中国メディアのBW CHINESEは4月30日付で、アジア有数の富豪である李嘉誠(り かせい)氏が率いる香港最大の企業集団・長江実業グループが中国や香港の不動産を相次いで売却したことに触れ、「李嘉誠氏の売却と中国不動産バブルの崩壊論は関係があるのか」と論じる記事を掲載した。(イメージ写真提供:「CNSPHOTO」提供)

写真拡大

 中国メディアのBW CHINESEは4月30日付で、アジア有数の富豪である李嘉誠(り かせい)氏が率いる香港最大の企業集団・長江実業グループが中国や香港の不動産を相次いで売却したことに触れ、「李嘉誠氏の売却と中国不動産バブルの崩壊論は関係があるのか」と論じる記事を掲載した。

 中国不動産市場に異変が起きている。2013年ごろから中国では不動産価格が下落し始め、「三線都市」を拠点とする不動産開発企業のなかには債務不履行(デフォルト)に陥る企業も現れている。

 「三線都市」とは中小都市のなかでも経済規模が比較的大きい小都市を指す。区域に特定の基準はなく、行政レベルや経済発展水準、規模や人口などで区分けされることがあり、太原市、烏魯木斉(ウルムチ)市、中山市などがある。

 不動産市場に異変が見られるなか、記事は香港最大の企業集団・長江実業グループを率いる李嘉誠(り かせい)氏がすでに中国や香港の不動産を相次いで売却、欧州へと投資先を移していることを紹介。

 さらに、李嘉誠氏の次男・李沢楷(リチャード・リー)氏が4月、北京市内にある複合施設を9億2800万米ドル(約945億円)で売却したこと、不動産開発会社のSOHO中国が2月に、上海の2つの商業ビルプロジェクトを計52億3000万元(約853億円)で売却したことを伝えた。

 記事は、李嘉誠氏が中国や香港の不動産を売却したことは「中国で不動産バブルが崩壊する前兆だと考えられている」としつつも、「われわれは考え方を変えるべきだ」と主張。李嘉誠氏が不動産を売却したのは「中国の不動産価格がすでに高値にある一方で、欧米の不動産価格が底値にあるからにすぎない」とし、「李嘉誠氏の不動産売却はバブル崩壊の前兆」と囁かれていることに否定的な見方を示した。

 一方で記事は、中国では不動産を担保とした融資が銀行の融資全体の約40%に達しているため、不動産価格の下落は担保価値の下落に直結すると指摘、「不動産を担保として融資を受けていた企業は資金調達が困難になり、マクロ経済にも大きな影響をもたらす可能性がある」と伝えた。そのため、「中国政府は不動産価格を上昇させる必要はないものの、制御不可能な下落は絶対に許さないはず」とし、中国政府が「不動産市場が崩壊するまで放置するわけがない」と論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:「CNSPHOTO」提供)