ジャンプコミックス「キン肉マン」38巻を持つ、ゆでたまごの原作担当・嶋田氏。あえて続巻を「JC」で出したその決意と狙いを語る

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“ダメ超人”と呼ばれながら友情パワーと火事場のクソ力で難敵を次々と撃破。1980年代、子供たちのマッスルヒーローだったキン肉スグルが帰ってきた! 4月4日(水)、ジャンプコミックス(JC)『キン肉マン』(作者/ゆでたまご)の“最新刊”38巻が発売された。

 1979年に「週刊少年ジャンプ」で連載が始まった『キン肉マン』。作者のゆでたまごは、原作担当の嶋田隆司氏と、作画担当の中井義則氏のペンネームだ。人間を超越した存在である“超人”たちの熱い戦いを、ときにギャグタッチで、ときに感動で描き、テレビアニメ化、キン肉マン消しゴム(キン消し)などさまざまなブームを巻き起こす。1987年に連載は終了、JCは36巻まで発売された(※2010年に読切作品を収録した37巻が発売されている)。

 そして昨年11月、「週刊プレイボーイ」公式サイト「週プレNEWS」で連載が再開。キン肉スグルが第58代キン肉星大王に即位した、24年前のラストシーンのその後が描かれ、話題を呼んでいる。

 今回のJC38巻は、その新シリーズから収録されているが、24年前のコミックスの続巻が発売されるケースなど前代未聞。出版界の常識でいえば、新シリーズ第1巻として発売するところだ。原作担当の嶋田氏は、「それなりの覚悟を持って出す」と語る。

「今の『キン肉マン』をコミックスにするとき、仮に新シリーズで1巻から出すと、ある意味、楽なんですよ。どういうことかというと、退路がある。もし盛り上がらなかったら、『このシリーズはダメでした』って闇に葬ることができますから。でも、JCの続きは全然意味が違う。失敗したら、36巻まで続いた『キン肉マン』の晩節を汚してしまうことになる。だからこそ毎週、気が抜けない。いい意味でプレッシャーになっています」

 コミックスの表紙も、既刊の雰囲気を踏襲。あえて80年代っぽさを残し、昔からのファンにとっては懐かしさを感じるデザインになっている。嶋田氏自身も描きながら、「何か、久しぶりに旧(ふる)い友だちに再会するような感覚」と笑う。

「キン肉マンとかテリーマンとかロビンマスクとか定番の超人は、当時を思い出して楽しいですよ。また、今回のシリーズではステカセキングという悪魔超人を出したのですが、大きな反響があってちょっと予想外でした。ステカセって当時から魅力的でカッコいいキャラだって読者は気づいててくれたのに、僕らがわからなかったっていうことなのかな。こういう“サイレント・マジョリティ”の声に応える重要さを再認識しました。今後はステカセだけでなく、どんどん出していきたいですね。ブラックホールとかミスターカーメンとか、詳しくは言えないけど“顔に☆マークがあるアイツ”とかね(笑)」

 現在、『キン肉マン』は前出の「週プレNEWS」のほか、「Yahoo!ブックストア」でも毎週更新されており、どちらでも無料で読むことができる。

「今回、JCで出すことによって、昔からの大人のファンだけじゃなくて、今の子供たちも手に取ってくれる可能性がありますよね。だから相棒(中井氏)と相談して、絵のタッチを『キン肉マンII世』のハード路線から、昔の少し可愛いテイストに戻しました。噂でしか聞いたことのなかったキン肉マンに、ここで初めて出会ってくれたらなって思います」(嶋田氏)

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