「レッツ! Windows 8」は、2012年10月26日発売予定のWindows 8に移行する予定の方々に、同OSの使いこなし術を紹介する連載です。

コンピューターには詳しくないが新しもの好きで、Windows 8を導入される方に役立つテクニックを紹介しますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

今回は「言語」を対象に日本語入力環境について紹介します。

Windows 8は、複数の入力言語や表示言語を使用することができる多言語(マルチランゲージ)に対応したOSです。

そもそもWindows 2000以降のカーネル(OSの核となる部分)は、特定の言語に依存しないシングルバイナリを採用し、利用するフォントやIMEを組み合わせ、各地域の言語に沿ってWindowsが利用可能でした。

それ以前のWindows OSは、各国語版が用意され、各地域に対応するバージョンが販売されています。

その一方でWindows 2000やWindows XPで各言語を使用するには、Multilingual User Interface Packを入手しなければならず、多言語に対応するための表示言語や入力言語を容易に切り替えられるようになったのはWindows Vista以降。

Windows VistaやWindows 7の上位エディションユーザーは、Windows Updateに言語パックが並び、煩雑な印象を持った方も少なくないでしょう。

Windows 8では、この点を改善し、入力言語および表示言語をコントロールパネルの「言語」からダウンロードし、適用可能にする仕組みを用意しました。

ロジック自体は以前のWindows Update経由で入手して適用する仕組みと変わりありませんが、関連する機能を一カ所に集約した点は評価すべきでしょう。

なお、言語パックによる言語の切り替え機能は、「Windows 8」や「Windows 8 Pro」など各エディションがサポートしています(図01〜02)。

さて、Windows 8を日本語で使用する際は、MS-IME(Microsoft IME 2012)が標準搭載されています。

バージョンは15.0とWindows 7のバージョン10.1に比べ大幅に番号が増加しており、Office 2010に搭載されていたOffice IME 2010のバージョン14.0と比較しても、新しいバージョンであることが確認できるでしょう(図03)。

もちろん、ここでジャストシステムのATOKやGoogleのGoogle IMEをインストールすることも可能ですが、執筆時点ではいずれもWindows 8をサポートしていません。

具体的には、デスクトップ環境では使用できても、スタート画面などWindows 8スタイル環境では使用できないという状態が発生します。

例えば[Win]+[Q]キーを押して検索チャームを呼び出し、テキストボックスにアプリケーション名を入力使用としますと、IMEが応答しません。

これはデスクトップ環境でしか動作しないIMEが有効になった状態に起きる現象です(図04〜05)。

その際は[Win]+[スペース]キーを押して、使用するIMEをMS-IMEに変更しましょう。

また、デスクトップアプリに戻って日本語入力を行う場合は、同ショートカットキーを再び押して、IMEを切り替えればよいのです。

なお、通知領域にあるアイコンをクリックすると現れるメニューからIMEを切り替えることもできますので、お好きな手順をお使いください(図06〜07)。

日本語入力中に困るのが、アプリケーションを切り替える際にIMEのオン/オフがそのまま引き継がれる点。

例えばテキストエディターから日本語入力を行わないコマンドプロンプトに切り替える際、IMEがオンの状態では「dir」と全角英数字をそのまま入力することになるため、非常に困ってしまいます。

その際は「詳細設定」から操作できる<アプリウィンドウごとに異なる入力方式を設定する>を有効にしましょう。

これで、Windows 7やWindows Vistaと同じように、ウィンドウごとにIMEが個別動作するような感覚で使用できます(図08)。

同ウィンドウで気になるのが「既定の入力方式の上書き」。

デスクトップ環境の使用頻度が高いユーザーは、ここでGoogle IMEなど特定のIMEを選択すると効率性が向上するように見えますが、Windows 8にサインインして最初に現れるのはスタート画面。

そのため、ここでWindows 8スタイルに対応していないIMEを選択しますと、前述のようにキーをたたいても文字が入力されない、というトラブルが発生します。

サードパーティ製Windows 8スタイル対応IMEが登場するまで、初期状態のまま使用しましょう。

なお、以前のようにIMEの言語バーを必要とする方は、「入力方式の切り替え」セクションにある<使用可能な場合にデスクトップ言語バーを使用する>を有効にしましょう。

こちらの言語バーは以前のWindows OSのようにタスクバーに収納することもできますので、常にIMEの動作を確認したい方は同機能をお使いください(図09)。

阿久津良和(Cactus)