FIFAのゼップ・ブラッター会長の発言によって、ドイツサッカー界の面目がつぶされた。同会長は、スイスのタブロイド『ブリック』の中で、元FIFA会長のジョアン・アベランジェ氏の収賄疑惑や、18年ロシアW杯と22年カタールW杯の招致における不正疑惑について触れられると、2006年ワールドカップ(W杯)の開催権をドイツが買ったとほのめかしたのだ。

「買われたW杯…06年の招致を思い出す。最後の瞬間に、ある人物が部屋を出て、投票は10対10ではなく10対9でドイツの勝利となったのだ。私は満足だった。どんな争いもあってはならなかったからだ。だが突然、一人の人物が立ち上がって出て行ったのだよ。私はあまりに無垢だったのかもしれないね!」

この発言に対し、「ドイツW杯が買われたと推測しているのですか?」と聞かれると、ブラッター会長は「いや、私は何も推測しない。私は確認をするんだ」と答えている。

これに対し、ドイツ側はすぐに反応。当時、W杯組織委員長のフランツ・ベッケンバウアー氏の右腕を務め、現在はドイツサッカー連盟会長のヴォルフガング・ニースバッハ会長は、ドイツ『ビルト』の中で「ショックだ」と反論。同氏は「まったくブラッターの発言は理解できない。そもそも、(投票)結果すら間違っている。10対9ではなく、12対11だった。欧州の8票がすべて我々に投じられたことが決定的となったんだ」と話している。

また、ドイツサッカー連盟のヘルムート・サンドロック事務総長も、「こういったあいまいな推測には、まったく中身がない。何よりも、現状への注意をそらすためのシステムに思える」と語った。一方、ブラッター会長の敵と考えられ、03年にFIFAを追いやられたグイド・トニョーニ元事務総長は、次のように話している。

「ブラッターは常にいた。今、ドイツを攻撃するなら、自分を傷つけることになる。彼は自分を自由にする一発を必要としているが、これは自分の脚を撃ったようなものだ。あまり清廉潔白な形で進んでいなかったのなら、彼はすべてを止めることだってできたのだからね。彼は『これではダメだ』と言わなければいけなかったはずだよ。ブラッターの下では連盟内で起きてはいけないことが起きた。それが事実だ」