マンチェスター・ユナイテッドFWロビン・ファンペルシが、母国オランダのテレビ局でチームメイトに対する不満を口にしていたことが判明した。

昨シーズンは移籍1年目にしてゴールを量産し、クラブをリーグ優勝へと導く立役者となったファンペルシ。チーム一丸となってデイヴィッド・モイーズ新体制下でのリーグ連覇を目標に掲げていたはずだが、ふたを開けてみればプレミア優勝争いから早々に脱落、カップ戦でも格下相手に敗北を喫するなど、ユナイテッドは低空飛行を続けている。

ファンペルシがチームメイトに対して苛立ちを隠せないのも、チーム内に閉塞感が漂っている証拠と見ていいだろう。先週末のウェスト・ブロム戦では0−3と快勝したユナイテッドだが、モイーズ監督は新たに浮上した問題を上手に対処する必要がある。つまり、指揮官は大物ストライカーの売却か慰留かという重大な二者択一を迫られているのだ。

ユナイテッドがチームの顔でもあるウェイン・ルーニーと2019年まで契約を延長したために、問題が余計ややこしくなっている。週給30万ポンド(約5150万円)を稼ぐルーニーと同等の扱いをしなければ、不機嫌なファンペルシをなだめることは難しい。ユナイテッドほどのビッグクラブならば、ファンペルシに対してさらに高額の給料を支払うことは財政的に可能かもしれない。しかしながら、それを目の当たりにした他の選手たちは一体どう思うだろうか。「自分は過小評価されている」と全員が一斉に給料アップを要求することは想像に難くない。規律の側面から見ても、ファンペルシの主張を全て受け入れるのはクラブにとって得策ではないのだ。

他方で、もしファンペルシがクラブに愛想を尽かし、今季限りで退団が決まっているDFネマニャ・ヴィディッチ同様ユナイテッドを去ることになれば、それもまたクラブにとって大打撃となる。今年31歳になるとはいえ、技巧派ファンペルシの存在感は絶大だ。ペナルティボックス内では抜群の決定力を誇る彼に匹敵する実力を備え、かつ即戦力として活躍が見込めるFWを手に入れるのは決して容易ではない。ダニー・ウェルベック、ハビエル・エルナンデスといった既存FWの戦力だけでは心もとない。やはり今のユナイテッドは、ファンペルシのゴールに頼らざるを得ない状況なのだ。売却か残留か——どちらを選択しても現在のユナイテッドからしてみれば“No Win Situation”で、まったくオイシクない。モイーズ監督の苦悩は続く。