参院選は予想通りの自民圧勝となった。日経平均は事前からの“ねじれ解消”期待と世界経済の落ち着きから、1万5000円目前までスルスルと上げてきたが、8月上旬再び下落。厳しくなった投資家の銘柄選別眼にかなう銘柄を用意したぞ!


「半年先を行く株式市場」という言葉を借りるなら、「リニア中央新幹線」が物色テーマとして本格始動する。2014年度にJR東海が着工予定のこの計画は、2010年5月に明らかとなり、現在までにスケジュールの変更はされていない。

計画によると、東京−名古屋間の開業は2027年、総投資額は5兆1000億円に及ぶ。このうち、車両費を除いた建設工事費は4兆8000億円。この金額を建設期間の13年で単純平均すると、1年当たりで約3700億円となる。これは2020年の開催地候補に立候補している東京オリンピックのメインスタジアムなどの施設建設費3557億円を上回る金額だ。

さらに、延伸される「名古屋−大阪間」の開業は2045年で総投資額は3兆3400億円。同様に建設期間の18年で割ると1年当たりの工事費は約1600億円だ。

加えて、オリンピックの東京誘致に成功すると、JR東海が2010年11月に示した神奈川―山梨間の先行開業を2020年前後とした構想が現実味を帯びてくる。

まさしく、前回1964年の東京オリンピック開催に合わせて東海道新幹線が開通したのと同様に、今回はリニア中央新幹線が部分開業して、シンボリックな事業となるだろう。こうなると建設予算執行も加速し、日本経済に対して大きな浮揚効果をもたらすことになる。

プロジェクトの進展にあたっては、車両よりもトンネルや橋梁といったインフラ建設が先行するので、トンネル工事に強い安藤ハザマや鉄建など鉄道建設関連株が人気化することが予想される。その場合、リニアと直接的なつながりはないが、耐震工事で業績好調が著しい東鉄工業の株価も刺激を受けそうだ。東鉄工業は当期利益ベースで連続最高益更新が見込まれ、有利子負債ゼロで利益剰余金も積み上がっている。来期からの業績拡大期待が加われば、リニア中央新幹線をテーマとした?先頭車両〞となるだろう。



リニア新幹線計画で期待の株5

【安藤ハザマ(東1・1719)】217円(100株)
4月にハザマと安藤建設が合併。今期配当は合併の記念配を含む年間5円。大規模トンネル工事などに強み。

【鉄建建設(東1・1815)】115円(1000株)
JR東日本が筆頭株主。橋梁や高架橋、トンネル、鉄道・駅舎改良などの工事を含めて豊富な実績を持つ。

【エノモト(JQ・6928)】178円(1000株)
リニアと直接の関係はないが、リニア実験線の終点である上野原市に、上場企業で本社を唯一構えている。

【エスアールジータカミヤ(東2・2445)】735円(100株)
建設用足場のレンタルで上場最大手。山梨のリニア実験線の延伸工事向けも加わり、資材の高稼働率が続く。

【名工建設(名2・1869)】511円(1000株)
筆頭株主はJR東海。山梨のリニア実験線も手がける。日本郵政と組んだ「名駅一丁目計画」が7月に着工。

※株価は2013年8月8日現在。JQ=ジャスダック。



この記事は「WEBネットマネー2013年10月号」に掲載されたものです。