台湾人女性のEddie(ハンドルネーム)さんは、会社の同僚から慰安旅行の行き先が日本であることを告げられ、訪問場所など一切確かめずに「行く!」と即決したという。初めての日本旅行ということで、期待を胸をふくらませて日本にやって来たようだ。

 到着したのは福岡空港。台湾からはわずか2時間ほどと、とても近い。時差の関係で1日目の滞在時間は1時間少なくなる計算なのだが、「最終日に日本から返してもらうので問題ない」ととても前向き。

 台湾人のブログを見ると、何かでマイナス面を感じても、全体として「でも大丈夫」と、ポジティブに受け止める人が多いことを感じる。しかも、きちんと「理屈」をつけて自分自身を納得させる場合が多い。感受性が強いので「デメリット」にもしっかり気づくが、それでも「ハッピーな結論に持っていきたい」と望む気持ちが強い。これが台湾人気質ということかもしれない。

 さて、福岡空港に降り立った筆者がまず驚いたことは「どこに行ってもすべてが清潔だった」ことだという。

 会社の同僚たちとバスに乗り、熊本県の阿蘇温泉へ。バスの中では日本滞在中の日程について説明があったが、筆者は「うわの空」だった。日本の風景に魅了されたのか、ずっと窓の外を眺めていたからだ。ホテルまで約2時間。辺りはすでに真っ暗だったが、ホテルの横に小川が流れており、日本の田舎の風情を感じた。

 筆者は「明日の朝は早く起きて出発前に散歩しよう!」と決意。そして、待ちに待った夕食だ。台湾でも日本料理を食べたことはあったが、日本で食べる日本料理は「とても新鮮だった」という。

 ひとつ残念なことに、筆者は生魚を食べられない。隣の同僚に「わたしの刺身、食べる?」と尋ねてみたところ、同僚が「刺身を鍋に入れてみたら」と教えてくれた。

 なるほど、グッドアイデアだ、ただ、日本に来て“本場の刺身”を食べないのも残念だ。そこで、鍋に入れる前に試しに一口だけ食べてみた。

 衝撃だった。「おいしい! 刺し身がこんなにおいしいなんて! 」――。結局、刺身のまま、つまり生魚のままで、すべて食べてしまった。今までずっと「私は、生の魚はダメ」と思い込んでいたのに。まさにありえないことが起こってしまった。筆者にとって、「不可能が可能になる」日本旅行となった。  さて、食事後に部屋へ戻ってみると、室内の様子がさきほどとは一変していたので、またびっくり。つまり、畳の上には布団が敷かれていたのだ。日本旅館ではごく普通のサービスだが、初めて体験した筆者には、相当な衝撃だったようだ。筆者は「これは伝説の忍者の仕業なのか!」とユーモアを交えてコメントした。

 筆者の書きぶりからは、日本旅行を上機嫌で楽しんだことがありありと伝わってくる。しかも、日本の社会や文化に敬意をもって接していることもよく分かる。日本人としては嬉しいし光栄なことだ。逆に、そのような観光客を多く送り出している国や地域に対しての日本人の好感度も高まるだろう。(編集担当:畠山栄)