労務行政研究所が実施した「懲戒制度に関する実態調査」結果で、社員が飲酒運転を行った場合に重い懲戒処分を課す企業が増加していることが分かった。事故がなくても酒酔い運転が明らかになった場合は、4割の企業が解雇すると回答した。

調査では、社員の問題行動として想定した30のモデルケーに対して、どのような懲戒処分をとるのかを聞いた。

最も重い懲戒処分である「懲戒解雇」を適用するという回答が多かったケースは、「売上金100万円を使い込んだ」(77.9%)がトップ。次いで、「無断欠勤が2週間に及んだ」(69.1%)、「社外秘の重要機密事項を意図的に漏えいさせた」(66.4%)が6割を超えた。

その他では、「終業時刻後に酒酔い運転で物損事故を起こし、逮捕された」(45.0%)、「取引先から個人的に謝礼金等を受領していた」(40.9%)、「営業外勤者が業務中に自動車で通行人をはねて死亡させ、本人の過失が100%であった」(38.3%)、「満員電車で痴漢行為を行ったことが被害者からの訴えで判明した」(36.9%)と続いた。

5年前の前回調査に比べて、同じケースに対して重い処分を課す企業の割合が増加している傾向が見られるが、特に飲酒運転に関するケースとして示された「終業時刻後に酒酔い運転で物損事故を起こし、逮捕された」(懲戒解雇45.0%、諭旨解雇26.2%)、「事故は起こさなかったが、酒酔い運転のため検挙された」(懲戒解雇22.8%、諭旨解雇18.1)では、社員を解雇する企業が多くなっている。

解雇における退職金の支給状況を見ると、諭旨解雇は「全額支給する」が38.8%で最も多く、「全額支給しない」は3.4%。一方、懲戒解雇は「全額支給しない」(69.3%)が約7割で、「全額支給する」企業はなかった。

調査は、上場企業と上場企業に準ずる非上場企業3765社を対象に実施し、170社から回答を得た。

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