惑星のサンプルを、2010年に世界で初めて日本の小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った歴史的快挙は記憶に新しいところですが、一般的に、小惑星を研究するための格好の獲物は、地球に落下する小惑星の残骸である「隕石」です。



隕石はコンドリュールと呼ばれる球状粒子を含むコンドライトとコンドリュールを含まないエコンドライトに分類されます。これまで発見されている大半の隕石はコンドライトで、含まれているコンドリュールは太陽系が誕生して間もない時期にガス成分が冷却化されて形成されたものであるため、コンドライトは太陽系初期の情報を持っていると考えられています。

2011年にスウェーデンのソルベルグ採石場で4億7000万年前のオルドヴィス紀に起こった宇宙の大変動によって発生したと考えられる化石状態の隕石が地中から発見されました。この隕石は、エコンドライトの中でも非常に珍しいWinonaite(ウィノナイト)と呼ばれる隕石に極めて似ているものの、クロムを含有した不透明なスピネルの含有量が極端に少なく、そのスピネルの粒子のサイズも小さいなど、ウィノナイトと明確に異なる特徴を持っていることが分かったとのこと。



隕石を分析したスウェーデンのルンド大学の地質学者ビエル・シュミット博士は、「今回発見された隕石はこれまでに見つかっている隕石とは異なる種類のものであると考えられます」と述べています。なお、この隕石は正式な名称が決定されるまでは「mysterious object(不思議な物体)」と呼ぶことにしているとのことです。

シュミット博士は、「mysterious objectの発見によって、これまで地球に降り注いできた隕石が小惑星を完全に代表しているわけではない、という可能性が出てきています。私たちの研究が示していることは、私たちが思っているほどには太陽系について知らないのかもしれないということです」と語っています。